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安井順平、バイプレイヤーの原点「お笑いを選択したあのころを肯定できるから今がある」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.09.10 11:00 最終更新日:2023.09.10 11:00
その後の安井に迷いはなかった。イキウメでの演技が注目され、関係者からは「安井順平って誰?」という声が聞かれるようになる。その演技が認められ、2014年には「読売演劇大賞優秀男優賞」を受賞する。授賞式後の食事会で、客演していた手塚とおるから心に残る言葉をもらった。
「『仕事の話が来たとき、自分のジャンルじゃないとか、やりたくないと思ったときこそチャレンジするといいと思う』と言われて。
僕は全然違うところに飛び込んでいくタイプではなくて、興味がないものは避けてきていた。だから、本当に考えさせられた言葉でした。
1回チャレンジしないといいも悪いもわからないし、食わず嫌いはやめろってことでしょうね。まさにメンマと一緒だ(笑)。でも、なかなか飛び込めていない。実践できていないんですよね」
そう苦笑するが、2021年に公開された映画『燃えよ剣』で時代劇に飛び込み、新選組の山南敬助を演じた。
「カツラ被って刀差してみたいな時代劇は避けていたんです。眼鏡外すと下着つけないで芝居してるみたいで、急に恥ずかしくなるんですよね。結果、眼鏡アリになったんですがね(笑)。
原田眞人監督のもと、初時代劇の僕が、岡田准一さんや鈴木亮平さんといった数多くの時代劇を経験した方々とご一緒して、新選組の総長に上り詰める、あの山南敬助を演じるなんて。プレッシャーの連続でした。でもやり終えた後、これだけ大変な現場を経験したのだから、もう何が来ても大丈夫かなという耐性ができた気がします」
昨年は話題のドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』(2022年・カンテレ)で鍵を握る刑事を演じ、その演技力が評価された。
「(眞栄田)郷敦くんとの長回しのシーンは、台本がまさかの9ページもあったんです。
僕は舞台の公演中だったので『嘘だろ、この台詞量。覚えられる気がしねえ!』と絶望しました。
もう僕も48(当時)の大人なんで監督に怒られたくないから、劇場に入っても劇の台詞をブツブツやらずに、エルピスをブツブツやりました。エルブツです。毎日ブツブツやっているうちに、こういうトーンだなとか、役のキャラクターが構築できていったので結果的にはよかったんですけどね。おかげさまで監督にも怒られなかったです」
安井が「俳優としての礎を作ってくれた」と話すイキウメの次回作は『無駄な抵抗』(11月11日~26日、世田谷パブリックシアターで上演予定)。
「まだ台本は一文字も書けていない気がしますが、なにも心配はしていません。必ずおもしろくしますのでご期待ください。壮大な前フリでも入れておきましょうか(笑)。
お笑いをやっていたから今の安井順平という俳優があるんです。 “これからもやれる” 。そんな自信も自負もあります。お笑いを選択したあのころの自分を否定せずにすんだのがなによりも嬉しい。
だから、お笑いには感謝しかありません。これからもずっと大好きです。ちょっとカッコよすぎますか?」
そう笑い、残りのスープを飲み干した。
やすいじゅんぺい
1974年3月4日生まれ 東京都出身。1995年お笑いコンビ「アクシャン」としてデビュー。2007年より俳優として活動し、2014年に第21回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。劇団イキウメ所属。近年の出演作に映画『生きててごめんなさい』(2023年) 、ドラマ『エルピス』(2022年、カンテレ) 、『女神の教室』(2023年、フジテレビ)などがある。今後の出演作に連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK)。舞台『無駄な抵抗』が世田谷パブリックシアターにて11月11日~26日まで上演予定。チケットは9月10日より一般発売
【麺処直久 新橋店】
住所/東京都港区新橋2丁目東口地下街1号 ウィング新橋名店街
営業時間/平日11:00~22:30(L.O.22:00)土・日曜・祝日11:00~22:00(L.O.21:30)
定休日/年始、施設休館に準ずる
写真・野澤亘伸
ヘアメイク・小林純子