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落合モトキ、『やっぱりさんま大先生』の生徒から実力派俳優へ「自分の芝居がスパイスになる瞬間をもっと作りたい」

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.10.22 11:00FLASH編集部

落合モトキ、『やっぱりさんま大先生』の生徒から実力派俳優へ「自分の芝居がスパイスになる瞬間をもっと作りたい」

落合モトキ

 

 おもちゃ店や劇場が入っている銀座・博品館ビルの6階にある南インド料理店「カーン・ケバブ・ビリヤニ」。米と肉類にさまざまなスパイスを加えて作る炊き込みご飯、ビリヤニが人気の店だ。

 

「エレベーターを降りるとスパイスの香りが広がっていて、訪れる度にインドにいるような気持ちになるんです」と語るのは、俳優・落合モトキ

 

「8年くらい前にビリヤニを初めて食べてとんでもなく美味しいものがあると知り、それからは地方に行っても美味しいビリヤニがないか探すほど虜になっています(笑)。

 

 

 このお店は、スパイスをしっかりと感じられて美味しいのはもちろんですが、量もかなり多い。数人でシェアしないと食べきれないほどです」

 

 爽やかな笑顔でビリヤニを堪能する落合は、150作を超える映画・ドラマに出演してきた人気のバイプレイヤー。芸能人生のスタートは4歳だ。

 

「当時の記憶はほとんどないんですよ。はっきりと覚えているのは、6歳のときに出演したバラエティ番組『やっぱりさんま大先生』(1996~2000年、フジテレビ)。カメラの前で話をするのが楽しかったです」

 

 明石家さんまと子供たちがトークをする『やっぱり―』。さんまの容赦のないマシンガントークと子供たちとの化学反応で人気を集めた。

 

「皆さんがよくおっしゃる “さんまさんのすごさ” みたいなものは感じ取れなかったです。ただ現場に行って楽しい時間を過ごすだけで、習い事のような感覚で行っていました。なので、大人になってからさんまさんのすごさを知った感じ。あれ以降、共演したことがないんで、いつかご一緒してみたいです」

 

 落合が俳優という職業を意識したのが、2005年に「日本民間放送連盟賞最優秀賞」を受賞した、廣木隆一監督が手がけたドラマ『4TEEN』(WOWOW)。14歳の少年たち4人が繰り広げる青春群像劇で、主人公の一人であるナオトを演じた。

 

「13歳のときの作品です。若葉(竜也)くんや(柄本)時生ちゃんといった同世代と共演をして、これまでのただ台本を覚えるというのとは違い、みんなで芝居をして一緒に何かを作りあげる感覚が生まれたのを覚えています。それを廣木監督を含め多くの人が褒めてくれて。演じるのが楽しいと感じました」

 

 この作品を機に、落合は俳優を職業にすることを決めた。高校も芸能コースを選択し、俳優活動を続けた。

 

「今までやってきたことを伸ばそうと思い、俳優活動を続けていきました。でも高校を卒業して学生でなくなり、ダメだったときに戻る場所がなく、俳優をするしかない毎日を想像すると、不安しかなかったです。自分より年下の世代がドラマや映画で主演クラスの役をどんどん演じていて、取り残されているようで恐ろしかったし。このままで僕は大丈夫なのかって。

 

 でも、だからといって何かをするわけではなく……仕事がない時間はバイトをしたりして時間を潰して、考えないようにしていました」

 

 落合は高校卒業のタイミングで井筒和幸監督の映画『ヒーローショー』(2010年)に出演。これが転機になった。

 

「とにかく井筒監督が怖かった。いろんなことを言われるのですが、僕は右も左もわからず、僕なりの演技をするので精いっぱい。毎日『ちゃうやろ!』って怒られ、何をしたら怒られないんだろう? ばかり考えて、現場に行くのが嫌になりました。

 

 まわりの皆さんは対応能力がすごくあるんですよ。言われたことを瞬間で理解して演技していく。あんなふうになりたいけどなれないと、最後まで思っていました。それでも、この作品が完成したときに多くの方が『おもしろかった』と言ってくださって。それがすごく自信になりました。

 

 怒られているときは正解が見えずに苦しいんですが、完成した作品を観るころには、自分なりに吸収して、成長していつの間にか悩みがなくなっている。そのことに気づかせてくれた作品でした。そしてこのころから、取り残されているような不安は少しずつ消えていきました」

 

■心配性だから今でも撮影前日は眠れない

 

 落合は今年で33歳、芸歴も29年になった。

 

「芸歴が長すぎて我ながらゾッとします。やっと芝居の楽しさとか、仕組みみたいなものがわかってきた気はします。自分の芝居が映像になったときにスパイスになっている瞬間を見つけることが、前よりも増えてきた気がしていて。まだまだ悩むことだらけですが、少し進んだ気がして嬉しいです」

 

 昔から心配性で、今も撮影前日は眠れないという。

 

「これまで準備してきたことが、寝ることでリセットされてしまう気がして、不安になるんです。以前、かなり年上の先輩にこの話をしたら、『じつは僕も眠れないんだよ』とおっしゃっていて。この悩みはみんな持っているんだと思い、安心しました。きっといくつになっても、撮影前日は眠れないんだと思います」

 

『4TEEN』で共演した柄本とコロナ禍に映像作品を配信したり、7月には連続テレビ小説『らんまん』(NHK)で神木隆之介と共演した。

 

「この年になってまた一緒にできるのは嬉しいし、この仕事はおもしろいなって感じました。そして、(『らんまん』で)座長・神木くんを間近で見られたのは貴重でした。神木くんらしいのびのびとした現場で、演じることを楽しめばいいと、あらためて教えてもらった気がします」

 

 そんな落合があのとダブル主演を務めた、ミステリアスな雰囲気のファンタジー映画『鯨の骨』が公開中だ。

 

「座長といっても先頭で旗を振る感じはまったくなく、みんなで一緒に作っていこう!という感覚に近かったです。

 

 リハーサルに1週間かける贅沢なスケジュールだったので、よりみんなの絆が深まった気がして。顔を合わせて、すぐに役に入るのではなく、時間をかけて一緒にひとつの作品を作っていくのって好きなんですよ。みんなで気持ちを共有できる現場で作品に集中することができました」

 

 現状は「仕事は楽しいし、順調」とのことだが、今後は?

 

「それこそ、昔ご一緒した監督さんの作品に出たいです。井筒さんになんと言われるのか。また怒られるような気もしますが、今ならそれも楽しみと思えるかな。あと普通の役を演じてみたい。じつは、妻がいて子供がいるという役を演じたことがなくて。そう考えると、30年近くやっていますが、まだ演じたことのない役ってたくさんありますね」

 

 さまざまな作品で得た経験を糧にして、落合はさらに “うまい” 俳優へ進化する。

 

おちあいもとき
1990年7月11日生まれ 東京都出身 1996年、『やっぱりさんま大先生』(フジテレビ)に出演。2004年に『4TEEN』(WOWOW)で難病の少年を演じ注目を集める。2023年は『美しい彼シーズン2』(MBS)、連続テレビ小説『らんまん』(NHK)、映画『Gメン』など、ドラマ5本、映画4本に出演、バイプレイヤーとして欠かせない存在に。公開中の映画『鯨の骨』では主演を務める

 

【カーン・ケバブ・ビリヤニ】
住所/東京都中央区銀座8-8-11 博品館ビル6F
営業時間/11:00~15:00(L.O.14:30)、17:00~23:00(L.O.22:30)
定休日/年中無休

 

写真・伊東武志
ヘアメイク・山田みずき

( 週刊FLASH 2023年10月31日号 )

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