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「独裁者を放逐するいい機会」フジ日枝久氏の “同世代OB” が引退勧告…「中居トラブル」の遠因となった「縁故採用」の悪影響

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記事投稿日:2025.02.12 18:30 最終更新日:2025.02.12 18:56
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
「独裁者を放逐するいい機会」フジ日枝久氏の “同世代OB” が引退勧告…「中居トラブル」の遠因となった「縁故採用」の悪影響

1月23日、高級車の後部座席に深々と座る日枝久氏

 

 元「SMAP」の中居正広と、被害女性をつないだ会食のセッティングに、フジテレビ幹部社員の関与が取り沙汰されている問題。

 

 1月17日のフジテレビ・港浩一前社長の最初の会見から、まもなく1カ月が経とうとしているが、まだ同社の放送では、多くのCMが消えたままだ。

 

 

「今回の問題では、36年にわたってフジテレビの取締役を務め、同社の “社風” を作り上げてきた日枝久取締役相談役の責任を問う声が日に日に大きくなっています。

 

 1月27日の臨時取締役会では、港前社長と嘉納修治会長が責任を取り、同日付で辞任し、遠藤龍之介副会長も第三者委員会の報告書が出たら辞任することを表明しています。ところが、日枝氏はこんなことで辞任するのは馬鹿げていると考えているようです。依然としてフジテレビの独裁者として居座るつもりなのでしょう。

 

 そのため、フジ・メディア・ホールディングスの株主である米国投資ファンドのダルトン・インベストメンツから、2月3日付書簡で日枝氏の “辞任要求” が突きつけられる事態になっています」(テレビ局関係者)

 

 日枝氏は、1988年に同社代表取締役に就任。同社会長やフジ・メディア・ホールディングスの会長を歴任したあと、2017年に第一線から引き、取締役相談役に就任した。

 

「中居さんと女性のトラブルについて、フジテレビのコンプライアンス推進室長に情報が共有されていなかったことに驚きの声があがりました。この点だけを見ても、フジテレビのコンプライアンスやガバナンスが正常に機能していなかったことがうかがい知れます。

 

 現在、フジテレビの問題については、大企業や団体の不正調査に長年携わってきた企業法務のプロで、第三者委員会のお目付け役である竹内朗弁護士が委員長となり、日枝氏も含め、フジテレビ内部の詳細を調査しています。調査結果は3月末に出る予定です」(同)

 

 こうしたなか、本誌は日枝氏と同世代のフジテレビOBに取材をおこなっている。在籍中は主に報道畑を歩んだA氏と制作畑を歩んだB氏の2人だ。

 

■フジテレビOBも「黙っていられない」

 

 日枝氏に厳しい要求を突きつけるのは “外圧” だけではないと、A氏はこんな心境を明かす。

 

「OBのなかでは『声明を出したほうがいいのではないか』という話が出ています。OBとしても黙っていられないですからね。なんとか立ち直ってもらいたいと。現役社員のことを心配しています。声明を出せるかどうかはわかりませんが、もちろん、日枝さんの退陣を要求しますよ」

 

 B氏もこう言う。

 

「もう来るときが来たと。日枝さんは責任を取って辞めるべきだと思います。人に言われて辞めるとかそんなみっともないことはせず、そういうときが来たんだとしっかり責任を自覚してほしい」

 

 ここまでの怒りを露わにするのは、A氏、B氏ともに日枝氏の影響によるフジテレビの “人材不足” を痛感しているからだ。日枝氏の人事権濫用による弊害だという。

 

 A氏がこう話す。

 

「『笑っていいとも!』『オレたちひょうきん族』の横澤彪プロデューサー(2011年没)を排除したのが最たる例です。彼は順調にいけば、将来社長になるだろうと現場では評価されていました」

 

 横澤彪氏は役員待遇編成局ゼネラルプロデューサーに就任するも、1995年に57歳でフジテレビを退社し、吉本興業に転職した。

 

 B氏は、こうした人事によりフジテレビからテレビマンとして優秀な人材が離れていったとし、こう話す。

 

「今でもOBの集まりがあるのですが、みなさん言うことは同じ。日枝さんは人事権を使って、自分のイエスマンを全部まわりに集めて、編成、営業、そして制作でもあまり実績のない人間を局長クラスに据えた。さらにその人たちもイエスマンを集める状況になったせいで、企画力のある人間がほとんどいなくなったことが、今のフジの苦境の要因として、いちばん大きい」

 

 前出・テレビ局関係者が話す。

 

「フジテレビは、2015年に年間平均視聴率が民放で4位に転落し、現在まで4位が定位置となるなど、低迷しています。1982年から1993年までの12年間連続で視聴率三冠王を達成し、黄金時代と呼ばれたことがまるで嘘だったかのような体たらくです」

 

■2000年ごろから優秀な人材が辞めていった

 

 B氏は、日枝氏による人事がフジテレビに与えた問題点について、こう話す。

 

「もともとフジテレビの開局(1959年)は、民放キー局では4番めと後発です。なので、人を振り返させるような斬新な企画とか、ちょっと危ないけれど、おもしろそうといった番組を企画してきた。保守的でない姿勢がフジの強みで、後の連続視聴率三冠王につながっていったわけです。

 

 1980年6月に鹿内春雄さん(フジサンケイグループの創業者・鹿内信隆氏の長男)が副社長としてフジテレビに来たときは、『当たるか当たんないかわからないけど、いいと思ったら、どんどんやらせてみたら』と言い、現場は次々に新しいものに挑戦していった。そういうワイルドな社風だったんです。

 

 ところが、日枝さんがトップになると、そういう社風がだんだん上のほうからよどんできて、日枝さんやその取り巻きから嫌われると、関連会社に飛ばされるという雰囲気に変わっていった。そうすると、社員はどうしても保守的になって、バカな企画を立てて旗振ってみようなんてヤツはいなくなっちゃうわけですよ。

 

 2000年ごろから、優秀な人材が辞めていってますね。企画力が弱くなってくるとタレント頼みの番組になっちゃう。もう、さんまやたけしなどのタレントにおんぶにだっこという雰囲気がどうしても出ちゃう。お笑い番組やバラエティは、特にそうした傾向が強くなりました」

 

 B氏は、現在、問題視されているプロデューサーとタレントとの関係性にも苦言を呈する。

 

「タレント頼みになっちゃうと、タレントをちやほやし、タレントに取り入るようなことをしなくちゃならなくなる。

 

 自分たちが企画力もあり、自信を持っていれば、タレントのためにパーティーを準備し、女子アナを紹介してご機嫌を取ることで、番組を延命できるとか、番組の視聴率を少しでも上げられるとか、そんな姑息なこと考えもしなかったでしょう。

 

 タレントと変に個人的な付き合いを持つことが、プロデューサーなりディレクターなりの自慢というか、それを自慢げに話して、周囲もそれを巻き込んでいくような、そういう雰囲気がだんだんできたんでしょうね」

 

■激増した縁故採用の大問題

 

 A氏は、中居トラブルの遠因として、日枝人事の横暴だけでなく、縁故採用の問題があったと話す。

 

「鹿内信隆さんの時代にも縁故採用はありました。ただ、信隆さんを頼ってくる人については、信隆さんは人事の現場に『一応それなりの対応はしろ。最終的な判断は君らに任せるよ。君らがフジの人材として必要と思うかどうかは任せる。もし落とすことになっても、あとの尻拭いは俺がする』というスタンスでした。

 

 日枝さんの場合は違いました。日枝さんの腹心で開局前の1958年入社の尾上規喜(おのえきよし)さんという方がいます。彼も労組に関わり、日枝さんと同様に飛ばされた経験があります。

 

 1999年に副社長になり、現在フジ・メディア・ホールディングス取締役でフジテレビ監査役を務めているのですが、日枝さんが尾上さんを総務・人事担当役員として従えたときから、急激に “縁故採用” が増えた印象です。

 

 あるとき、フジテレビに落ちた女性がいたのですが、そのときに私が関わっていた関連会社で『どうしても拾ってくれ』と言われ、試験を受けさせたのですが、やはり採用は難しい。関連会社の総務担当が尾上さんのところに行き、『申し訳ないが、これはダメだ』と伝えた。

 

 しかし、尾上さんは『とにかく採れ』と言い、入社させた。結局は、2年ほどで本人から辞めていきましたが、なにしろ強引な命令でしたね。こうした人事が『悪貨は良貨を駆逐する』というグレシャムの法則を体現していたと思っています」

 

 そういった思いも込めて、A氏、B氏ともに、日枝氏への “引退勧告” を告げたのだ。

 

「視聴率でも他局に負けていますし、まったく新しい企画も出てこない。遠藤氏が社長(2019~2021年)になって以降、余計にそうなりました。思い切った企画が出ない。

 

 いま取締役のなかで日枝さんに鈴をつけられる人はいないでしょうね。日枝さんに引っ張りあげられた人たちばかりですから。でも、日枝さんにはけじめをつけさせるべき。独裁者を放逐するいい機会だと思います」(B氏)

 

 日枝氏は、会長時代の2003年12月13日付朝日新聞のインタビューで、1992年のクーデターについて中心的な役回りだったと聞かれた際にこう答えていた。

 

《中心的かどうかはわかりませんが、社長としてフジテレビをよりよく発展させるためにはしかたがなかった。クーデターだとか権力闘争だとか世間から批判されると思った。

 

 それでも、健全に成長した放送局を次の世代に引き継ぐことが私の使命だと思った。会社は個人のものではないし、ましてや世襲するものでもない。何のためらいもなかったです》

 

“次の世代” に引き継ぐのに、時間がかかりすぎてしまったのではないか――。

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