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ホリエモンを激怒させた社長が明かす『REAL VALUE』緊迫の裏側「放送後謝りに行った」

『REAL VALUE』史上、最もキレたホリエモン
「俺が出るから客が来るんだよ!バカかお前」
唇を震わせながら怒鳴り散らし、机を蹴ってペットボトルを叩きつける。ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏を激怒させたのは、「タレントボックス」代表の髙島怜央氏だ。
髙島氏は、今、YouTubeで人気を集める経済エンターテイメント番組『REAL VALUE』に出演。同番組は第一線で活躍する実業家の堀江氏、溝口勇児氏、三崎優太氏が主宰し、マフィアと呼ばれるトップ経営者の前で挑戦者が自身の事業をプレゼンするという内容だ。
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髙島氏はプレゼン冒頭の発言で、堀江氏の逆鱗に触れてしまった。出演回の動画は公開3日で再生200万回を突破し、各所で話題になっている。
「芸能界から搾取をなくす」という理念の下、「タレントコミュニティー事業」を運営する髙島氏は、みなぎる情熱を一流のビジネスパーソンにぶつけるべく番組に応募した。番組からオファーが届いたのは収録の2日前だったという。
「本当に急な話でしたね。何本かまとめ撮りをしているようで、間に15分の休憩を入れながら4~5本収録している感じでした。堀江さんが多忙なので、次のスケジュールの関係で時間が足りなくて収録がなくなるかも、と言われたくらいでした」
■なぜホリエモンを“煽った”のか
挑戦権を得た髙島氏は、あくまで番組はエンターテイメントであるため、盛り上げる要素が必要だと考えていた。また、髙島氏はマフィアらに対して言ってはいけない“地雷”はあるのかなど、番組スタッフにあらかじめ確認していたという。
作戦を練った結果、髙島氏は堀江氏にある問いかけを行うことにした。プレゼン開始早々、髙島氏は「堀江さんはご自身で演技が上手だと思いますか」と切り込んだのだ。しかし、その目論見は裏目に出てしまった。
堀江氏も自ら主演・プロデュースするミュージカル公演を行っている。本人にとって思い入れのあるプロジェクトだが、髙島氏は「堀江さんが出ているから、他の役者にチャンスが回らない」と指摘。堀江氏が怒るのも無理はなかったかもしれない。
そして、髙島氏とマフィアらが対立する構図が出来上がり、プレゼンは展開していく。
「あの状態だと、僕が何を言っても、マフィアの皆さんは批判するしかなくなっちゃうんです。それに、スタジオはかなり広くて、マフィアのみなさんの声が僕のところまで届かないんです。イヤモニ(イヤーモニター)とかもないので、後で溝口さんから“謝ったほうがいい”と促されたときも、ほとんど聞こえていなかったんです。だから言い訳したみたいになってしまいました」
■“札強奪”は決めていた
プレゼン前半、堀江氏は「ブーブー文句ばっか言いやがって、お前の実力不足だろうが!」と叫びながら、“NO MORE VALUE”(「価値なし」の評価。3枚出されると強制退場)の札を机の上に立てた。そこで髙島氏は堀江氏の前まで向かい、札を取り上げたのだ。堀江氏は札を返せと怒り、机を蹴り倒してペットボトルを叩きつけた。この“札強奪”は、実行をあらかじめ決めていたという。
「番組が始まると、堀江さんたちは机のある席にベタづけになってしまうので、『動き』を出すなら僕がそこまで行くしかないと思っていたんです。一応、自分が動けばカメラは追えるのかは事前に確認していました。それで、あのときは札を取りに行きました。
そこで謝ってもよかったのかもしれないんですけど……。ともかく、札を取ることはプランとして決めていました。もし取りに行かなかったら、あそこまで怒ってなかったかもしれませんね。でも、アドリブができなかったというか、自分の中で決めた動きをしなきゃと思っていたんです」
■「情弱ビジネス」という辛辣な批判
堀江氏だけでなく、他のマフィアからも髙島氏は厳しい批判を受けた。編集者の箕輪厚介氏は、タレントボックスの事業について「情弱ビジネス」と辛辣な言葉で評した。
「今から思うと、従来の芸能事務所のシステムを先に説明し、所属するにも大きなお金がかかるのに仕事がない、そこを変えたいんだと訴えるべきでした。多くの養成所は、例えば入学金で60万円とか、レッスン料名目で月に3万円~5万円がかかる一方、オーディションでさえ案件は少ない。
弊社の場合は無料、1年契約、3年契約の3つのコースがあり、3年契約は登録料3万9600円、毎月5500円の会費をいただき、月に1000件近い案件をご紹介しています。ドラマのエキストラなら、1回で4000円~6000円くらいのギャラは入りますから、1、2回行けば元が取れます。Netflixのエキストラだと、1回2万円でそこに数十名、ボンと供給することもあります。エキストラではない役付きの場合はオーディションがあるので、確実に出演できるわけではありませんが、案件自体は多いのです。それに、1案件で20人のエキストラというように多人数発注が行われるので、他の事務所より紹介できる仕事は確実に多い。弊社はまず仕事ありきで募集しています。月に5500円かかりますが、僕らはひとりひとりにきめ細かなサポートを行い、映像資料を撮ったり、オーディション面接のアドバイスをしたりしています。こういう説明もできればよかったんですが、3分のプレゼンでは無理でしたね」
髙島氏は、多くの事務所がレッスン料として実質的な月会費を取っているのもよくないと話す。
「僕らは仕事、案件が先にあり、例えばある案件で殺陣の技術が必要となれば、ワンコイン500円で殺陣のレッスンを行っています。目的が定まっていないダンス授業などは必要がないという考え方です。あくまでも案件優先ですから、場数が踏める。だから、他の事務所に所属しているけど仕事がない役者さんも弊社に登録していたりしますよ」
また、3年契約のコースでは、途中で辞めると解約料がかかることにもツッコミが相次いだ。
「解約金はいただきますが、半年の休所は可能です。留学とか家庭の事情などで続けにくいときは休所できます。それでも厳しい場合、3年契約は通しで5500円×36カ月の19万8000円ですが、その全額を払うことなく5万5000円で契約解除できます。このあたりもきちんと説明できなかったですね」
■役者を目指す前に持っていた意外な夢
番組収録後、髙島氏は堀江氏に挨拶しに行ったという。
「『申し訳ございません』って言ったんですが、『おう』くらいで、スルーされる感じで。何回か話しかけたら『しつこい』と言われてしまいましたね。まあ、ある意味では顔は覚えてもらったのかもしれませんけど」
飄々と語る髙島氏も元々は役者。映画『今日から俺は!!』や『HiGH&LOW THE WORST』などに出演した経験を持つ。しかし、それ以前はボクサーになることが夢だったのだという。
「高校卒業後、ボクシングでプロを目指してたんですが、両肩を脱臼しちゃったんですよね。21歳くらいの頃です。それでボクシングの道を諦めて、偶然見た養成所の広告で役者を目指したんです。入るのに70万くらいかかったのかな。そこで何となくお仕事はもらえて、4年くらい所属しました。
でも、ギャランティーは安く、事務所はその4倍とか5倍の額を取っている。その頃に、ある映画監督と知り合って、スポンサーの資料を渡されたんですよ。何日までにスポンサーを見つければな、みたいに言われて、『なるほどスポンサーを引っ張ってくれば映画に出られるんだ』と思ったんです。
いろんな投資家さんや起業家さんに話をしにいきました。『僕のスポンサーになってください』とお願いすると、『ああいいよ、今2000万くらいあるから』などと言ってもらえました。それを監督のマネージャーに伝えたところ、出演が決まりました。それが9月くらいのことで、来年3月から撮影を始めるなど、どんどん話が進みました。『ああ、映画ってこうやって作るのか』って納得しましたね」
最終的にはコロナ禍で撮影はなくなったというが、売り方を心得たという実感はあった。
「でも、それに気づいたら、演技よりも仕事を得る方法を教えていく側に回りたいと思ったんです。それがタレントたちをサポートするという、今の会社の目的に繋がりました」
■SNSでは炎上も「依頼は増えている」
多くの役者志望の若者は、仕事の取り方など知らない。事務所も教えない。だから、髙島氏は自分で金を集めて夢を叶えるやり方を教えたいのだという。
「たとえば制作会社がエキストラを募集する際、大人数の役者を抱える事務所から選んだほうが効率がいいんです。だから、登録人数を多く抱える弊社に案件が来れば、多くの人にチャンスが来る。
今回、堀江さんの番組に出たおかげで、依頼は増えているんですよ。そこはありがたいですね」
番組では終始叩かれる状態で、自身の事業の強みについて語りきれなかったことには悔いが残っているという。
「今までの芸能事務所との違い――『お金はもらうが、格段に安くて、より芸能の仕事につながりやすい』という弊社のメリットをプレゼンできなかったのは、僕のスキルのなさに尽きます。そもそも僕は他人に伝えることが苦手なんだと思います。でも、多くの方が応援してくれているので、ありがたいと思っています。
直接お話できれば、分かっていただけると信じているんです。でも、もっと伝え方を勉強しないといけないと思っています。番組出演は、貴重な体験でした。ただ、堀江さんに怒られたのは怖かったですね、自分の親くらいの年代ですから」
SNS等でも批判を浴びたが、髙島氏は出演自体は後悔していないという。
「まあ、僕がおかしいという書き込みを多く見かけましたが、自分でもネジが外れてるのは自覚しています。ただ、番組出演は本当に勉強になりました。そこで得たヒントをもとに、公式サイトの見直しも進めています。すでに新しい動画を作って、これからブラッシュアップしていく予定です。
もう一度、番組の経営者の皆さんとお話しができたらとは思っています。日本のビジネスの最先端にいらっしゃる方々なので、批判ではなく事業への率直な意見をもっといただきたかった。堀江さんにもいつか違う形でお会いして、お話ししたいですね」
堀江氏は14日に自身のYouTubeチャンネルを更新。『令和の虎チャンネル』2代目主宰で株式会社FCチャンネル代表取締役の林尚弘氏から「盛り上げるためにわざと怒ったとか、いろんな論争が起こってますけど」と聞かれ、「いやいやマジで普通にブチ切れたんですけど」と未だ怒りは冷めやらぬ様子。髙島氏が堀江氏と再び“対決”する日は訪れるのだろうか。