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阿部寛『キャスター』緻密な展開は面白いのに、いまいちハマりきれない理由…「日曜劇場」は “ぶっ壊す系” ドラマが多すぎる

日曜劇場『キャスター』の出演者たち
おもしろいのは間違いない。しかし、「また “ぶっ壊す系” かぁ」とマンネリに感じているのも正直なところだ。
4月20日(日)に第2話が放送された、阿部寛主演の日曜劇場『キャスター』(TBS系)のことである。
テレビ局の報道番組を舞台に、新キャスターとして抜擢された進藤壮一(阿部)が、闇に葬られた真実を追及し、悪を裁いていく社会派エンターテインメント。
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進藤はキャスター就任早々、スタッフたちの前で「このヌルい番組をぶっ壊します」と宣言するような、型破りな主人公となっている。
■主人公が「業界」や「常識」を破壊するドラマ
第1話では内閣官房長官の贈収賄疑惑、第2話ではスポーツの八百長や賭博を扱うなどしていたが、どちらも多重構造となった緻密な展開で目が離せなかった。いったん解決したと思ったら、そこからまた違う問題・事件が噴出してくる二転三転するストーリーが素晴らしい。
だが、あくまで個人的な感覚だが、いまいちハマりきれていない。
その理由ははっきりしている。この手の “ぶっ壊す系” ドラマが日曜劇場では多すぎて、食傷気味だからだ。
筆者の言う “ぶっ壊す系” とは、破天荒な主人公が固定観念にとらわれず、その「業界」や「常識」を破壊して再生させることを目的とした物語。
たとえば日曜劇場の前クール『御上先生』(TBS系)も “ぶっ壊す系”。エリート官僚教師が権力に侵された日本教育をぶっ壊すというストーリーで、ポスターなどに使われるメインビジュアルには、《[辞令]日本教育の破壊を俺に命ずる。》というセンセーショナルなキャッチコピーが踊っていた。
■去年と今年で6作品中4作品が “ぶっ壊す系”
2クール連続となっているわけだが、特に去年から “ぶっ壊す系” の放送頻度が高い。弁護士が主人公だった昨年4月期の『アンチヒーロー』(TBS系)や、医師が主人公だった昨年7月期の『ブラックペアン(シーズン2)』(TBS系)も “ぶっ壊す系” と言えるだろう。
つまり、去年から今年にかけて日曜劇場では6作品が放送されているが、そのうちなんと4作品が “ぶっ壊す系” なのである。
ちなみに、舞台となる業界は違うものの、『キャスター』と物語の構造が似ていると感じるのが、ちょうど1年前に放送していた『アンチヒーロー』。目的のためなら違法行為もいとわない、毒をもって毒を制すスタイルの主人公が、自身の過去に関係する “社会の闇” を暴くというストーリーラインが同じだからだ。
この手の作品が好きな視聴者が多いのだろうから、好意的に解釈すれば日曜劇場の十八番(おはこ)とも言える。にしても、型破りな主人公による “ぶっ壊す系” ドラマが、去年と今年の日曜劇場の3分の2を占めているというのは、さすがにマンネリすぎやしないか。
■“ノイズ” の多さがネックに
余談だが、『キャスター』は作品に没頭できない “ノイズ” の多さも気になるところ。
滑舌が悪いというのがもはやネタ化している阿部寛が、キャスター役というところにそもそも引っかかったのだが、準主役で出演している永野芽郁の不倫疑惑&二股疑惑スキャンダルも勃発してしまった。
第1話で主人公が「忖度はしません。大人の事情とやらで報じないなど、あってはならないことです」と宣言しており、永野が演じているのは真実を報じることを志すキャラなので、こんなきれいなブーメランもなかなかない。
――今夜放送の第3話では、2013年の朝ドラ『あまちゃん』』(NHK)でブレイクを果たすものの、長らくテレビドラマから干されてしまっていたのん(元・能年玲奈)がゲスト出演。永野は2018年の朝ドラ『半分、青い。』(NHK)でブレイクしたので、夢の朝ドラヒロイン共演となる。
朝ドラヒロインの先輩であるのんが、『キャスター』の “ノイズ” を振り払う好演をしてくれることに期待したい。