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『あなたを奪ったその日から』北川景子の演技は素晴らしいのに…ディテールが雑で無理がありすぎる “残念” 脚本

北川景子
描くべき意義のあるテーマだと思うし、主演・北川景子の鬼気迫る演技は素晴らしい。しかし、さすがにストーリーの詰めが甘すぎじゃないか?
4月28日(月)に第2話が放送された『あなたを奪ったその日から』(フジテレビ系)。惣菜店で買ったピザに、表示されていなかったアレルギー食材が混入していたことが原因で、3歳の娘をアナフィラキシーショックで亡くした中越紘海(北川)。
1年後、惣菜店の社長・結城旭(大森南朋)に復讐するため、結城の3歳の娘を殺すつもりで誘拐するも、自身の亡くなった娘と重ねてしまい、愛情が芽生えていく。そして、誘拐した娘を自分の子として育てていくことを決意する。
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今夜放送の第3話の予告によると、舞台はさらに3年後となっており、誘拐した娘は6歳に。娘には偽名をつけて自分と同じ苗字を名乗らせ、人目を避けて保育施設には預けずに育てていた、という展開のようだ。
■誘拐を疑わず事故と決めつける警察が無能すぎる
冒頭でお伝えしたように、愛娘を失った母親の壮絶な人生を描いていくというテーマはいいし、その母親の心理状態を憑依させたかのような北川景子の絶望と狂気の演技は特筆すべき素晴らしさがある。
2児の母である北川にとって、おそらく演じるのが精神的にきついシーンも多々あるだろうが、それだけ並々ならぬ決意でこのドラマのオファーを受けたことも想像にかたくない。
……だからこそ、ストーリーの詰めの甘さが非常に引っかかってしまう。
結論から言うと、主人公・紘海が3年間も逮捕されずに誘拐した娘との生活を続けているなんて、無理がありすぎるのだ。紘海が徹底して証拠を残さないよう、綿密な計画を立てて誘拐したのであればまだ理解できるのだが、誘拐前後の彼女の行動がとにかく雑。
誘拐直前、紘海は結城の自宅前で不審な動きをしているところを家庭教師に目撃されており、警察にもその情報は渡っている。また、紘海は偽装工作のため、誘拐した子のコートを河原に放棄し、靴を河に投げ捨てていたのだが、それらの行動はすべて素手。
にもかかわらず、刑事たちは誘拐の線はあまり疑わず、子どもが1人であやまって河に転落した事故だと判断した模様。警察が無能すぎる。
■誘拐犯が3年間、同じマンション、同じ職場って…
百歩譲って、誘拐された子の父が普通の一般人なら、警察がそう結論づけるのもわかる。だが、結城は食品事故の際の記者会見で、遺族感情を逆なでするような発言をして、世間からのヘイトが集まっていた人物なのだ。
となれば、事故だけではなく誘拐の線でも捜査すべきだし、そうなれば恨みを持っている人物として遺族は真っ先に容疑者として浮上するだろう。紘海は数多くの不審な行動をしていたし、証拠も残しまくっているので、警察が彼女を疑えばすぐに誘拐がバレていたはずである。
また、第3話のあらすじによると、3年後も結城はまだ娘がどこかで生きていると考え、懸賞金を出して探し続けているとのこと。そこまでの愛情と執念があるなら、遺族の犯行を疑わないのは不自然。
警察が事故死と決めつけて捜査を打ち切ったとしても、自分で探偵を雇うなり調査するなりすれば、紘海の犯行があっさりバレているはずだ。
さらに、紘海の行動として、楽観的すぎて本当に腑に落ちなかったことがある。それは誘拐した娘と遠方の地へ逃亡していたわけではなく、第3話では誘拐してからの3年間、同じマンションに住み、同じ職場で働き続けているということ。いくら人目を気にして隠れるように暮らしたとしても、娘を亡くしたはずの女性が同世代の幼女と一緒に住んでいて、3年間もバレずにすむだろうか。
――復讐相手の娘とニセの親子になるという大枠はいいのだが、ディテールが粗すぎて説得力があまりに薄い “残念” 脚本なのだ。北川景子の魂を削るような演技が報われるようなストーリーにしてもらいたいものだが……。
今夜放送の第3話以降で、ツッコミどころ満載の破綻箇所を軌道修正していってくれることに期待したい。