園子温　判決文を否定する“性加害反論会見”に被害者が続々怒りの声「彼氏が寝た後に寝室に呼ばれ」

 

　5月27日、『冷たい熱帯魚』や『愛のむきだし』で知られる映画監督の園子温氏が日本外国特派員協会で会見を開いた。園氏は会見を開いた理由について「もう一度映画を撮れるようになりたい、という一念でやっています」と語った。

 

　そもそもの発端は2022年4月に「週刊女性」に性加害疑惑を報じられたことだ。園氏は、発行元である「主婦と生活社」に対して、名誉を棄損されたとして損害賠償を求める訴訟を起こした。同裁判では、2023年12月に「週刊女性」のウェブサイト「週刊女性PRIME」に掲載された記事を削除することを条件に和解した。

 

　また園氏は、2022年に俳優の松崎悠希が、自身のXで《園氏がワークショップで知り合った女優に性的行為を要求した》という旨を投稿したことに対しても、名誉棄損にあたると損害賠償を求め、提訴していた。

 

関連記事：【誰かわからなかった記者も】園子温　記者会見で見せた姿からにじむ「隠居生活」での“変化”

 

「園氏は『週刊女性』との和解に応じた理由について、裁判を早く終えて、監督業に戻りたいと願っていたと明かしていました。そしてもうひとつの松崎氏との裁判については、5月16日、東京地裁は名誉棄損の一部を認め、松崎氏に対して投稿の削除と要求額の2％にあたる22万円の賠償金を命じました。

 

　同時に東京地裁は、園氏が複数の女性に対して性的行為を要求する文面のメッセージを送信したこと、性的な関係を有した女優を映画に出演させていたことは真実と認定しました。

 

　会見でこの認定を受け入れるのかを聞かれた園氏は『裁判は主文が大事で、本文は主文にしかなくて、今言っているのは、あとがき感想文みたいなところ』と言い放ったうえ、控訴する予定だと明かしました」（芸能記者）

 

　判決の主文以外の部分を「あとがき」と否定する園氏。同会見には多くの人が憤りを覚えている。

 

「園は、性加害や性暴力が何なのか、全くわかってないと思いました。社会の価値観は変わっているのに、園は何も変わっていない。私は被害者の一人として、許すことができません」

 

　と語るのは、女優のAさんだ。Aさんは園の性加害を受けたとする被害者の一人。5月16日に言い渡された、園氏が松崎氏を訴えた一審の裁判の判決文でも言及されている。

 

　Aさんが被害を受けたのは2010年だったという。

 

「私はグラビアを中心に活動していました。当時、園の脚本助手をしていた男性と付き合っていて、彼と一緒に園の自宅に行ったときでした。皆でお酒を飲んでいた時、彼が酔って寝てしまった。そうしたら園は私を寝室に連れて行って行為に及んだのです。抵抗すれば嫌われて映画に出してもらえなくなると思い、行為が終わるのを待ちました。その後は数回私だけ呼び出され性行為を要求されました。園は酔っていると人が変わるのです。私は20歳そこそこで性暴力とは何かわかっていませんでした。映画界とはこういうもので、受け入れていかなきゃいけないものだと何度も自分に言い聞かせていました」

 

　園の悪質ぶりは目に余るという。

 

「私は園の自宅に行ったとき、彼氏と一緒だから、まさか彼のいる所でそんな事が起こるわけはないと想像すらしていませんでした。園は何人いてもお構いなしなんです。会見でも、亡くなった千葉美裸さんのケースで、部屋に複数人いたから性加害が起こるわけがないという趣旨のことを言って、被害者を嘘つき呼ばわりしていました。私は園を許せません」

 

　被害に遭って以降、Aさんは精神的にも追い詰められたという。

 

「性被害は、肉体的にだけでなく精神的にもずっと苦痛が伴います。なぜ抵抗しなかったのかと言われますが、『エントラップメント型性暴力』と言って、権力を利用して精神的に追い込み、明確な暴力がなくても逃げられない状況をつくって性交を強要するのも性暴力の一種なんです。私もそのことを知って、立ち上がろうと思いました」

 

　本誌は、2023年4月にAさんの告発を報じている。しかし当時も園は、Aさんと知り合ったいきさつを認めたうえで肉体関係の“強要”について否定した。さらに、Aさんとは打ち上げ会場で談笑するなど、良好な関係であるとした。まさに今回の会見で主張した通り、園は映画監督としての立場を利用した加害性を一切否定しているのだ。Aさんは怒りをむき出しにする。

 

「園にとっては、恋愛イコール性暴力ということなのではないですか。世間の認識とはあまりにもずれている。被害を受けたのは私だけじゃありません。映画が好きで園を尊敬して集まってきた若者たちにも、次々と裏切り行為をしてきたんです。

 

　会見でまた映画を撮りたいと言っていましたが、どうしても映画を作りたいなら、性暴力について一から学びなおして、まずは裏切り傷つけてきた人たちに謝ってほしいです」

 

　かつて園の付き人を務めていた男性もこう糾弾する。

 

「私が脚本助手をしていた頃、共演経験のある女性の俳優を園監督に紹介したことがありました。ある日、彼女とともに監督の自宅を訪ねた際、私に対し『空気を読め』と言わんばかりに私だけ先に帰らされました。不安を覚えたので監督の自宅に引き返すと、監督と彼女は私の目の前でキスを交わし、『これで理解したか』と告げて寝室に向かったのです。私は体が固まり、立ちすくんでしまいました。今もそのことを忘れることができず、彼女を紹介してしまったことを後悔しています」

 

　付き人だった男性も、やはり園の記者会見を見て怒りが込み上げてきたという。

 

「判決で、一部の性加害が事実認定されたことは大きな一歩です。でも、これは園監督個人だけの問題ではないと思っています。性加害に無自覚に加担してきた人々や、見て見ぬふりをしてきた業界全体も今回の判決とどう向き合うかを問われています。当時声を上げられなかった人たちにも、今こそ声を上げてほしいと思います。日本の映画界が性加害と決別するための戦いは、ようやく始まったばかりだと思います」

 

　園氏が自身の言行を心の底から反省する日はやってくるのだろうかーー。