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福原遥『明日はもっと、いい日になる』児童虐待疑惑からのハッピーエンドが “感動の押し売り” と感じてしまったワケ

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記事投稿日:2025.07.14 11:00 最終更新日:2025.07.14 12:32
出典元: SmartFLASH
著者: 堺屋大地
福原遥『明日はもっと、いい日になる』児童虐待疑惑からのハッピーエンドが “感動の押し売り” と感じてしまったワケ

 

 

 児童相談所を舞台にしたハートフルヒューマンドラマ『明日はもっと、いい日になる』(フジテレビ系)。福原遥主演で、4月7日(月)にスタートした月9の新作である。

 

 児童虐待をテーマにした初回は、親子愛の美談でまとめてハッピーエンドになっていたが、虐待死なども起こっている深刻な社会問題の実態を描くことなく美化していたため、リアリティがないといった批判の声も少なくなかった。

 

 たしかに、現実にはもっと残酷な結末を迎える事例があるだろうから、そういった批判の声も理解できるが、「ハートフル」を謳ったドラマの初回なのでハッピーエンドにしたこと自体は悪くないと思う。

 

 

 筆者が引っかかっているのは、ハッピーエンドに至るまでのプロセス。ある強引な手法が用いられており、そのシーンがどうしても “感動の押し売り” に思えてしまったのだ。

 

■足にアザのある男児…母親の虐待か?

 

 所轄の刑事だった夏井翼(福原)が、容疑者尾行中の失態をきっかけに児童相談所への出向を命じられるところから物語は始まる。

 

 翼は児童福祉司・蔵田総介(林遣都)と訪れた母子家庭で、小学校低学年の息子の足に痛々しいアザがあることを見つけ、母親の虐待を疑う。後日、その家庭への虐待通告があり、保護された息子は「ママに叩かれた」と証言し、母親と一緒に暮らしたくないと訴える展開だった。

 

 結論を言うと、母親は家出した息子の頬を一度だけ叩いたことはあったが、足のアザは息子が自分で転倒してつけてしまったものだとわかり、虐待の疑いは晴れる。

 

 息子は、ダブルワークで1日12時間働きながら家事も育児も完璧にするよう必死になっている母親を見て、自分のせいで母親が苦しんでいると思い込み、一緒に暮らしたくないと拒絶していたというのが真相だった。

 

■子どものセリフで説明させる安易さ

 

 筆者が強引な手法で “感動の押し売り” をされていると感じたのは、まさにその真相が明かされたシーン。

 

 母親が「ママのせいで不自由な思いさせて、ホントにごめんね」と謝ると、息子は「ママのせいじゃない」と言い、次のように本音を語ったのだ。

 

「僕、知ってるよ。ママはいっつも、仕事もお料理もお洗濯もがんばってくれてて。でも僕は、ご飯なんかまずくていい。服なんか着れなくていい。全部、全部、いらないから、もっとママと一緒にいたい。ママには笑っててほしい」

 

 小学校低学年の男子が、理路整然と物事を考え、あまりにも感情をきちんと言語化できている――それが制作陣からの「ここが感動ポイントですよ!」「どうぞここで泣いてください!」という、ミエミエのアピールに思えてしまったのである。

 

 好意的に解釈すれば、視聴者にわかりやすく伝わるように子ども自身に真意をしゃべらせたと考えられるが、感動ポイントを子どものセリフで説明させているところが安易かつ強引で、脚本家の手抜きのようにも感じられた。

 

■90分スペシャルで尺は充分あったはず

 

 ハッピーエンド自体が悪いわけではないが、その結末への着地が子どもの説明セリフに依存していたことに、興ざめしてしまったのだ。

 

 初回は30分拡大の90分スペシャルで尺は十分あったはずなので、子どもにぺらぺらしゃべらせずとも、表情や背景などをじっくり描けば伝えることができたのでは……。

 

 今夜放送の第2話は、汚い身なりをした幼い男児がコンビニで万引きをしてしまうというストーリー。ネグレクトが疑われる事案になりそうだが、第2話もハッピーエンドになるのか、そしてまた “感動の押し売り” があるのか――注目していきたい。

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