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磯村勇斗『僕達はまだその星の校則を知らない』これが「エモい」という感情か! 「キュン」とはまったく違う「エモい」を初体験

ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』(フジテレビ系)で主演を務める磯村勇斗
これが「エモい」という感情か……! と、このドラマで実感した。8月18日(月)に第6話が放送された磯村勇斗主演の『僕達はまだその星の校則を知らない』(フジテレビ系)。
舞台は男子校と女子校が合併し、共学化したばかりで揺れている私立高校。
幼少期から独特な感性を持ち、マイペースな性格ゆえに集団行動になじめず、不登校になった過去がある弁護士・白鳥健治(磯村)は、「スクールロイヤー」としてその高校に赴任することに。
スクールロイヤーとは、いじめ、不登校、保護者対応など学校内で発生する問題に対して、法律にもとづいた助言や指導をおこなう弁護士。健治は学校嫌いだったものの、教師と連携して生徒たちと関わっていく。
また、もともと宇宙好きだった健治は、外部から部活動指導員を採用できる制度により、一度は廃部したものの復活させた天文部の顧問を引き受ける。第5話では、夏合宿の宿泊先として、祖母と暮らす自宅に天文部の生徒たちを招き入れ、交流を深めていた。
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■これぞジュブナイルといったエピソード
本作は一風変わった学園もの。オーソドックスな学園ものの主人公は先生か生徒だろうが、このドラマの主人公はスクールロイヤーとして赴任している弁護士。そのため、生徒たちから一歩引いたスタンスとなっており、主人公が生徒を引っ張っていくようなストーリーではない。
健治は法の専門知識は豊富だが、精神的に未成熟な部分もあるため、生徒たちとともに悩み、考え、一緒に答えを探していく “歳の離れた仲間” のような立ち位置だ。その結果、ほかの学園ドラマよりも生徒たちの主体性に重きが置かれている。
けっして健治の主人公としての存在感が薄いわけではないのだが、筆者がエモいと感じるシーンは、そんな生徒同士のやりとり。
第1話では、生徒会長の男子と副会長の女子の関係性がめちゃくちゃ尊かった。
かつて会長の座を争っていたため犬猿の仲と思われていたが、実はお互いを戦友のようにリスペクトしあっていた2人。女子副会長がスラックスを穿いて登校したことで妙な視線を集めてしまい落ち込んでいたところ、男子会長がスカートを穿き、全校朝礼に登壇したのだ。
それは「お前は一人じゃないんだぞ」というメッセージを副会長へ伝えるため。坊主頭(会長)のスカート姿がとてつもなくかっこよく見えるという神演出だった。
第5話の、夏合宿で天文部の面々が原っぱで天体観測をしながら、朝まで語りあうシーンは、ドストレートにエモかった。
最下位の成績が流出してしまうトラブルに見舞われた1年女子が、自作のSF小説のストーリーをみんなに語るシーンなどがあり、星空と彼らが美しすぎて、これぞジュブナイルといった珠玉のエピソード。
翌朝、天文部部長の男子が健治に、「こんなふうに星が見られると思わなかった。ほんと、冗談抜きで、一生分の青春を感じた。ありがとう」と伝えていたが、こんな純粋な感謝の言葉はなかなか聞けるもんじゃない。
第6話は、医学部に入れたい毒親(父)から教育虐待を受け、プレッシャーからカンニングをしてしまったイケメン生徒のエピソードが描かれた。
そのイケメンはエリート風を吹かしており、恋愛にうつつを抜かす男子や将来の夢を語る男子に皮肉を言い放つ嫌味キャラ。だが、彼の窮地を察した元生徒会の仲間たち(この時点で生徒会は引退済)が夜に集まってくれて、成績が伸び悩み鬱々としていたイケメン君も、ストリートバスケに興じて屈託のない笑みをこぼす。
仲間の女子から「へー、そういう顔して笑うんだ」とからかわれ「うっせ(笑)」とぼやくという、アオハル感満載の掛けあいがよかった。
■ティーンエイジャーの性差を超えた友情
さて「エモい」とは、“感情が動かされる様子” を表した「エモーショナル」が由来の造語なので、広義の意味で考えると「感動する」と同じようなニュアンスである。
老若問わず全年代を包括した表現ではあるが、やはり比較的に「エモい」はティーンエイジャーに適用されることの多い表現だろう。また、ラブコメなどのときめきシーンでも「エモい」は使われるが、恋愛の場合は「キュン」「ムズキュン」「キュン死」といった言い回しが優先されることが多い。
あくまで筆者の個人的な感想だが、そうやって考えると “ティーンエイジャーの性差を超えた友情” を見たときが、「エモい」という言葉がベストマッチするような気がする。
しかし、筆者のような中年になると、なかなか “ティーンエイジャーの性差を超えた友情” を追体験できる機会もない。だから、思い返すと、「エモい」という新語があることは知っていても、その感情を強く実感したことはほとんどなかったのだ。
そこにきて、この『僕達はまだその星の校則を知らない』だった。第1話から第6話まで、何度も何度もティーンの男女の友情に心を振るわされた。「エモい」を人生初体験させてくれたのである。
主要生徒キャラのなかには今後恋愛に発展しそうな関係性の男女もいるが、それよりも本作はやはり友情が色濃く描かれている。高校生だからってなんでもかんでも恋愛に結びつけないのもいい。そこも「エモい」。
今夜の放送は第7話。ストーリーは後半に突入しているが、これからもまだまだエモさを存分に体験させてほしい。