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『僕達はまだその星の校則を知らない』磯村勇斗のピュア恋愛の陰で、高校生男女が “恋愛しない” 秀逸展開【ネタバレあり】

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記事投稿日:2025.09.23 18:00 最終更新日:2025.09.23 18:23
出典元: SmartFLASH
著者: 堺屋大地
『僕達はまだその星の校則を知らない』磯村勇斗のピュア恋愛の陰で、高校生男女が “恋愛しない” 秀逸展開【ネタバレあり】

磯村勇斗

 

 9月22日(月)に最終話(第11話)が放送された、磯村勇斗主演の学園ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』(フジテレビ系)。

 

 今クールのなかでそこまで目立った作品ではなかったと思う。けれど、語彙力が乏しいと思われてもかまわないぐらい、最終話を観終えての感想はシンプルに一言。

 

 すげぇよかった!!

 

 

■学園ドラマの主人公ながら、職業は教師ではなく「弁護士」

 

 舞台は男子校と女子校が合併し、共学化したばかりで揺れている私立高校。

 

 幼少期から独特な感性を持ち、マイペースな性格ゆえに集団行動になじめず、不登校になった過去がある弁護士・白鳥健治(磯村)は、「スクールロイヤー」としてその高校に赴任することに。

 

 スクールロイヤーとは、いじめ、不登校、保護者対応など学校内で発生する問題に対して、法律にもとづいた助言や指導をおこなう弁護士。健治は学校嫌いだったものの、教師と連携しつつ生徒たちと深く関わっていくというストーリーだ。

 

■【ネタバレあり】ドラマ史上、もっとも平和な法廷シーン

 

 最終話前の第10話で、生徒会副会長だった女子生徒を守るため、スクールロイヤーを辞職していた健治。迎えた最終話では、待遇への不満が爆発した女性教師(平岩紙)から弁護人として依頼を受け、学校を訴えることに。

 

 第1話では、健治の発案により校内で模擬裁判が開かれていたが、最終話では本物の裁判所で本当の裁判が開かれるという伏線回収だ。

 

 しかも、裁判では原告側(女性教師側)と被告側(学校側)に、レギュラーメンバーの生徒や卒業生たちがそれぞれ証人として立ち、仲間同士で対立してしまうという異例の展開。

 

 ……と説明すると、かなりギスギスした険悪ムードな裁判をイメージするだろう。

 

 だが、実はその生徒・卒業生の対立構図は健治が仕掛けたもので、法廷内の雰囲気は真逆。原告側の証人は女性教師への感謝を述べつつ結果的に学校愛を語り、被告側の証人は学校愛を語りつつ先生たちへの感謝を述べるという、誰も傷つけないめちゃくちゃハートフルな裁判になったのだ。

 

 けっきょく裁判は和解へ。健治は法廷でつい「こんなおもしろい裁判って、またとあるだろうか」と口にしてしまうほどで、裁判官が「本件は本当に訴訟をしてまで争うべきことだったのでしょうか?」と疑問を呈するぐらい、法廷の雰囲気は和やかだったのである。

 

 語弊がある表現かもしれないが、これはもう生徒・卒業生たちによる “最高の茶番劇”。数々のドラマや映画であまたの法廷シーンが描かれてきたが、少なくても筆者が観てきた作品のなかでは、もっとも平和な “ほっこり裁判” だった。

 

■磯村勇斗と堀田真由の大人ペアは王道の “ピュア恋愛”

 

『僕達はまだその星の校則を知らない』という作品全体を通して特筆しておきたいのは、恋愛の描き方。

 

 主人公・健治については王道のラブストーリーとなっていた。

 

 準主役の女性教師・幸田珠々(堀田真由)と回を重ねるごとに少しずつ心の距離を縮めていき、第9話で気持ちを伝えあって両想いになり、最終話前半で初デート。かと思えば、最終話ラストで健治がいきなりプロポーズして結ばれるという急展開のハッピーエンド。

 

 最終話のスピード感には驚いたものの、独特の感性を持った主人公のキャラクターを考えれば、ピュアさゆえのプロポーズだとわかることもあり、オーソドックスな恋愛展開だったと言える。

 

 一方、生徒たちはいい雰囲気の男女でも恋愛展開にならず、最後まで友情として描かれていたのが印象的。一昔前のドラマで高校生男女がいたなら、とりあえず引っ付けてカップルにしたように思うが、本作はいまの時代のティーンエイジャーを反映しているのか、安易にカップルを量産するようなことはしていない。

 

 もちろん生徒同士の恋愛や片思いを描いた回もあったのだが、たとえば盗撮疑惑から仲よくなったクラスメートの男女や、天文部の後輩女子・先輩男子など、恋愛フラグが立っていたようにも見えたが、友情や尊敬に着地していたのである。

 

■生徒会にも恋愛フラグが立っているように見えたが

 

 なかでも筆者がとにかく推していたのが、生徒会長の男子と副会長の女子の友情。かつて会長の座を争っていたため犬猿の仲と思われていたが、実はお互いを戦友のようにリスペクトしあっているという2人だ。

 

 第1話では、副会長女子がスラックスを穿いて登校したことで妙な視線を集めてしまい、落ち込んでいたところに、生徒会長男子がスカートを穿いて全校朝礼に登壇。それは、暗に「お前は1人じゃないんだぞ」というメッセージを副会長へ伝えるためで、坊主頭(会長)のスカート姿が超絶かっこよく見えるという神演出だった。

 

 この2人は第10話でもフィーチャーされている。

 

 副会長(この時点では生徒会引退済)が幼馴染にハメられ、大麻所持の疑いで逮捕されてしまったのだが、健治がスクールロイヤーをやめて、付添人弁護士となって無事に救済。

 

 そんな副会長は、少年鑑別所のなかから先生や仲間に手紙を送っており、生徒会長(この時点では生徒会引退済)が受け取った手紙には、「私は今、絶望の中にいます。」から始まり、最後に「それでも、友達でいてくれますか?」と綴られていた。

 

 生徒会長は、大きな文字で「当たり前だろ バカ」とだけ綴って返信。これまた超絶かっこいい。副会長は「鑑別所入って初めて声出して笑った」と笑顔を見せるのだった。

 

 本作においてもっともスポットの当たっていた生徒の男女ペアが、初回からラストまで胸アツの友情で一貫していたのがとても素晴らしい。もう本当にこの2人には何度も感涙させられたのだ。

 

 坊主頭の生徒会長を演じた俳優は日高由起刀。ロングヘアの副会長を演じた俳優は南琴奈。この2人以外にもレギュラーの生徒役にはそれぞれ独特の個性で惹きつける若手俳優が多かったので、彼・彼女らの今後の活躍に期待したい。

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