テレビドラマがリアルタイムで見られなくなっている現在、成功度を従来の「視聴率」だけで測ることは難しくなってきた。
大手広告代理店では、各作品の「総制作費」と「視聴率」をもとに計算された「採算分岐点」から、コスパを換算し、さらに録画視聴の指標である「タイムシフト視聴率」などを加味して、ドラマの成否を判断している。
本誌は、そうしたさまざまな指標のひとつで、ドラマ制作者たちのリアルな声が掲載されている極秘データを入手した。1990年代〜2000年代前半は、「月9」「木10」などの愛称がついた枠で、向かうところ敵なしの視聴率を誇っていたが、近年は一転、低迷が続くフジテレビのドラマを紹介する。
2019年1月期のフジのドラマで、一番評価が高いのが、『週刊文春』で関ジャニ脱退が報道された、錦戸亮が主演する『トレース〜科捜研の男〜』(毎週月曜21時00分〜)だ。
かつての「月9」の慣習を捨て、なるべくコストを抑えて「低燃費ドラマ」を目指した。第9話の放送を終えて、平均視聴率は10.65%と、結果的に目標としてきた二桁をキープしている。また、録画などの視聴率である「タイムシフト視聴」でも強い。
●メインキャスト:
錦戸亮、新木優子、船越英一郎ほか
●現場の声:
「錦戸さんが偏屈で困っています。まあ、役柄が偏屈だからかもしれないんですけど」
「船越さんは、いったん火が付くとおしゃべりが止まりません。現場でオヤジギャグやダジャレを連発して、共演者からは少し鬱陶しがられているようです(笑)」
「船越さんの出番が、当初の予定よりも多くなりましたが、抑えめのギャラでも、積極的に臨んでくれています」
一方、失敗判定のドラマもある。その筆頭が、木村佳乃が主演する『後妻業』(毎週火曜21時00分〜)だ。
むしろテレビ朝日や東海テレビの得意ジャンルである、「ドロドロ劇」の本作。主婦層が主なターゲットだが、採算分岐点を超えたのは初回の8.7%のみ。木村佳乃と木村多江の、本気の殴り合いも虚しく、平均視聴率は、第7話を終えて6.49%と、じり貧の一途だ。
●メインキャスト:
木村佳乃、木村多江、高橋克典ほか
●現場の声:
「佳乃さんは、自宅で台本を音読みするそうです」
「佳乃さんの役柄は、関西人の設定なんですが、まだ幼いから吸収しやすいのか、その影響でお嬢さんが関西弁になっているとか(笑)」
続いて失敗判定の第2位は、山口紗弥加が主演し、フリーアナウンサーの田中みな実がドラマ初出演ということで一時話題になった『絶対正義』(毎週土曜23時40分〜)だ。
ドロドロした「昼ドラ」が幾度となく話題をよんだ、東海テレビの制作枠。放送スタートは2月で、第5話まで終えた平均視聴率は3.94%。深夜帯としては、健闘しているともいえる。
業界内でも注目されているのは、主演や作品のストーリーではなく、田中みな実の情事シーンと、主演・山口の少女時代を演じる白石聖の怪演ぶりばかり。おそらくこの2人は、今後もドラマ出演のオファーが絶えない、との評価だ。
そのせいか、大人役の山口に対しては、視聴者のアンケートで「なんかイラつく」「見てるとムカツク」など、さんざんな意見ばかり。それだけ役に入り込んでいる、ともいえるが……。
●メインキャスト:
山口紗弥加、田中みな実、片瀬那奈、白石聖ほか
●現場の声:
「田中みな実さんのベッドシーンは、初対面の相手役と、いきなりでしたが、物怖じする様子も見られず、キス連発でした」
「毎回何かしらのお色気シーンがあり、田中さんもそれをわかっての出演なのですが、片瀬さんが『よくやるわよね~』と田中さんのアザとい立ち振る舞いを、メイクさんに愚痴っていました」
「田中さんのラブシーンの撮影をしました。気のせいかもしれませんが、男性スタッフに露出のサービスしてくれたんです。意外と冷静に、どこにスタッフがいるか計算していた気がします」
ドラマ制作の現場は、スタッフのさまざまな思いが交錯しているのだ。
※数字は3月6日現在のもの