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玉村豊男の「肝臓闘病30年史」ラジオ波治療で11個のガンが消滅
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.07.10 20:00 最終更新日:2020.07.10 20:00
エッセイスト・玉村豊男氏(74)と肝臓病の闘いの歴史は、30年以上になる。最初は41歳のとき、大量吐血で救急搬送された。
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「原因不明でしたが、自分では深酒と過労が重なったせいだと思っています。夕食でワインや日本酒を飲み、その後はラムやジンをソーダ割りで飲みながら、深夜まで原稿を書くような生活でしたから」
このときに受けた輸血で、肝炎に罹患してしまった。輸血された血液が、C型肝炎ウイルスに感染していたためだ。
「当時、『輸血を受けると10人に1人は輸血後肝炎になる』といわれていました。私は、体内の血液の半分の量の輸血を受けたので、感染してもおかしくありませんでした」
肝機能を示すAST(GOT)・ALT(GPT)の数値は、基準値(10~30)を大きく上回る400を示した。目が黄色くなり、尿が茶色くなる黄疸の兆候もあった。
肝炎をもたらしたC型肝炎ウイルスは当時、まだ特定されていなかった。確かな治療法もないまま、慢性肝炎との長い闘いが続いた。
「医師からは、『1日15時間は横になっているように』と指導されましたが、そんなに休んだらかえって疲れちゃう(笑)。サプリや漢方薬なども試しましたが、『効いた』と思えるものはなかったですね」
最初の入院から10年ほどたつと、肝機能の数値は次第に安定し、旅行や仕事ができるようになった。そして2015年1月、新薬を試したところ、2~3カ月で肝炎ウイルスがまったく検出されなくなったのだ。こうして肝機能は劇的に改善し、数値は一気にまで下がった。
だがその1年後、肝臓ガンが見つかった。
「『いずれ肝臓ガンになる可能性がある』とはいわれていましたが、見つかったときは、やはりショックでした。肝臓ガンの5年生存率は50%未満。5年生きるかどうかは、五分五分ということですからね」
治療は、ラジオ波焼灼療法(RFA)によっておこなわれた。
「針をおなかや背中から肝臓に刺し、ラジオ波によって先端の周囲を加熱して、ガン細胞を焼き切るんです。開腹手術に比べて、体への負担が少ない治療です」
その後、5年間に7回の治療を受け、11個のガンを消滅させた。
「検査のたびに、ガンの数は減っています。今度はゼロになってほしいですね」
現在は体調は悪くなく、飲酒も早くから再開している。
「でも、不思議と検査数値はあまり変わらないんです。病気になっても、自分をコントロールしながら今を楽しむ。それが私のやり方です」
肝臓専門医の浅部伸一医師が、玉村氏の治療法について解説する。
「C型肝炎ウイルスは、今は特効薬によって95%以上が根治します。ただ、C型肝炎が原因で、肝臓ガンになるケースは多いのです。
肝臓ガンの手術は、普通のメスでは出血が多くなるため、電気メスやレーザーメスを使います。玉村さんが受けたラジオ波治療も有効で、広くおこなわれています」
(週刊FLASH 2020年6月23・30日号)