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【食堂のおばちゃんの人生相談】33歳・会社員のお悩み

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.07.13 11:00 最終更新日:2020.07.13 11:00

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

 

【お悩み/堪忍袋の緒さん(33)会社員】
 昔、会社で先輩だった人に、5年ぶりにパーティで再会した。先輩は転職先で大活躍し、いまや業界の有名人だ。私もそばに行って挨拶したが、完全に無視された。悔しい。この憤りを、どう晴らすべきか。

 

 

【山口先生のお答え】
 うわ~、身につまされます。そういう屈辱感って、通り魔に唾を引っかけられたみたいですよね。

 

 10年くらい前、私、会社帰りにソフトクリーム(酒の次に大好物!)を舐めながら銀座駅の構内を歩いていたら、向こうから来たホームレスみたいな小汚い爺さんに、すれ違いざま「だから太るんだよ、婆さん」と言われたんです。

 

 咄嗟のことで、しかもソフトクリームを舐めていたから何も言い返せず、振り返って「お前みたいな小汚いジジイに言われたかねえ!」と叫んでやろうとしたら、すでに姿が見えなくなっていました。この、「言い返せずに言われっぱなし」という状況が、心に大きな傷を残すんですね。

 

 私、松本清張賞を受賞するまで、時々あの時のことを思い出して怒りと屈辱に震えていました。だから、あなたの憤りも長く消えずに潜伏することになるでしょう。

 

 それでも、時が癒やしてくれます。傷は必ず完治します。その先輩、昔の後輩の挨拶を無視するような態度では、いつかどこかで躓くと思いますよ。どの業界でも足の引っ張り合いはありますからね。脇が甘いです。躓いたら、思いっきり笑ってやりなさい。

 

 そしてスポーツくじを買いましょう。6億円手に入ったら、この世に不幸はありません。

 


やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中

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