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【食堂のおばちゃんの人生相談】47歳・派遣店員のお悩み
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.09.25 11:00 最終更新日:2020.09.25 11:00
「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/恋のから騒ぎさん(47)派遣店員】
独身です。夕食は、ほとんど近所のコンビニで買っていて、そこの女性店員(30代後半)に心惹かれています。僕は今までモテたことがなく、風俗以外の女性経験は32歳のときで、3カ月後に破局してしまいました。
彼女はその女性に似ていて、なんとなく僕にもチャンスがあるような気がするのですが、ハゲかかった僕が、いまさら女性を口説くなんて無理でしょうか? 人を好きになったのは15年ぶりなんです。
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【山口先生のお答え】
おめでとうございます。15年ぶりに訪れた春なのですね。最近ゲスな話ばかり多くて、あなたの真摯でひたむきな思いを伺うと心が洗われるようです。私、ひと肌もふた肌も脱ぎますよ。
すべての女性が壁ドンや王子様を待ち望んでいるわけじゃありません。30代ともなれば現実味のない相手より、心を許せる等身大のパートナーを求めている女性の方が多いんじゃないでしょうか。
とにかく、さりげない会話から始まって、徐々にあなたの真面目な人柄と真摯な思いをわかってもらえるように頑張りましょう。
きっかけは「○○弁当はありませんか?」ですね。コンビニは商品開発競争が激しく、人気の定番商品以外はあっという間に棚から消えているので、話題に事欠きません。「僕は○○が好きだったのに、残念だな」「××はいつもあるから、ホッとしますよ」とか、彼女と短い会話を交わしましょう。
そして、コンビニの業務は種類が多くて大変なんですよ。販売以外に商品の受け入れ・陳列・入れ替え、更に宅配便・チケット・宝くじ・クリーニングなどの受付けと受け渡し。経験者か若くて頭が柔軟な人じゃないと、店員さんは務まらないと聞きました。
そのように大変な業務をこなしている彼女を、さりげなくねぎらいましょう。褒めましょう。最近は雑誌に立ち読み防止のバンドを掛けてある店もありますね。「これはお店でやってるの?」なんて尋ねて「どんどん仕事が増えて、大変だねえ」と同情して下さい。
自分の仕事の大変さを理解し、評価してくれるお客さんに、彼女が好意を持たないはずはありません。「この人、良い人だな」と思ってくれたら、第二段階です。
いきなりお茶に誘ったり、高価なプレゼント(腕時計とか)は禁物。新作映画や展覧会の入場券を2枚(これがミソ!)「会社でもらったんだけど、僕は行けないから、代わりに友達とどうぞ」と言って渡しましょう。「無駄にするの、勿体ないから」とフォローして。
そして彼女が「この間はありがとうございます」と言ったら「どうでした?」と聞いて、「へえ、面白そうですね。今度、時間作って行ってみようかな」と、嘘でもいいから話を発展させましょう。
そして、いよいよお食事に誘うわけですが、恥ずかしかったら「実は飲食関係のリサーチャーのバイトしてるんです。ただ、一人だと注文も限られるんで、都合のいい日に一緒に行ってもらえませんか?」と嘘も方便ですよ。
お食事したら、勇気を出して真実を打ち明けましょう。お店に通ううちに、彼女の笑顔に癒やされていることに気が付いた、と。
「決してストーカーになるつもりはありませんから、安心して下さい。気楽な気持ちで、時々一緒にご飯を食べたりお茶を飲んだりしてもらえないでしょうか?」
最後は運次第ですが、どうぞ頑張って。応援してますよ!
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中