ライフ・マネー
出口治明氏が実現!ライフネット生命の「年齢フリー」68歳・資産運用部長の働き方は?
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.11.26 11:00 最終更新日:2020.11.26 11:00
「ライフネット生命では、仕事を楽しくするため、あらゆる垣根をなくしました。たとえば『年齢フリー』は、36歳の森亮介君が社長を務めていることに象徴されています。定年もなく、60歳を過ぎた社員も現役でバリバリ活躍しています。
さらに生保業界で初めて女性の常勤取締役を置いたりと、『性別フリー』も実現しています」
こう語るのは、同社の創業者である出口治明氏(72)だ。
【関連記事:少子化なのに入所者を増やした自動車教習所の「働き方改革」】
同社で実際に働く社員は、どう感じているのか。68歳にして、現役で「資産運用部長」という要職にあるのが飯野和宏さんだ。かつて在籍した日本生命(以下・日生)でも、一貫して運用部門を歩んできた。
日生で出口氏の4年後輩だった縁で、55歳のときに出口氏が創業したライフネット生命に参加した。100年の歴史を持つ伝統的な企業から、できたばかりのベンチャー企業へと移ったことで、仕事のやり方も大きく変わったという。
「前の会社では、運用の部門だけでも債券、株、外為など10部署以上ありましたが、この会社は資産運用部ひとつだけ。しかも、まだまだできたばかりの会社ですから、ときには他部署の仕事に携わることもあります。
ただ私は前の会社でも、ずっとプレーイングマネージャーでしたので、あまり苦になりませんでしたね。『俺は部長だ、役員だ』と威張っていて、自分で資料も作らず管理だけやっていたような状態だったら、大変だったでしょう(笑)」
定年がないライフネット生命では、自分が望み、かつ健康上の問題もなければ、いつまでも働ける。
「いつまで働くか? それは決められません。この会社のトップは、私よりもずっと若いですが、彼らが私のことを『パフォーマンスが悪くなった』と思えば、そろそろ身を引いたほうがいい、ということになるでしょうし、体力や気力が落ちてきたと感じたら、自分の判断で引退を考えるかもしれません」(飯野さん、以下同)
働くことと年齢は関係ない、というのが、飯野さんの持論だ。
「同じ40代でも、若々しい人もいれば老成している人もいます。その差が、50代、60代となると、もっと広がっていきます。いま日本人男性の平均寿命は81歳、健康寿命は72歳ですが、とりあえずそこまでは頑張れるかな、と。もっとも、仕事以外にやりたいことが出てくれば、そっちを選ぶことも考えられます」
働き続けることで健康を保ち、結果として、現役生活を延ばすことにもつながっているという。飯野さんの場合、働くだけでなく社内で「水泳部」を作り、みずから部長となった。
「高校まで水泳の選手で、いまもマスターズに出場しています。近所のプールでときどき泳ぐんですが、その後の一杯がうまいんですよ(笑)。
以前、健康診断で産業医が、当社の『健康年齢と実年齢のチャート』を出してくれたんですが、私を含め50歳以上の社員はみな、実年齢よりも健康年齢のほうが若かった、という結果でした。健康だから働けるのか、働いているから健康なのか(笑)」
一方、人事ジャーナリストの溝上憲文氏は、企業がこういった制度を導入する難しさを指摘する。
「たとえば68歳で現役の資産運用部長をされているのは、これまで高い知見を培ってこられた証しです。こういう方なら、年齢にかかわらず重宝されるはず。ただ、ほとんどの人は定年後、再雇用で一兵卒として働いているのが現実です」
(週刊FLASH 2020年12月8日号)