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精神科医・樺沢紫苑の「読む! エナジードリンク」クラブハウスの熱狂を心理学的に分析

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.03.01 06:00 最終更新日:2021.03.01 06:00

精神科医・樺沢紫苑の「読む! エナジードリンク」クラブハウスの熱狂を心理学的に分析

 

 音声SNSの「Clubhouse(以下、クラブハウス)」が、すごい盛り上がりを見せています。

 

 ツイッターの音声版ともいわれ、音声だけでコミュニケーションをとるのがクラブハウスです。小さなラジオ局を自分で持つイメージです。

 

 芸能人、文化人、ツイッターやブログなどで有名なインフルエンサーなど、たくさんの著名人が朝から晩まで「ルーム」(番組)を立ち上げて、おしゃべりをしています。

 

 

 私も自分でルームを作って、セミナー風の話をしたり、ビジネス書の著者仲間のルームを訪れて、おしゃべりを楽しんだりしていますが、これがじつに「楽しい!」のです。

 

 ついついおしゃべりに夢中になって、寝不足になる危険性もあります。

 

 2021年1月末に日本で運用が開始されてからまだ1カ月ほどしかたっていないというのに、この熱狂ぶりはツイッターやフェイスブックが日本に上陸したときの盛り上がりをはるかに超えています。

 

 この「クラブハウス」の魅力を紹介しつつ、人々がこれほど熱狂する理由について、心理学的に分析してみましょう。

 

(1)渇望マーケティング

 

 クラブハウスは、「招待制」です。最初、その招待枠は1人につき「2枠」しかないので、2人を招待したら、それ以上は招待できない。

 

 だからこそ、「自分も招待してほしい!」と余計に参加したくなるわけです(その後、枠が追加されることもあります)。

 

 この「渇望感」を利用した「渇望マーケティング」が、見事にはまったといえます。

 

 また、クラブハウスは現時点(2月24日)においてはベータ版ということで、iPhoneなどのユーザーのみに公開されています。つまり、アンドロイドユーザーは使えない。これまた、渇望マーケティングになっているのです。

 

 人間には、「手に入りづらいもの」は余計に欲しくなる心理があります。すいているラーメン屋よりも、20人が行列しているラーメン屋に入りたくなる、あるいは、「限定100個」とかに弱いのです。

 

(2)コミュニケーションによる「癒やし」

 

 クラブハウスがこれほど爆発的に広がったもうひとつの理由は、日本でのリリースが新型コロナ禍での緊急事態宣言の最中であったことです。

 

 宣言のもとでは、外出自粛が要請され、飲食店も20時で閉店しますから、ほとんどの人が「人と自由に会えない」状態に置かれる。

 

 つまりコミュニケーションの渇望状態にあるわけです。「話す」「おしゃべりする」のは、とても楽しいものです。

 

 コロナ禍において、多くの人が他人とのコミュニケーションで「癒やされたい」と感じていた、その絶好のタイミングで、「気楽なおしゃべりツール」であるクラブハウスが登場した。爆発的に広がるのも当然でしょう。

 

(3)非言語的コミュニケーションの重要性

 

 クラブハウスでは、友人や知人と簡単に話すことができます。ここ1~2年会っていなかった知人のルームにお邪魔すれば、「お久しぶり!」とすぐに打ち解けることができる。

 

 友人、知人には、「LINEやメールでも連絡できるでしょう」と思うかもしれませんが、相手の人柄も伝わる「音声」によるコミュニケーションだからこそ、気楽に話しかけられるし、一瞬で打ち解けられるのです。1年以上会ってない知人にメールを出すのは、けっこう勇気がいるものです。

 

 コミュニケーションは、「言語的コミュニケーション」と「非言語的コミュニケーション」に分けられます。

 

 言語的コミュニケーションは「言葉の意味内容」によるコミュニケーションです。つまり、メールやメッセージでの連絡は、言語的コミュニケーションになります。

 

 非言語的コミュニケーションは、表情、姿勢、身振り、手振り、声の大きさやトーン、声質など、「言葉の意味内容」以外のすべての要素によるコミュニケーションです。「非言語」は、「言語」以上に多くの情報を伝えます。

 

 クラブハウスに参加していると、「この人の声質に癒やされるな」「この人のしゃべり方、すごく安心するな」といったことを感じます。

 

 つまり、「話す内容」(言語的要素)以上に「声質、しゃべり方」などの非言語の要素に影響されているのです。

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