カップ焼きそば頂上決戦「ペヤング」「U.F.O.」黒歴史から裏メニューまで

　いまや国民食といえる「カップ焼きそば」の2大巨頭が、東の雄「ペヤングソースやきそば」と西の雄「日清焼そばU.F.O.」だ。

　約45年にわたり、しのぎを削ってきた両雄が、「あまり売れなかった商品」「社員だけが知る裏レシピ」など、秘蔵の「すべらない話」で戦う！

　まるか食品ペヤング事務本部・製品開発課の小島裕太氏と日清食品・マーケティング部の関雅之氏に話を聞いた。

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■「エキゾチック」と「チョコ」は鬼門!？

　両雄の長い歴史のなかには、やはり消したい過去……「黒歴史」的な商品もいくつか存在した。

「2002年の『熱帯U.F.0.』はあまり売れませんでした。当時は海外の食がブームだったこともあり、トレンドを先取りしたかったのですが……。

　パッタイを意識したエキゾチックな味で、時代を先取りしすぎました。でも、この商品は2017年、日清食品の『黒歴史トリオ』のひとつとして期間限定で発売されたんです」（関氏）

「ペヤング」には文字どおりの「黒」歴史が……

「2017年に発売したチョコレート味の焼きそば『ペヤング チョコレートやきそばギリ』は、残念でしたね。バレンタイン後の2月後半にはまったく売れなくなり、本当に困りました（笑）」（小島氏）

■特大、激辛、真っ白…ユニークなアレンジ商品たち

　本道では変わらぬ味を守りつつ、量、辛さに特化した関連商品を「ペヤング」は多数販売している。

「ペヤング」の商品群。右下が標準サイズ

「関連商品では、食べ応えある商品を目指し開発をしております。2018年発売の『ペヤング ソースやきそば超超超大盛GIGAMAX』は麺量は330gで通常の3.7倍。

　2020年発売の『ペヤング 超超超超超超大盛やきそばペタマックス』では660gで通常の7.3倍となっています。

　こちらは4184kcalで成人男性が一日に摂取すべきカロリーを超えるので、『絶対に1人で食べないでください』と注意喚起しています」（前出・小島氏）

「ペヤング」には、わかめやポテトなどユニークな具材のバリエーション商品も多いが、なかでも特筆すべきは、激辛を極めた焼きそばだ。

　バラエティ番組の罰ゲームや海外ロケ番組でも「世界一の激辛商品」として使用されるほどに、辛さを追求している。

現行商品では最辛の「獄激辛カレー」と「獄激辛」

「昨年発売した『ペヤング 獄激辛やきそば』は世界の加工食品のなかでも、最高の辛さを誇る商品だと思います。

　これまで弊社では激辛やきそばを4回商品化しているのですが、同商品の辛さ指数（SHU）は約45万5000。それを超える辛さの食品は、（北インド周辺のトウガラシ）ブート・ジョロキア（SHU100万）などです」

「日清焼そばU.F.O.」も負けじとユニークな関連商品を生み出している。

多様な進化を遂げる「日清焼そばU.F.O.」

「2019年より『日清焼そばU.F.O. 濃い濃いラー油マヨ付き醤油まぜそば』を販売しています。『U.F.O.』ブランドで真剣にまぜそばに取り組んだ商品として、ご好評をいただいております。

　今年は『日清焼そばU.F.O. 白い濃い濃い濃厚ソース』をリリースしました。

　この商品、味はまったく『U.F.O.』と同じなのですが、色だけが無駄に白いという商品です（笑）。

　これらのユニークな商品を手に取っていただくことで、『日清焼そばU.F.O.』に興味を持ち、食べていただくきっかけになれば、という想いで開発した商品です」（関氏）

　両社のユニークな関連商品に共通しているのは、変化球的な商品で注目や話題を集めつつも、メインである「ペヤングソースやきそば」、「日清焼そばU.F.O.」を手に取ってほしいという、強い焼きそば愛だった。

■手軽に作れる「裏メニュー」

　商品開発者だからこそ発見できた裏メニューが両者にはある。「日清焼そばU.F.O.」と「ペヤングソースやきそば」を日々食べ続けたそれぞれの開発者に、とっておきのトッピングや、調理法を訊いた。

「おすすめは『ポテサラU.F.O.』ですね。材料は『日清焼そばU.F.O.』と、ポテトサラダ約50gです。

　1袋の4/5量のソースで『U.F.O.』を作り、上にポテトサラダをのせ、ふりかけをかけた後、残り1/5量のソースをかけて完成。かき混ぜながらお召し上がりください。

『すき焼き風U.F.O.』も美味しいです。別皿に溶き卵を用意していただいて、麺をつけて食べると、すき焼きのような味が楽しめます」（関氏）

ポテトサラダでまったく違う食感と味に

　一方のペヤングは、鍋で3分煮るだけで別格のもちもち麺を楽しむことができるという。

「期間限定で商品化もしたのですが、『ペヤングソースやきそば』に納豆、チーズを足すと、新しい味を楽しんでいただけると思います。

　ひと手間かかってしまうのですが、あえて鍋で3分煮ていただいてから湯切りし、ソースを絡めて食べていただくと、よりもちもちした食感を楽しんでいただけます」（小島氏）

　最後に両社に展望を訊いた。

「変わらぬ味を守りつつ、サイズや新しい辛さでお客様に夢や感動を与えられる商品を開発して今後も皆さんを驚かせていきたいです」（小島氏）

「45周年となる2021年は『U.F.O.っておもしろいな』と感じていただけるような新商品や仕掛けを多数展開していく予定です」（関氏）

　これからも2大焼きそばから目が離せない。

　以下、「ペヤング」と「U.F.O.」の歴史を辿る年表を紹介する。

＜＜「ペヤングソースやきそば」年表＞＞

●1975年……「ペヤングソースやきそば」発売
●1997年……子供向け焼きそば「ペヤングソースやきそば麺食い丸」発売
●1998年……「ペヤング冷しそば」「ペヤング冷しめん」同時発売、「ペヤングソースやきそば大盛」発売
●2007年……「ペヤングソースやきそばからしマヨネーズ付」発売
●2009年……「ペヤング のり塩ポテトやきそば」発売
●2012年……「ペヤング 濃口ソースやきそば大盛からしマヨネーズ」発売、「ペヤング 激辛カレーやきそば」発売
●2013年……「ペヤング 超大盛やきそば ハーフ＆ハーフ激辛」発売。スタンダード商品以外では最大のヒットに
●2016年……具材の少ない「ペヨング ソースやきそば」発売
●2017年……「ペヤング チョコレートやきそばギリ」「ペヤング ソースやきそばプラス納豆」など限定商品を多数展開
●2018年……「ペヤング ソースやきそば超超超大盛GIGAMAX」発売、「ペヤング 獄激辛やきそば」発売
●2020年……「ペヤング 超超超超超超大盛やきそばペタマックス」発売

＜＜「日清焼そばU.F.O」年表＞＞

●1976年……日本初の皿型カップ焼そばとして発売
●1991年……「日清焼そばU.F.O. ビッグ」発売
●1997年……「日清焼そばU.F.O. わさびマヨネーズ」発売。限定生産最大のヒット商品となる
●1999年……アルミキャップに直径5mmの丸い穴を15個配置した「ターボ湯切り」方式を開発。また、キャベツのカットサイズを1.8倍にして50％増量
●2001年……麺をしっかりとした太さで食べ応えのある食感のものにリニューアル
●2002年……ソースに天然のフルーツ（デーツ、ナツメグ、マンゴー）を使用し、まろやかな甘味を付与
●2003年……ソースをリニューアル。パパイヤとパイナップル2種類の天然フルーツを加え、7種類のフルーツ（パパイヤ、パイナップル、デーツレモン、マンゴー、リンゴ、レーズン）を配合
●2004年……独自の製法により密度感、重量感たっぷりの太麺に改良
●2005年……20種類のスパイスを使用したソースにリニューアル
●2009年……従来の縮れた麺からストレート麺に変更
●2010年……新技術「太ストレート製法」により従来の麺より厚みが20％アップ
●2011年……湯切り口の形状を改良。21個の丸い穴のある湯切り口に
●2012年……「3層太ストレート麺製法」により、内部までしっかりとソースの旨みを感じられる麺を実現
●2013年……炒めた豚肉の旨みと甘みを加えた「やみつき濃厚ソース！」にリニューアル
●2015年……豚肉を炒めた旨みとコクをアップした新「やみつき濃厚ソース！」にリニューアル
●2021年……「日清焼そばU.F.O. 白い濃い濃い濃厚ソース」発売

写真・福田ヨシツグ　
写真提供・日清食品、まるか食品

（週刊FLASH　2021年3月16日号）