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「ラーメン二郎」の厨房に潜入「 “地獄のローラー” で神麺を打て!」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.06.12 16:00 最終更新日:2021.06.12 16:00
「雨の日は湿気が多いので、水の量を少なめにします。湿度で麺が変わるわけないと思ってましたが、毎日同じ分量で作っていると、なんかいつもと違うなと感じることがあって。製麺はおもしろいです」
こう話しながら、中邑珍輔(36)は25kgの業務用小麦粉(「オーション」という精製度の低い強力粉)と水、かん水を混ぜて撹拌(かくはん)。11時の開店を前に、テキパキと麺を準備する。年季の入った製麺機は、エビス麺機製作所のもの。よく混ぜられた粉から作った生地をローラーにかけて製麺する。
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「このローラー、サンシャイン(漫画『キン肉マン』に登場する悪魔超人)の必殺技 “地獄のローラー” にそっくりなんです。指を引き込まれないギリギリまで攻め、均等に粉を流さないと麺がボソボソになって穴だらけになったりします。『怪我だけはしないでね』って、店長から強く言われています(笑)。アナログでセンサーとかはないので、指を突っ込むとイッちゃいます」
ここは人気店「ラーメン二郎千葉店」。2020年6月のオープン当初から、ここでアルバイトをしている中邑珍輔は、じつは人気のお笑いプロレス「西口ドア」などで活躍する吉本興業所属の芸人でもある。現在、アメリカのWWEのスーパースターで、元新日本プロレスの「キング・オブ・ストロングスタイル」中邑真輔のものまねレスラーである。
「ラーメン二郎」は通常、取材を受けないが、粘り強く交渉した結果、あくまでここで働く中邑を取材するという条件で、5月下旬、写写丸は厨房に入ることを許された。
「コロナ禍で、芸人の仕事が激減。困っていたら、このお店がアルバイトを募集していることを知り、運よく働かせていただくことになりました。もともと、『ラーメン二郎』は大好きだったんで嬉しかった! 入店してから1年くらいですね。最初は麺が均一にならずに苦労しましたが、感覚を指と体で掴みました。といっても、まだまだ勉強中なんですが……」
■店長のそばで客から “二郎コール” を受ける
粉からシート状になった生地を畳んで、再びローラーにかける。分厚い生地をさらにまとめてローラーへ……と何度も生地を鍛えていく。
「だいたい5〜6工程くらいですね。小麦粉1袋分を生地にするのに、今は1時間もかからなくなりました。以前はもっとかかってましたね。失敗したのを隠したり(笑)。
当初は、朝の7時に自主的に早出して作り始めてましたけど、今は多少経験を積んだので、8時半出勤でも間に合います(笑)。多い日は、朝も夕方も複数回打ちますが、それでもほとんどなくなるんです」
ひたすらに生地を引き延ばし、バウムクーヘンのような大きな塊に仕立て上げる。カッターで切りながら、麺切り用のアタッチメントに通して、大量の “二郎の麺” が出来上がっていく。切り口からは小麦の香りが立ち上る。
「この製麺機は慣れるのに1カ月、安定して打てるようになるのに3カ月くらいかかりました。二郎独特の、ワシワシした歯応えのある麺を目指してやっています。美味しいまかない(ラーメン)のおかげで、体格はどんどんヘビーになってきましたが(笑)。
ただ、それでも次の日には食べたくなります。客席から『美味しかった』なんて言葉がふと聞こえてくると、やっぱり嬉しいんですよね」
先に訪れていた客と距離を取って並び、入店。カウンターに座ると、麺を茹でる店長のそばで中邑が「ニンニク、入れますか?」と声をかけてきた。こちらも「ニンニク、ヤサイ、アブラ」とお馴染みの “二郎コール” 。器を受け取って黙々と麺をすする。もちもちの太麺は、歯を刺激する。うまい。
「麺打ちで特別なことはやりません。教えられたとおりに打つだけ。これからもいい麺を作りますよ! イヤァオ!! 」
写真・梓沢真弓
取材協力/ラーメン二郎千葉店 千葉市中央区中央1-7-8 JR千葉駅より徒歩13分
(週刊FLASH 2021年6月22日号)