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樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』プーチン大統領の “異変” を読み解く…無表情、おちょぼ口の意味は?

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.03.21 06:00 最終更新日:2022.03.21 06:00

樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』プーチン大統領の “異変” を読み解く…無表情、おちょぼ口の意味は?

5つの徴候から読み解くプーチンの “異変”

 

 2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻は、まだ解決の糸口が見つからない状態です。燃料気化爆弾、クラスター爆弾などの非人道的な兵器の使用。さらに、原子力発電所までもが攻撃の対象になり、ヨーロッパ中に緊張が走りました。プーチン大統領の判断・行動は、常軌を逸していると多くの人が思うことでしょう。

 

 そこで今回、プーチンの演説を手がかりに、精神科医の立場から彼の精神状態をわかる範囲で分析したいと思います。おもに対象としたのは、核兵器の使用を示唆した2月24日の演説映像です。ここでは「言葉の意味内容」以外に、「表情」「表情の変化」「雰囲気」「動作、ジェスチャー」「姿勢」などの非言語的情報に着目します。

 

 

(1)表情が乏しい、無表情

 

 まず注目すべきは、表情が乏しい点です。しゃべっていないときは、まったくの無表情なのです。特に頬骨の上の目の周りの表情筋がほとんど動いていません。

 

 また、口の周りの筋肉の動きも乏しく、不自然です。これらの徴候は、うつ病などのメンタル疾患、あるいはその前段階としての脳疲労、そして、詳しくは後述しますが、神経疾患のパーキンソン病でも見られるものです。

 

 もともとプーチンは、表情の豊かな人ではありませんが、以前の会見と比べると、違いは歴然としています。1年前は、記者に鋭い視線を投げかけたり、厳しい発言をするときには恫喝するような強い表情を見せていたのです。

 

(2)エネルギー値が低い

 

 今回の演説動画を見るとすぐにわかりますが、明らかに元気がありません。目に力がないし、声も小さい。以前のプーチンは、泣く子も黙るほどの「目力(めぢから)」がありました。

 

 会見は、ウクライナや西側諸国の人だけではなく、ロシア国民も見るわけです。つまり「強いロシア」を内外に印象づけて「国威発揚」を訴える目的があったはずなのに、この「元気のない老人のつぶやき」では、ロシア国民の士気は高まりそうもありません。

 

 プーチンは明らかにエネルギー値が低い。見るからに「抜け殻」のような印象を受けます。生気が枯渇した状態が強く疑われます。

 

 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領の演説はエネルギッシュで、国を守ろうとする強い思い、ロシアに対する怒りが凝集されています。彼の非言語的メッセージが、ウクライナ国民や世界中の人たちの気持ちを動かしていることは誰もが認めるでしょう。

 

(3)おちょぼ口

 

 プーチンは口先の筋肉だけを動かして話しています。つまり、口角の周囲の筋肉が最低限しか動いていない状態です。結果として、声が小さくなり、ボソボソとした話し方になります。自分で鏡を見ながら話してみればわかりますが、ふつうは口の周りの筋肉が必ず動きます。

 

 以下、演説の動画からの私の見立てです。

 

 セロトニンは、表情筋をコントロールしています。健康な人は、自然な笑顔が出ますが、脳疲労やうつ病、そのほかのメンタル疾患で、セロトニンが低下すると、表情が乏しくなり、「能面」「仮面」のような顔つきになることがあります。それは、プーチンの演説動画にピッタリとあてはまります。

 

 また、メンタルが弱くなると、表情筋の動きが不自然になります。ぎこちない表情になるわけです。仮に笑顔が見られても、「作り笑顔」のような、わざとらしい表情となります。この「ぎこちなさ」もプーチンの動画に見られます。

 

(4)動きに乏しい、ジェスチャーがない

 

 演説の最中、手をずっと下ろした状態で、体全体の動きが乏しいことがわかります。数年前の会見ではむしろ逆で、顔を左右に動かしたり、手を上げるジェスチャーで発言を強調したりと常に動き続けていたほどです。動きが乏しいというのもまた、うつ病や脳疲労では、よく見られる徴候です。

 

 また、手を小刻みに動かすなど、不安や焦燥に駆られたときに見られる動作も観察されます。

 

(5)目が泳いでいる

 

 プーチンの目の動きは、いわゆる「泳いでいる」状態です。これは、精神疾患とは関係なく誰にでも見られる徴候ですが、非常に緊張をしている、強い不安を感じているときに起こります。

 

 プーチンは一見、淡々と冷静に語っているように見えますが、内心はまったく逆で「焦り」や「不安」に支配されている状態ではないでしょうか。

 

( 週刊FLASH 2022年3月29日・4月5日号 )

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