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営業へ異動後も自腹で取材を…ギャラクシー賞大賞受賞「アサリの産地偽装」スクープ記者が語る「取材秘話」と「報道の課題」

ライフ・マネー 投稿日:2022.07.23 06:00FLASH編集部

営業へ異動後も自腹で取材を…ギャラクシー賞大賞受賞「アサリの産地偽装」スクープ記者が語る「取材秘話」と「報道の課題」

コンテナからアサリの詰まった袋を取り出し、干潟にばらまく業者。人目につかない深夜におこなわれていた(写真・CBCテレビ提供)

 

 2022年1月、大きな問題となったアサリの「産地偽装」問題。全国のスーパーマーケットなどで販売されていた「熊本産」の活アサリが、じつはそのほとんどが「中国産」だったというニュースは、食の安全に敏感な消費者に、ショックをもって受け止められた。これを報じた『偽りのアサリ~追跡1000日 産地偽装の闇』(CBCテレビ)は、第59回ギャラクシー賞の報道活動部門で大賞を受賞した。

 

 取材の中心となったのは、CBCテレビ報道部に記者として勤務していた、吉田駿平氏だ。現在は東京支社で営業部に勤務する吉田氏に、5年間にわたる偽装の追跡について聞いた。

 

 

 きっかけは2017年、愛知県南東部の豊橋支社に、吉田氏が赴任していたときのことだった。愛知県は天然アサリの漁獲量が全国1位。知多半島と渥美半島に囲まれた三河湾は、全国でも有数の漁場となっていた。日本国内でアサリの漁獲量が激減する中、貴重な資源を守るために奔走する漁師たちに、吉田氏は密着取材をおこなっていた。

 

「三河アサリを食べて『こんなにおいしいアサリがあるのか』と、感動したんです。それで『これだけおいしいなら、ブランド化して売れるんじゃないですか?』と、素人考えで提案すると『なかなかそうはいかないんだよ』と。『中国や韓国から輸入したアサリが、熊本産と偽装されて売られている。スーパーも消費者も、安い熊本産を選ぶので、愛知産はなかなか買い手がつかない』と、あきらめに近いような感情を持つ漁業関係者の方もいらっしゃいました」(吉田氏・以下同)

 

 アサリは、生息地によって貝殻の色や模様が異なる。本来、熊本の固有種は白黒模様が特徴で、業界内では「ホルスタイン柄」と呼ばれている。一方、中国や韓国のアサリは、灰色がかった「セメント色」が特徴といわれている。スーパーに「セメント色」をした“熊本産アサリ”が多く並んでいることに、漁師たちは異変を感じていた。

 

「愛知では天然の貝を育てるために、漁師や自治体が苦心しています。だからこそ、熊本県であんなに取れるはずがない、という肌感覚を彼らは持っていました。それと、貝殻の見た目の件もありました」

 

深夜、干潮を迎えた干潟で張り込みしていた記者とカメラマンがが見たものは…

 

 こうして、偽装に確信を抱いた吉田氏。大規模な産地偽装なので、どうやって事実を積み重ねていくか。そしてテレビマンとして、このニュースをどう映像化するか。この2点が、大きなハードルだったという。

 

 転機が訪れたのは、取材を始めて2年後の2019年。輸入アサリを日本の干潟に放つ「蓄養」と呼ばれる行為が、産地偽装に深く関係しているという情報を得た。蓄養場は熊本県内を中心に数カ所あるという。

 

「蓄養自体は、違法ではありません。制度を悪用しながら、中国産のアサリを日本産に書き換える行為が違法です。

 

 日本の食品表示のルールでは、水産物を2カ所以上で育てた場合、成育期間がもっとも長い場所が『産地』となります。これは『長いところルール』とも呼ばれます。アサリの場合、輸入元より長く熊本で蓄養したと主張していたにもかかわらず、実際は干潟に1週間程度まいただけで回収する『仮置き』で、熊本産と表示している業者がいました」

 

 4月中旬、大型連休前に、熊本のアサリ業者は繁忙期を迎える。そこを狙って、吉田氏はカメラマンと2人で有明海で“張り込み”を敢行した。

 

「『この辺でやっているんじゃないか』程度の情報をもとに探すので、難しさはありました。私有地には入れないので、公共の土地で、しかも蓄養現場を見渡せる場所を探したんです。蓄養には干潟が必要なため、1日、2回訪れる干潮のときに張り込みをするのですが、体感的には1日中、張り込みをしている感じでした。蓄養の噂がある場所はいろいろ行きましたが、外部から見えない場所だったり、タイミングが合わなかったり、撮影を成功させるのは、なかなかたいへんでした。

 

 3日めの夜の、干潮のときです。遅い時間だったので、私は『今日は休みましょうか』と言ったのですが、カメラマンが『もっと粘りたい』と。それで張り込みを続けていたところ、深夜になって、袋が入った巨大なコンテナが運び込まれ、その麻袋から次々とアサリが干潟にまかれていくところに遭遇できたのです。

 


写真・CBCテレビ提供

 

 20kgの袋が2500袋なので、一夜で50tのアサリです。直近の2020年で見ると、熊本県のアサリの収穫量は21tですから、熊本で1年の収穫量の倍の量が一夜に来るわけです。これだけ大規模なスケール感は撮影できるまでわかっていなかった。

 

 だから現場で撮影に成功したときは、興奮しましたし、手ごたえを感じました。現場で作業をしている人たちに話を聞くと、中国産アサリを浜にまき、熊本産として出荷するという証言を得られました。まさに産地が“化ける”瞬間でした。

 

 ただ、単体で撮影できただけでは、大規模な産地偽装を立証したことにはなりません。もっと証言や具体的な手口を取材しないといけない、と思いました」

 


写真・CBCテレビ提供

 


( SmartFLASH )

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