■スキマ時間の単位も15分
このように15分単位で集中力を発揮すれば、移動中などのスキマ時間にひと仕事できるのですが、多くの人はその時間、なんとなくスマホを眺めてしまいがちです。
そういう人こそ、このスキマ時間を存分に有効活用することをおすすめします。
15分をスキマ時間の1単位と考えた場合、どんなに忙しい人でも、一日2~3回は確保できるはずです。3回のスキマ時間をとれると、45分の有益な時間をゲットしたのと同じです。45分あれば、私の場合、単行本を1冊読み終えることができます。1冊読むのに2時間かかるという人でも、2、3日で読み終えることができるでしょう。
■「15分タスク」を事前に用意する
ただ、スキマ時間ができても、「何をしてよいかわからない」「ついスマホを開いてしまう」という人は多くいます。そういう人は、どうしたらいいでしょうか?
私がすすめるのは、15分で完了できるタスクを事前に用意しておくことです。私の場合、「移動中のスキマ時間に雑誌の原稿をチェックしよう」と思ったなら、あらかじめその原稿を印刷してカバンに入れておきます。電車に乗った瞬間に原稿を取り出し、内容や誤字、脱字をチェックします。15分もあれば余裕で原稿のチェックは完了です。
私は外出の前にこうした「15分タスク」を3つ用意しておきます。そうすると、帰宅までに、それらはすべて終了しています。机に向かうと45分かかる仕事を、移動中に終わらせてしまう。すごい時間の節約です。
ポイントは、スキマ時間ができた瞬間に「15分タスク」をスタートすること。そうすると集中力が高まるので、ついスマホに手が伸びてしまうこともありません。
「原稿のチェックなどスマホでデータを見ながらやったほうが効率的では? いちいち印刷する手間も省けるし」と思う人も多いでしょうが、それは間違いです。
スマホは「悪魔の誘惑ツール」。手に取った瞬間に、ニュースやSNSなどに注意を奪われてしまう。あっという間に15分たってしまい、これでは原稿のチェックは終わりません。だから、一見非効率でも印刷した原稿を持ち歩いているのです。
■遊びの「15分タスク」
私のモットーは、同じ一日で「他人の3倍仕事をして、他人の2倍遊ぶ!」。そんな私は「15分タスク」の考え方を、仕事だけでなく「遊び」にも応用しています。
たとえば、見たいアニメやドラマがたくさんあるなかから、「今日じゅうに『銀河英雄伝説』の第84話を見る」というタスクを定めます。そのタスクを遂行するのは、スポーツジムのウオーキングマシンの上。ウオーキングをしながらスマホやタブレットで視聴するのです。アニメの場合は15分ではなく20分単位となり、1コマ(20分)で1話見ることができます。
第84話を見終えると次も見たくなり第85話へ。第85話を見終えると次も見たくなり第86話へ。結局60分もウオーキングしていることに気づきます。
ウオーキングを60分続けるのはかなりしんどいのですが、おもしろいアニメの力を借りると、まったく苦にならず、むしろ楽しみながらできてしまうのです。
ちなみに、私はアニメ版『銀河英雄伝説』全110話(約36時間)を、すべてウオーキングマシンの上で視聴しました。スキマ時間といえども、積み重なるとかなりの時間になるのです。
一日は誰にも等しく24時間しかありません。しかし、15分というスキマ時間を「埋蔵金」のように掘り当てることは可能です。この「埋蔵金」によって、忙しい人も「自己投資の時間」や「遊びの時間」を、まだまだ増やすことができるのです。
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計60万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし