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「はなまるうどん」は海外から撤退、「丸亀製麺」は海外出店を加速…明暗を分けた差は “現地化” の覚悟

ライフ・マネー 投稿日:2022.09.16 11:00FLASH編集部

「はなまるうどん」は海外から撤退、「丸亀製麺」は海外出店を加速…明暗を分けた差は “現地化” の覚悟

中国から撤退する「はなまるうどん」。海外店舗はゼロになる(写真は国内店舗)

 

 吉野家ホールディングス傘下の「はなまるうどん」が中国から撤退する。一方、トリドールホールディングスが運営する丸亀製麺は、海外出店を加速中だ。

 

 外食企業経営者を多数取材し、B級グルメに関する著作の多いジャーナリストの鈴木隆祐氏が語る。

 

「数年前に『はなまるうどん』の本部を取材した際は、提供された資料に中国に進出していることを大々的に謳っていました。同社の中国進出は、丸亀製麺よりも1年早い2011年でした。

 

 

 当時、両社は海外出店に対して強い競争心があり、双方の担当者がお互いに『よきライバルです』と認め合っていたのが印象深いです」

 

 今回の中国撤退で、はなまるうどんの海外店舗はゼロに。一方、丸亀製麺も中国本土では苦戦しているものの、海外に214店舗を展開している。いったい、どこで差がついたのか。

 

「海外の『丸亀製麺』は、メニューや内装が日本とはまるで別の店舗に見えるほど。つまり “現地化” に成功したんです。2015年に買収したオランダのアジアン・ファストフードチェーン『Wok to Walk』のノウハウをうまく活用しているのです。

 

 たとえばテキサス店では、現地で流行しているカツサンドを提供するなど、各地のニーズに合わせながら味付けやトッピングにも工夫をこらし、うまく『うどん』自体を訴求しています。

 

 一方のはなまるうどんは、海外でも和風のおでんや鰻など、幅広い『日本食』を軸に展開しました。それが肝心の『うどん』から目を逸らさせ、中途半端な印象を持たれたのかもしれません」(鈴木氏、以下同)

 

 どうやら、“現地化” こそが、飲食チェーン海外進出成功の鍵のようだ。うどんだけでなく中華でも同じことが言える。

 

「『餃子の王将』は2005年に中国・大連市に進出しました。『日本の町中華の代表が中国大陸に挑む』ということで注目しましたが、5店舗まで増やしたものの、2014年に現地法人を解散して撤退しました。中国では、餃子といえば水餃子なのに、焼き餃子に固執した結果です」

 

 日本では65店舗ながら、1990年代から海外に進出し、中国の650店舗を筆頭に計700店舗以上を展開しているのが「味千ラーメン」だ。

 

「同社は、ラーメンの味以外はすべて現地のフランチャイズオーナーにまかせているのです。その結果、カツカレーのほか、焼き魚、焼き鳥、寿司まで提供する店もあります。あえて和食ファミレスの道を歩んだことで、結果的に中国に馴染みのない豚骨ラーメンを受け入れる土壌を作ったのです。

 

 日本食にこだわった『はなまるうどん』、焼き餃子にこだわった『餃子の王将』と違うのは、現地の声を聴いたかどうかでしょうね」

( SmartFLASH )

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