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富士そば「120店」全店制覇男が教える「限定メニュー」の世界
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2017.06.27 20:00 最終更新日:2017.06.29 03:35
富士そばの限定メニューを全制覇した、駅そば研究家・鈴木弘毅さん(43)はこう語る。
「食べても食べても、次々に新メニューが開発されて『食べ尽くす』ことができない。それが、富士そばの魔力です。
私は2016年12月に116店舗の全制覇を達成しましたが、その後次々と新店舗が誕生し、2017年5月25日現在では120店舗に増えています。全店舗制覇を堅持すべく、最近オープンした4店舗も食べて回りました。
しかし、そんな私の達成感を挫くかのように、新メニューの発売に加えて店内製麺や二八そばの導入など、間断なくニュースが流れるんです。食べるよりもニュースリリースのペースのほうが圧倒的に早く、前を走る選手にどんどん引き離されていくマラソンランナーのような忸怩たる思いに駆られるのです」
富士そばは、なぜ店舗によってメニューが異なり、これほど個性が生まれるのか。その秘密は以下のとおりだ。
(1)運営会社が複数ある
国内の店舗は、じつは7社が運営している。運営会社同士がよきライバルになり、競争関係が築かれているのだ。
(2)店長に一定の権限がある
各店舗のメニューは、各店舗の店長に一定の決定権がある。同じ運営会社内でも、店長の個性が反映される。
(3)メニューの一斉入れ替え
富士そばでは、毎年4月と10月に、夏メニューと冬メニューの入れ替えがある。季節感を取り入れた戦略も、飽きさせない要因につながっている。
(4)ダブルスタンダード
仕入れを安定させる狙いから、麺をはじめ、多くの食材を2社から仕入れているため、同じメニューでも店舗ごとに微妙な違いが生まれる。
(5)有数のホワイト企業である
無理な安売りはせず適正価格で提供し、人件費などを圧迫させない運営手法をとる。社内表彰制度もあり、スタッフが長く働ける環境を整えている。
富士そばを取材すると、常にお祭りの準備中のような活気を感じるという。各運営会社や店長、そしてスタッフが生き生きと活躍することで、「飽きない富士そば」が成り立っているのだ。
前出・鈴木弘毅さんが言う。
「富士そば巡りは、やればやるほど夢中になる、終わりなきロールプレイングゲームなのです」
(週刊FLASH 2017年6月13日号)