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実家の「家じまい」まずは「所有者」「境界」「価格」の確認から…2023年以降の法改正も要注意

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.12.29 10:45 最終更新日:2022.12.29 10:50

実家の「家じまい」まずは「所有者」「境界」「価格」の確認から…2023年以降の法改正も要注意

写真・AC

 

 地方に暮らす親が老いて、近い将来、実家をどうするのかという問題に直面している人も多いはず。年末年始の帰省を機会に「実家じまい」の検討を始めてはいかがだろう。

 

 誰も住まなくなった家でも、ある程度のメンテナンスは必要だ。庭があれば、草むしりも年に何度かおこなわなくてはならない。実家に通う交通費もかかる。そして固定資産税。年間数十万円のコストと時間、労力――思い出の詰まった実家でも、それらを考えれば、手放さざるを得ないという人がほとんどではないか。

 

 

 実家の立地がよければ、売却に困ることはないだろう。問題は「田舎の物件」だ。だが、「あきらめることはありません」と話すのは、地方や田舎の「実家のたたみ方」を多く手がけるリーガルアクセス司法書士事務所(東京・渋谷)の辻村潤氏だ。

 

「田舎の場合、近隣に住む方に売れるケースが多いので、まずはお隣さんに声をかけるのが鉄則です。地元の不動産業者に依頼するのはもちろんですが、自治体が管理する『空き家バンク』や、移住希望者向けの情報誌やサイトもあるので、利用する方法もあります」

 

 2018年から国土交通省がバックアップして全国版の空き家・空地バンクサイト「LIFULL HOME’S空き家バンク」「アットホーム空き家バンク」が運営されており、すでに多くの物件が売買されている。

 

「親が元気なうちに確認しておくべきなのは、『所有者』『境界』『価格』の3つ。家や土地の名義変更がずっとされていなかったり、隣地との境界がはっきりしていないケースは非常に多い。まずはこの3つを確認しておくと、相続後の不動産処分も大幅に楽になるでしょう」(辻村氏)

 

 測量は土地家屋調査士に依頼する必要があり、費用は数十万円から100万円程度かかることも。また、隣接する土地の所有者の立ち合いも必要になるため、早めに手を打っておくべきだ。

 

 建物が古く売れそうにない、解体して更地にした方が売れるのでは、と考える人も多いが、それは待った方がいいという。

 

「古い家が好きで、手入れしながら住みたいという人も意外といます。また住宅を壊して更地にした場合、固定資産税は3〜4倍程度になりますし、再建築できないところもあります。屋根が飛ぶなどの危険性がある場合は別ですが、急いで壊さなくてもいいと思います。ただし、所有者責任があることは頭に入れておいてください」(辻村氏)

 

 国土交通省の統計によれば、2018年の空き家率は住宅全体の13.6%。今後さらに増えると予測されている。現在は住宅が建っている土地の固定資産税は軽減されているが、壁に亀裂が入るなど管理が不十分な建物について、この税優遇を見直す検討もされている。

 

 さらに今後、こんな法改正も。

 

「2023年4月27日から、相続した土地を国が引き取る制度が始まります。更地であることや境界が明らかであることなど、田舎物件の場合はなかなかハードルが高いですが、選択肢の一つにはなります。

 

 また、2024年4月からは、相続の名義変更登記も義務化されます。すでに相続している不動産も対象で、相続してから3年以内に登記をおこなわないと10万円以下の過料が科されることになります。

 

 相続人が多数の場合は、手続きに半年から数年かかることも珍しくありませんので、早めに取りかかったほうがいいでしょう」(辻村氏)

 

 打てる手は、なるべく早く打っておくべきだろう。

 

【「実家じまい」まずはここから】

 

(1)所有者の確認
 家や土地が親の名義ではないことも。登記を確認すべし

 

(2)隣地との境界を確認
 法務局で測量図を確認。不確定な場合も多く、隣地所有者との話し合いや、測量が必要なことも。測量にはそれなりの費用が必要となる

 

(3)価格
 売れた場合、いくら程度なのか。不動産業者以外でも、国土交通省の「土地総合情報システム」サイトで、実家周辺で取引された物件の価格がわかる

( SmartFLASH )

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