お盆に、故郷へ帰省する人も多いだろう。骨休めするのもいいが、実家の “隠れ無駄遣い” をチェックしてみてはいかがだろうか。ファイナンシャルプランナーの前田菜緒氏が、こう提案する。
「リストには、見直す難易度が高いものから低いものまで、さまざまなものを入れました。もし親に当てはまるものがあって、ひとつでも改善できれば大成功だと思います」
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格安スマホへの変更は、月に数千円も節約できる半面、親を説得するのは大仕事だ。
「大手キャリアから変更する際に、親は自分が知らない会社だと尻込みしてしまいますよね。私の親はイオンをよく利用しているので、抵抗感なく使ってくれそうなイオンモバイルをすすめ、変更してもらいました」(同前)
では、「お金のプロ」たちは、自分の親の “隠れ無駄遣い” をどのように見直したのか。8人に実例を聞いた!
●第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏
ほぼ通話でしか使っていない父親の携帯電話に、かけ放題の通話オプションをつけさせることで、月5000円以上の節約に繋がりました。また、介護つき有料老人ホームに入所していた祖母を、特養に入所希望を出して順番待ちし、転居させることができました。これで、月10万円以上の節約になりました。
●フィスコ マーケットレポーター 山崎みほ氏
母が古くなった家具家電を有料の粗大ごみ回収に出そうとしていると、全力で止めに入り、フリマアプリに出品しています。きれいな状態のモノなら1万円以上になり、先日は15年以上使い古したベッドが、2000円で売れました。
近所の方に直接譲れる地元特化型の(「ジモティー」などの)掲示板なら、梱包の手間や送料もかかりません。
今は不要品を処分するためにお金を払う時代ではなく、むしろお金をもらえる時代なんだと伝え、処分する前に連絡をもらうようにしています。
実家に帰ると母が作ってくれる揚げ物は、鍋にたっぷりの油を使わなくても、フライパンに1~2センチほどの少量の油で美味しく揚げられます。油の量を10分の1くらいに減らせて、温まるのも早いのでとても経済的。
食品や電気、ガス代の値上げが続くいま、その差は絶大です! 時短にもなり、母はラクなようです。こうしたテクニックは、レシピサイトやSNSでは広まっていても、親世代には知られていないことも多いので、積極的に伝えています。
●元ファンドマネージャー こころトレード研究所所長 坂本慎太郎氏
母は専業主婦で、若いころから働いた経験がなく、父が20年前に亡くなってからは、生命保険と遺族年金で暮らしています。
働かなくても暮らせるように、父が亡くなった際に母が受け取った保険金を、銀行株などの高配当株や、商品券がもらえる家電量販店、外食チェーンなどの株主優待株に分散投資してもらい、年金がもらえる年齢まで持ちこたえることができました。現在では、月にならすと10万円程度の収入があります。
妹も母を支えるため、二世帯住宅にし、太陽光パネルを設置して売電収益を得ることで、電気代を月1万円から1万5000円くらいは節約できています。母をきょうだいで支えています。
●エネルギービジネスデザイン事務所代表 本橋恵一氏
実家の古い冷蔵庫や、エアコンは思い切って処分してはいかがでしょうか。僕も新しいエアコンをプレゼントし、電気代が大きく下がりました。電気代が安ければ、親も安心してエアコンが使えますから。
冷蔵庫は、小さいものは効率が悪いので、大きいサイズのものを買い、冷凍食品を安いときに買い溜めておくようにすれば、そのほうが家計に優しいです。
私の取材した事例ですが、電気の基本料金の見直しで、こんな例があります。子供が独立していても、基本料金の契約が60アンペアのままだったということがあります。
電力会社は、基本料金の見直しの提案はしてくれません。しかし、夫婦二人であれば、30アンペアもあれば十分です。この見直しだけで、1カ月に約900円は安くなります。
●コミヤ保険サービス代表 公認ファイナンシャルプランナー 小宮崇之氏
夫婦で毎月1万円支払っていた医療保険を、約半分に減らしました。保障額が下がってしまい、不安な部分もありましたが、退職金の貯蓄があったので、医療費は貯蓄で賄うように説明し、納得してもらいました。これで、毎月5000円、年間で6万円の節約になりました。
毎月必ず支払うお金を見直すメリットは大きいなと感じます。月単位では大きな金額になりませんが、それが年単位となり、何十年となっていくと大きな金額になることを実感しました。
●生活経済ジャーナリスト 柏木理佳氏
不要な本や服が、1部屋以上のスペースを占めていました。メルカリで売るよう言ったものの無理だったので、ブックオフに買い取ってもらいました。本は10冊くらいずつ持参し、500円から1000円になりました。
服は古着店に持参すると、1着30円から300円の値がつきましたが、母は30円にしかならないものは持ち帰り、ハンガーにかけているだけになってしまっていました。そこで、デパートの「エコイベント」で10着ほど持ちこみ、500円チケットに交換しました。
また、寒暖差による夏バテ防止と電気代節約のため、冷房を30度に設定する代わりに、扇風機を併用し、座っているときは冷却マットの上に足を置いてもらうようにしています。
●マイエフピー代表 家計再生コンサルタント 横山光昭氏
携帯電話を、大手キャリアから格安スマホへ切り替えました。新しいスマホの端末代に4万円、契約事務手数料に3000円、SIMカードの手数料に数百円ほどかかりましたが、月額利用料金が7000円から1500円にまで大幅に節約できました。
シャワーヘッドを節水タイプに交換し、ガス代と水道代で、年間おおよそ3万~4万円ほど安くなりました。新しいシャワーヘッドの料金は2000~3000円でした。
また、居間や玄関など、よく点ける箇所の電球をLED電球へ交換しました。年間で、5000円くらいは節約できているのではないでしょうか。LED電球代として、トータルで5000円ほどになりましたが、親はスムーズに受け入れてくれました。
●夢相続代表 相続実務士 曽根恵子氏
JA共済が販売している建物更生共済(建更)を解約し、掛け捨てにしました。実家では、高齢になっても年間80万円ほどの建更に加入していました。
対象の建物は自宅と精米工場で、築年数もたっているのに、JAの方にすすめられるまま共済金を負担する意味はないと判断し、親の代わりに解約手続きをおこない、掛け捨ての火災保険に切り換えました。掛け金は10分の1程度になりました。
これが発覚したのは父親が病気で入院し、自宅をバリアフリーにする工事をしようと、子供たちが預金通帳を確認したことがきっかけでした。
また、母親は葬儀費用になるようにと、500万円のJAの共済保険に加入していましたが、95歳まで長生きし、その間に解約すると手取りが大きく目減りするため、解約もできませんでした。
毎年20万円ほどの掛け金を負担し、亡くなるまで継続した結果、100万円以上も損したことになりました。早く亡くなるとプラスになるが、“長生きリスク” に対応していなかったのです。子供が生命保険の内容を確認する必要があると思いました。
いかに親に “無駄” に気づいてもらうか。前出の前田氏は、「上から目線で言わない」ことが大切だと語る。
「あまり『無駄だ』と強調しすぎると、親は反発してしまいます。『FLASH』で読んだんだけど、一緒にやってみない? と、気軽に提案するくらいがいいと思います」
あなたもまずは一緒に買い物に行ったり、冷蔵庫をチェックするところから始めてみては?