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藤井聡太八冠「99%負け」局面からの大逆転劇に「互いに素晴らしい」各界将棋ファンが「誌上祝電」!

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2023.10.19 06:00 最終更新日:2023.10.19 06:00

藤井聡太八冠「99%負け」局面からの大逆転劇に「互いに素晴らしい」各界将棋ファンが「誌上祝電」!

感想戦で頭を掻く藤井八冠

 

 10月11日。王座戦五番勝負第4局で、挑戦者の藤井聡太七冠(21)が、永瀬拓矢王座(31)に勝利。3勝1敗で王座を獲得するとともに、史上初めて八冠を独占した。

 

 全冠制覇は1996年、羽生善治現九段(53)が当時、存在した七大タイトルをすべて制覇して以来の快挙だ。藤井を称える声は各界から届いた。

 

「全八冠制覇、心よりお祝いを申し上げます。歴史的な偉業達成に心から感動しました」(京都大学iPS細胞研究所名誉所長・山中伸弥教授)

 

 

「21歳2カ月での偉業は、小さいときから一心不乱に突き進んできた結果だと思います」(将棋文化振興議員連盟会長・山東昭子参議院議員)

 

「本当にすごい。若さといい、勝ち方といい、素晴らしい」(将棋文化振興議員連盟幹事長・原口一博衆議院議員)

 

「10年前に将棋ファンになったので、羽生善治七冠のときはきちんと観られなかったのですが、今回の藤井聡太八冠という偉業の瞬間を観ることができ、感動しております!」(漫画家・さくらはな。氏)

 

 今期王座戦は舞台設定も、盤上のドラマも劇的だった。永瀬には、王座5連覇で得られる「名誉王座」の資格もかかっていた。

 

「八冠達成を期待する人々が多い一方、藤井聡太という絶対的存在を破る者の出現を待ち望んでいたファンも多かった。今年度、先手番で13戦無敗だった藤井挑戦者に、永瀬王座が初めて黒星をつけて、五番勝負は幕を開けました。AIの評価値が藤井有利に振れ続け、とくに悪い手を指したわけでもないのに、気がついたら不思議と相手が負けている『藤井曲線』と呼ばれる事象があります。永瀬王座はその曲線を4局中、一度も出現させなかった。いまもっとも充実しているといえる藤井挑戦者を、何度も追い詰めたのです」(漫画家・松本渚氏)

 

 藤井2勝、永瀬1勝で迎えた第4局。永瀬は「勝率99%」まで藤井を追い込みながら、痛恨の悪手で敗戦。藤井が奇跡的な逆転勝利を収めた。しかし、敗れた永瀬の姿もまた、ファンの胸を打った。

 

「対局中に、永瀬王座が感情を表に出す場面はあまり見たことがありません。永瀬王座があと少しで勝ちというところで悪手を指し、後悔して、頭を掻きむしって悲しそうな顏をしていたときは、感情移入してしまいせつなくなりました」(さくらはな。氏)

 

「形勢は二転三転、評価値は乱高下で、『藤井曲線』とはぜんぜん違いますよね。藤井さんでもこういう棋譜があるのかと。僕は藤井さんを応援して観ていたんです。でも、永瀬さんが悪手を指したところを観て、泣きそうになってしまった」(気象予報士・森田正光氏)

 

「藤井さんのことを一心に考えて研究してきた永瀬さんが、『人間をやめないと藤井さんには勝てない』ということをおっしゃっていて。でも人間である限り、思考のエアポケットで生まれる見落としを完全に防ぐことはできない。永瀬さんの人間らしい姿には、棋士として生きることのすごみが凝縮されているようで、本当に心を揺さぶられるものがありました」(小説家・芦沢央氏)

 

「お2人が(持ち時間を使い切って1手60秒未満で指す)一分将棋に入ってから、かなり永瀬さんが辛そうな反応があったんですが、それと同じくらい藤井さんも、すごく苦しそう、辛そうな表情が垣間見られた。印象に残る一局でした」(小説家・柚月裕子氏)

 

 ファンの注目は、棋士が食べるものにも集まる。漫画『将棋めし』の作者・松本氏は、次のように分析する。

 

「かつて、森内俊之九段や佐藤天彦九段がタイトル戦で好んで注文していたのがカレーで、不思議と勝率が高いというデータが注目されました。第1局で、昼夕カレーを食べた永瀬王座は見事勝利。そして、第4局でも永瀬王座は昼夕ともにカレーを頼んだのですが逆転負け。カレーのゲン担ぎも効かないのかと、あらためて藤井八冠の強さを実感させられました。ちなみに、藤井八冠は『ご当地もの』をよく注文するので、藤井八冠の食事メニューから全国の名産を知るのも楽しいです」

 

 21歳の王者、藤井八冠の将棋に対する姿勢をどう見るか。

 

「とくに印象的なのは、永瀬さんと一緒に研究会をずっと長くやってきたということ。若い人たちでお互いに切磋琢磨して、徹底的に研究してきたのは素晴らしい」(山東氏)

 

「藤井さんはおそらく数学とか音楽とか、そんな感じで将棋をとらえておられるのかなと。人間がいっぺんに認知できるのは7プラスマイナス2といわれる。でも、9でも3つの塊にすれば把握できる。たとえば、そんな認識をしているんじゃないかなと」(原口氏)

 

「藤井さんはいつも相手と戦いながら相手がいないというか。常に盤上に現われる局面に向き合っているという印象があります。今回の八冠もひとつの到達点だと思いますが、きっと藤井さんの中にはもっと深いところへの闘志が漲(みなぎ)っていると思います」(柚月氏)

 

 八冠はゴールではない。

 

「羽生七冠は、半年ぐらい全冠制覇を維持しました。藤井八冠がそれを超えたらすごい。藤井八冠の勝率は83%。これは夕方出す、翌日の天気予報の的中率とまったく同じなんです。いずれ、天気予報を超えるかもしれません」(森田氏)

 

 天才の進化に、興味は尽きない。

 

文・相川清英、写真・野澤亘伸

( 週刊FLASH 2023年10月31日号 )

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