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東京進出!「資さんうどん」に縁がなかったユニクロ出身44歳が社長就任直前「妻と2日で8店舗実食」で確信したこと
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.08.25 11:00 最終更新日:2024.09.11 14:58
北九州の “ソウルフード” とも呼ばれるうどんがある。その名は「資(すけ)さんうどん」だ。
初めて「資さん」の名が冠されたのは、1976年に北九州市戸畑区中原に出店した「資さん1号店」だった。
創業者の大西章資(しょうじ)氏は、数年にわたり、試行錯誤して納得のいく出汁や麺が完成したことをきっかけに、従業員のアイデアから、自身の名前の一部を取って屋号とした。
すでに出店していた戸畑区一枝の本社兼自家製麺工場の隣の店舗も『さぬき屋うどん』から『資さん一枝店』に改称された。現在はすべて「株式会社資さん」の直営店として、九州全県と山口県、岡山県、大阪府、兵庫県に計70店舗以上を展開している。
そんなローカル店が、一躍注目を集めたのは、7月13~15日の3日間限定で、東京・神田に出店した際、連日400人以上の長蛇の列ができ、大きな話題になったことだ。
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「私たちが思っていた以上に多くのお客さまにお越しいただいて、非常にありがたかったです」
こう話すのは、株式会社資さんの佐藤崇史社長(50)だ。東京で出店した最初の2日間は、佐藤社長自ら、来店者に直接お礼を伝えたく整理券を配る係を務めていたという。
「設備の関係もあり、1日400食限定だったため、11時開店、4時閉店というスケジュールで、10時半から整理券を配る準備をしていました。それでも、初日から7時半には並ばれた方がいらっしゃって、10時にはもう400人を超えたので急遽、時間を前倒しで配布させていただきました。2日めには、5時半から並ばれる方がいらっしゃって、9時にはもう400人を超えたんです」(以下、佐藤社長)
そんな反響の大きさもあり、今冬に「資さんうどん」は、墨田区両国に都内初の店舗を出店する予定だ。
佐藤社長が、株式会社資さんの代表取締役社長に就任したのは、2018年3月のことだった。
1997年にソニー入社後、2001年に外資系コンサルティング企業「ボストン コンサルティング グループ(BCG)」へ転職。そこで6年間勤務したが、日本の成長に貢献したいと思うようになり、2006年、ユニクロを運営するファーストリテイリングに入社して、経営変革、グループ戦略、人事、店舗運営、社長室等の責任者を歴任。2年半の米国・ニューヨーク勤務も経験した。
「資さんうどんとの出合いは、社長就任の5年ほど前、北九州に出張した際に同僚に連れていかれたことでした」
親族や従業員にも、創業者の大西氏の後継者になれる人がいなかったため、会社を引き継ぐ “パートナー” を探した結果、2012年に福岡銀行の仲介で、「福岡キャピタルパートナーズ」に株式が譲渡され、2018年、投資ファンド「ユニゾン・キャピタル」に事業譲渡された。
「私はCOOの大井裕之と一緒に招聘されたんです。大井はゼンショー出身で、外食のプロです。最初のきっかけは、2017年秋に『成長の踊り場を迎えている資さんを、より元気にできる若いリーダーを』という話から、声をかけていただいたことでした。
以前、出張の際に訪れて感動したことを覚えていたので、すぐ前向きに検討を始めました。声をかけてもらった帰りの電車で飛行機を予約して、妻も説得し、『北九州に行こう』と。週末2日間で、夫婦2人で北九州と福岡市内の『資さんうどん』を8店舗ほどまわりました。
そこで、美味しいのはもちろんですが、お店も活気にあふれていて、あらためて『いい商品、いいお店だ』と思い、やっぱり『これは本物だ!』と確信したんです。
だから、これは運命、天命じゃないかと思って、社長就任のお話を受けることを決めました」
ユニクロ時代は東京在住だった佐藤社長。今の時代であれば、自宅を東京に置いたまま、勤務できないこともないだろう。しかし、佐藤社長はすぐに単身赴任を決め、その後、家族も福岡に呼んだという。
「『食』はその地域とものすごく結びついているものですから、地域の歴史、地域の人々の生活、地域での食文化とか、そういったことを理解しないと飲食業はできないと思っています。この仕事をやるなら “住むのは絶対” だと思っていましたし、社長就任の打診をいただいてから、すぐに家を探し始めました」
資さんうどんも、昔から地域に根ざした飲食店だったという。
「最初の『資さん』は港町に近く、製鉄所などがあって、そこの労働者の方や製鉄所と港の荷物を運ぶ物流ドライバーの方などが常連として多かったんです。だから、早朝、深夜に来るお客さまも多かったそうです。
ですから、北九州にコンビニができる前から、資さんうどんは24時間営業をやっていました。
そして、大西さんが店に立ちながら、お客さまにもっと喜んでもらいたくて、いつも『もっと美味しくなるにはどうしたらいいと思いますか?』『もっと食べたいものはありますか?』と聞いていたそうなんです。
その精神が、資さんの地域のお客さまに愛される味作りや店作りにつながっていると思います。また、連日のようにいらっしゃる常連のお客さまが、飽きることなく食べたいものを食べられるように、メニューを増やしていって、現在の100種類以上のメニューを展開する形になったんです」
写真・繁昌良司
( SmartFLASH )