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認知症、心筋梗塞、慢性腎不全…発症リスクがわかる「血中たんぱく質検査」俳優・野村宏伸に判明した衝撃結果
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.10.12 06:00 最終更新日:2024.10.12 06:00
「僕には8歳の娘がいます。やっぱり彼女が20歳になるころまでは、健康で仕事をしていたいですね」
そう語るのは、俳優の野村宏伸(59)。ドラマ『教師びんびん物語』(フジテレビ系)などで1980年代から活躍し、今年9月には芸能40周年記念公演『PLAY』を成功させたばかりだ。
野村が順調に芸能活動を送ることができているのは、娘のために “健康マニア” となったからだ。
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「肥満遺伝子検査をおこない、何を食べると太りやすいのかを調べました。僕は炭水化物を食べても太りづらく、油ものは逆に太りやすいことがわかりました。食生活を改善し、体重を10kg減らしました」
将来に備えて、心臓の内視鏡手術まで受けたという。
「僕は、母を心筋梗塞で亡くしているんです。家系的に僕も心臓に不安があり、検査で血管の一部に狭窄が見つかったことを機に、心臓カテーテル手術を受けました」
野村のように、先天的な体質や体の異常を早期発見すれば、より長く健康でいられる可能性は高まるだろう。さらに、近年では「早期発見」どころではない検査技術が登場しているのだ。
「これまでの多くの血液検査は『すでに発症している病気』を調べるものでしたが、たった5mlの血液を採るだけで、『数年後、認知症や心筋梗塞など重大な病気を発症する可能性』といった、未来のリスクを予測することができるようになりました」
そう語るのは、フォーネスライフの山川雄也さん。NECのグループ会社としてスタートした同社は、将来の病気のリスクを可視化し、生活習慣の改善も含めたサポートをおこなう「フォーネスビジュアス」を提供している。
約7000種類の血中たんぱく質を一度に解析する技術を用い、5年もしくは20年以内の認知症、4年以内の心筋梗塞・脳卒中や慢性腎不全、5年以内の肺がんの発症リスクがわかるという(5年以内の認知症発症リスクは65歳以上のみ提示)。
「ほかにも、血糖値の上昇を抑える働き、肝臓脂肪や内臓脂肪の多さ、アルコールの影響、最大酸素摂取量、安静時の代謝量も測定することができます」(山川さん)
人間の体は、水分と脂質を除くとほぼたんぱく質でできており、炎症や病気になるとそのたんぱく質のバランスが崩れてしまう。検査では、血中の約7000種類ものたんぱく質のバランスを解析し、病気のリスクを予測するという。
「世界中のバイオバンクにある10万人以上の血液データと病歴情報をもとに、血中たんぱく質と疾病発症の相関関係を明らかにする独自のアルゴリズムを開発しました。このアルゴリズムを用いて、4~20年後に病気になるリスクを可視化するのです」(山川さん)
■「そんなに心配はしていません」と語る野村宏伸に衝撃結果が……
盛夏の某日。野村がやってきたのは、都内のクリニック。フォーネスビジュアス検査を受けに来たのだ。
「今日は楽しみにしてきました。病気になる可能性がわかるなら、早いうちに予防して原因を絶ち、健康を保ちたいですね」
受診するには、まずHPや電話でフォーネスライフ社に検査を申し込む。受診券が自宅か専用アプリに届くので、それを予約した全国にある提携医療機関に持参すれば、検査を受けられる。診察室に呼ばれた野村は、5分ほどでロビーに戻ってきた。
「本当に採血だけでした。ふだんの健康診断の血液検査も悪い結果ではなかったので、じつはそんなに心配はしていません。お酒の量が多いと肝臓の数値が高くなることがあった気がしますが……」
ちなみに、この検査は人間ドックなどと違い、前日にお酒を飲んでもかまわないし、当日の食事制限なども必要ない。そして約1カ月後、野村の自宅に検査結果が送られてきた。
「やはり心臓が心配でしたが、心筋梗塞のリスクが低く、安心しました」
検査結果が出ると、保健師の資格を持ったコンシェルジュとのオンライン面談を2度受けることができる。結果を踏まえ、今後の生活習慣の改善策を助言してくれるのだ。野村の場合、認知症、肺がんは低リスクだった。
「若いときに比べて、今のほうが台詞覚えがよくなっているように感じます。多くの人と接する仕事で、脳にいい刺激となっていると自分でも感じます。肺については、20年前にタバコをやめたからかもしれません」
一方で予想外の結果もあった。4年以内の慢性腎不全の発症リスクが、平均値の1.82倍と高めだったのだ。
「これまでの健康診断では指摘されたことがなく、驚きましたね。コンシェルジュさんからは『たんぱく質や塩分を取りすぎ、腎臓の働きが低下している可能性があります』と指摘してもらいました。たしかに、天ぷらや肉、魚のほか、野菜にも塩をつけて食べるのが好きなんですよ。これからは、意識して減らしていこうと思います」
将来の疾患予測はおおむね想定内だったが、耐糖能や肝臓脂肪、アルコールの影響、内臓脂肪については、いずれも高リスクの数値が。これには野村も、少しショックを受けた様子だ。
「耐糖能は聞き慣れない言葉でしたが、コンシェルジュさんからは『食後に高くなった血糖値の上昇を抑える働きです。異常の疑いがあると、糖尿病の発症リスクが高まる傾向にあります』と。たしかに、以前受けた肥満遺伝子検査の結果を過信して、パスタや麺類、米など炭水化物が多めの食生活を送っていましたね」
コンシェルジュからは「野菜を先に食べれば、血糖値の上昇が緩やかになる」とアドバイスが。一方、アルコールについては、仲間との楽しい酒席でついつい飲みすぎてしまうこともあるという。
「自宅では飲まないので、休肝日を作ることはできそうです。週2日くらいは飲まなくても大丈夫だと思います」
と意気込む野村に対し、コンシェルジュは取り組みやすい改善策を伝授した。
「いきなり厳しく変えてしまうと長続きしないおそれがあります。まずは、しっかり週1日から。できることから着実に変えていきましょう!」
遺伝子検査は一生涯同じ検査結果がくるのに対し、血中たんぱく質検査は、生活習慣や年齢の変化で検査結果が変わっていくのが特徴だ。前出の山川さんがこう語る。
「多くの病気は、生活習慣に由来して発症するケースが少なくありません。検査結果をもとに生活習慣を改善すれば、未来を変えていくことができるのです」
50代で父になった野村が、娘の成長を見届けるためになすべきこと。今回の検査は、それを見つけるヒントになったはずだ。
■遺伝子検査、線虫による検査…さまざまな「リスク予測検査」を医師が解説!
ネットで検索すると、今回紹介した血中たんぱく質検査以外にも、病気のリスクを予測できる検査は多数ヒットする。それぞれどんな特徴があるのか。五良会クリニック白金高輪理事長の五藤良将医師に聞いた。
「血中たんぱく質検査は、とくに生活習慣が原因の病気の予防には効果的です。通常の検査では見逃されがちな初期段階で、早期治療に繋がる行動をとることができますから」
一方、近年話題になっているのが市販の「遺伝子検査」だ。病気になりやすい遺伝子を持っていることがわかると、治療方法の選択や予防、早期発見に役立つという。
「国立がん研究センターなどでおこなっている遺伝子検査は、すでにがんである患者さんに最適な薬を探すためのもので、早期発見を目的にした市販の遺伝子検査キットとは別物です。それを理解したうえで、市販のキットを使って個人で病気の遺伝的リスクを把握したり、自身の健康管理の計画を立てたりするのには有用でしょう。ただ、本来は検査結果の解釈には専門的知識が必要。結果に不安がある場合は医師に相談しましょう」
CMでよく見かける線虫によるがん検査はどうか。
「がんの早期発見に貢献する可能性があります。現段階では確立された診断方法ではないので、従来の検査方法と併用することで、効果を発揮する検査であると思います」
ふるさと納税の返礼品にもなり、大手企業でも導入が進むのが、唾液中の代謝物を測定するがん検査方法だ。
「唾液で簡便に検査できるので、“検診の手前” として、活用するのはいいと思います。ただ、この測定だけでは、がんを完全に診断できないことは運営会社も認めており、あくまで補助的なツールといえるでしょう」
検査のメリット・デメリットを把握したうえで、有効に活用しよう。
写真・久保貴弘 取材/文・吉澤恵理(医療ジャーナリスト)