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逆風の中で大繁盛 東西「2000円ラーメン」6店 注目は元総料理長が作る「最後の一杯」

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.10.27 06:00 最終更新日:2024.10.27 06:00

逆風の中で大繁盛 東西「2000円ラーメン」6店 注目は元総料理長が作る「最後の一杯」

ラビオリグルマンディーズ中華そば「銀座 八五」/東京・銀座

 

 今年、ラーメン界は最大の危機に瀕している。東京商工リサーチによると、2024年1〜9月のラーメン店の倒産は47件(前年同期比42.4%増)に達し、集計を開始して以降で最多となった。

 

 その理由として、食材費などの物価高、人件費や水道光熱費の高騰などに加え、ラーメン1杯の提供価格には「1000円の壁」があることが挙げられている。

 

 

「『1000円の壁』とは、お店側もお客側もラーメン1杯1000円は高いと感じるという心理的な問題です。多くのラーメン店は、原価や人件費などと戦いながら1000円以内の価格を長年守ってきました。

 

 こう解説してくれたのは、至福の一杯を求めて日本全国を食べ歩くラーメンライターの井手隊長だ。

 

「コロナ禍以降、円安などが要因で原価が上がり続けており、ラーメンを同じ値段で提供し続けることは難しくなっています。

 

 当然、値上げが必要ですが、長く大衆食・国民食として愛されてきたラーメンには、この『1000円の壁』がずっと立ちはだかってきたのです。このきわめて高いハードルが、倒産が最多になった理由のひとつです」(井手隊長、以下同)

 

 そうしたなかで、新潮流として注目を集めているのが、「2000円ラーメン」だ。

 

 従来のラーメン店が「1000円の壁」と戦っているなかで、その2倍の価格をつける店が人気を博している背景には何があるのか。

 

「『2000円ラーメン』店は、従来のラーメン店が薄利多売のため客席回転数をとにかく重視し、『一日何杯売れるか』の勝負をしているのに対して、そこから脱却してゆっくり過ごせるお店作りをしています。 また、当たり前ですが味にこだわり、今まで食べてきたラーメンとは明らかに違う美味しさや驚きを提供できているお店が成功しています」

 

 ここからは、井手隊長に注目の東西の「2000円ラーメン」6店を挙げてもらった。

 

 まずは、神奈川・湯河原にある「らぁ麺 飯田商店」。

 

 都心から離れた場所にありながら「食べログ」のラーメン部門全国1位に輝いた人気店だ。「2000円ラーメン」の先駆けともいえる同店を、井手隊長は「ゆっくり過ごせるお店の代表です」と分析する。

 

「温泉宿に1泊して、その過程で『飯田商店』のラーメンをゆるりと食べる、 “ラーメン旅” を楽しめる唯一無二の存在。全国からお客を集める人気店です」

 

 完全予約制の高級日本料理店で、その店の食材を使った芳潤なスープを味わえる東京・西麻布の「らぁー麺 なかじま」も評判の店だ。

 

「今年2月にオープンした、『食十二ヶ月 中島武 西麻布』が二毛作営業しているお店です。高級店ならではの落ち着いた雰囲気で、 “食べる時間” も味わえます」

 

 名料理人が手がけることで評判なのが、東京・銀座の「銀座 八五(はちごう)」と、京都の「Nippon Ramen 凛 KYOTO」。

 

「『八五』は、京都全日空ホテル(現・ANAクラウンプラザホテル京都)の元総料理長・松村康史さんが立ち上げたお店です。松村さんのホテル料理人としてのキャリアは36年。最後のステージに選んだ至高の一杯を味わえます。

 

『凛』は、札幌の有名ラーメン店『Japanese Ramen Noodle Lab Q』の店主・平岡寛視さんが手がける店。地鶏のスープと銘柄豚『京都ぽーく』のチャーシューが魅力です」 

 

 2000円以上の価格だからできる、高級食材と “手間” で勝負するのが、東京・虎ノ門にある「麺尊RAGE(レイジ) 麻布台ヒルズ」と、奈良・尼辻町にある「まりお流らーめん」の2店だ。

 

「『RAGE』は、昨年11月にオープンした麻布台ヒルズに唯一入っているラーメン専門店。ここのスープは軍鶏、世界三大ハムのひとつに数えられる金華ハムをふんだんに使った出汁が特徴です。

 

『まりお流らーめん』は、ここでしか食べられない日本屈指の超こってりラーメンを提供するお店です。大量の豚骨を炊き続けてスープを作る手間を考えると、2000円は納得の価格です」

 

「2000円」で勝負する店が増えるなか、今後のラーメン業界はどうなっていくのか。

 

「1000円以下と2000円以上のどちらのラーメンもあっていいと思います。
 そばに、立ち食いそば店から高級そば店があるように、それぞれの価格帯のお店に、それぞれ価値がありますから」

 

 大衆食のラーメンは、ハレの日のごちそうにも進化したのだ。

 

▪︎「銀座 八五」ラビオリグルマンディーズ中華そば(2200円)/東京・銀座

 

「タレを使わず、厳選した鶏と鴨をメインに昆布、椎茸、イタヤ貝、ドライトマトなどの旨味を重ね合わせて作った至高のスープ。お店の佇まい、接客に始まり、ラーメンの香り、味、バランス、奥行き、後味に至るまで間違いなく最高峰といえます」(井手隊長、以下同)

 

・住所/東京都中央区銀座3-14-2 第一はなぶさビル1F

・営業時間/並び11:00〜、予約12:00〜スープがなくなり次第閉店

・定休日/月曜、火曜不定休

 

▪︎「麺尊RAGE 麻布台ヒルズ」ネオ軍鶏そば(2000円)/東京・虎ノ門

 

「軍鶏丸鶏、軍鶏ガラ、金華ハムに、昆布など乾物を合わせたスープに数種の醤油を合わせています。クリアな清湯は出汁感、醤油感をしっかり感じるバランスのよさ。自信がなければこの価格はつけられません」

 

・住所/東京都港区虎ノ門5-10-7麻布台ヒルズガーデンプラザD B1F

・営業時間/11:00〜22:00(L. O. 21:30)

・定休日/年中無休

 

▪︎「らぁー麺 なかじま」海老雲呑麺(2000円)/東京・西麻布

 

「芳醇な和のスープは動物や昆布など旨味が重層的で、飲むたびに口の中に旨味が広がります。大きめの海老が丸ごと入った海老雲呑は贅沢に5個入ります。日本人なら誰もが好きになる味わいです」

 

・住所/東京都港区西麻布4-2-10

・営業時間/11:00〜15:00

・定休日/日曜

 

▪︎「らぁ麺 飯田商店」わんたん入りしょうゆチャーシュー麺(2700円)/神奈川・湯河原

 

「『食べログ』ラーメン全国1位(2024年10月8日現在)になった人気店です。豚と鶏を合わせたスープに香り高い醤油、そしてしなやかな麺。ブランド豚のチャーシューや鶏・豚が餡になったワンタンなどすべてがベストマッチした逸品です」

 

・住所/神奈川県足柄下郡湯河原町土肥2-12-14

・営業時間/11:00〜15:00(最終入店14:00)

・定休日/火曜、水曜

 

•<関西>「日本屈指の濃厚トンコツ」「旨味爆発の鶏スープ」で人気店!

 

▪︎「Nippon Ramen 凛 KYOTO」醤油わんたんちゃあしゅう麺(2100円)/京都・東洞院通

 

「比内地鶏、名古屋コーチンなどの鶏の旨味爆発のスープと、ふくよかな生揚げ醤油が最強マッチしています。(京都府特産の銘豚)京都ぽーくのチャーシューはしっとりとした仕上がりです。店名どおりまさに “凛” とした佇まいのなかで旨味あふれる一杯が楽しめます」

 

・住所/京都府京都市中京区東洞院錦小路下ル阪東屋町653−1

・営業時間/11:00〜15:00、18:00〜21:30

・定休日/火曜、水曜

 

▪︎「まりお流らーめん」富士山(並盛り2200円)/奈良・尼辻町

 

「ここでしか食べられない日本屈指の超こってりラーメンを提供します。大量の豚骨を使い炊き続けるため1000円の壁といわれる随分前から高額メニューが多数存在していました。豚骨に丸鶏を合わせたコラーゲンたっぷりのスープは麺も啜れないレベルの重量級です」

 

・住所/奈良県奈良市尼辻町433-3

・営業時間/18:00〜L.O.23:30(土曜のみ25:30閉店、L.O.25:00)

・定休日/水曜

 

※紹介しているラーメンの価格はすべて税込みです

 

井出隊長
全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「Yahoo!ニュース」「東洋経済オンライン」「AERA dot.」など年間100本以上の記事を執筆。そのほか、番組出演、カップ麺などの商品監修など多方面で活躍中。著書に『できる人だけが知っている「ここだけの話」を聞く技術』

 

写真・木村哲夫(銀座 八五)

( 週刊FLASH 2024年11月5日号 )

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