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焼きそば革命100年史(2)ご当地焼きそばが席巻した2006年以降
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.01.20 16:00 最終更新日:2018.01.20 16:13
日本独自の「ソース焼きそば」が生まれておよそ100年。これまで書かれることのなかった「国民食」の通史を、塩崎氏が太鼓判を押す名店を紹介しながら、集中講義する!
●第3次革命(2006年)
【B-1グランプリを「ご当地焼きそば」が席巻する】
外食としての焼きそばが再び脚光を浴びたのは、2006年開催の第1回B-1グランプリ。「富士宮やきそば学会 ※1」が優勝し、その後も「横手やきそば」(2009年)、「なみえ焼そば」(2013年)が栄冠に輝く。「ご当地焼きそば」ブームの到来だ。
たとえば麺をとっても千差万別。静岡の富士宮やきそばはコシの強い蒸し麺が使われるが、秋田の横手やきそばは柔らかい茹で麺だ。都内の店で確かめたいなら板橋の「栄屋 ※2」へ。
「僕は横手の出身。子供のころからこの味で育ちました。ソースをひたひたにかけて食べるのが横手流です」(店主の前澤亨さん)。
一方、「想夫恋 ※3」を元祖とする大分・日田焼きそばの、両面をパリパリに焼き上げた麺も個性的でファンが多い。
ご当地焼きそばには、かつて存在した人気店の味を復活させたケースや、町おこしのため新たに開発された焼きそばもある。
また、愛媛・松山の「かめそば じゅん ※4」のように、閉店する店の味を常連客が受け継いだ例もある。3.11の復興のシンボルとして注目を集めた焼きそばも多い。
このご当地焼きそばブームを通じて、「ソース焼きそばはどこで食べても同じ味」という先入観が取り払われた。ソース焼きそば新時代の幕開けである。
※1 富士宮やきそば学会
浅間大社前独特なコシの蒸し麺に肉カスが合う。「富士宮やきそば」450円
(住)静岡県富士宮市宮町4-23
※2 大衆鉄板食堂 栄屋
都内では貴重な横手やきそば専門店。店主の前澤さんは、ブーム前から移動販売で腕を磨き、2017年春に店を構えた。横手やきそば(550円)は、目玉焼きに福神漬け、鰹だしを合わせたソースが特徴だ
(住)東京都板橋区大谷口上町37-13
※3 想夫恋(そうふれん)新本店
鉄板で焼き上げた香ばしさが特徴。九州北部を中心にチェーン展開。「想夫恋焼そば」800円
(住)大分県日田市若宮町416-1
※4 かめそば じゅん
名物「かめそば」(650円)は、たっぷりのアジ節と干しジャコが美味
(住)愛媛県松山市二番町1-4-11
塩崎省吾
1970年生まれ。ブログ「焼きそば名店探訪録」管理人。47都道府県、約1000軒以上の焼きそばを制覇
(週刊FLASH 2017年12月19日号)