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50代男性の「がん保険」最適プランの選び方「治療給付型で月額15~20万円の保障が目安」【FPが指南】

医療費の患者負担に限度を設ける「高額療養費制度」の見直しをめぐり、国会が紛糾した。3月5日、参院予算委員会に出席した、全国がん患者団体連合会の轟浩美理事は、石破茂首相に「治療をやめて、子どものランドセルや成人式の着物を用意して旅立つ方々がいる」と、がん患者の現状を訴えた。このニュースを見て、がん保険の見直し・加入を検討した人も多いのではないだろうか。だが、いま、がん保険は多種多様な商品が出ており、どれを選んだらよいかわからない……。
「がん保険に入らないのは、あまりよい選択ではないと思います」と言い切るのは、約4000件の相談実績をもつ横浜FP事務所の平野雅章さんだ。その理由を解説する。
「がんで怖いのは治療費もありますが、もうひとつの問題は収入の低下なんです。一般社団法人 患者家計サポート協会の『がん患者の経済的負担に関する実態調査』によると、約6割の方が、がんにかかって収入低下を経験しています。収入が低下した方のうち、退職者は2割に満たず、休職(在籍)や就業中の方が大部分です。ボーナスは、出なくなったか減った方が6割近くに達し、手取り月収も6割の方が減収を経験していました。治療期間が長期化、さらに健康保険適用外の自由診療を選択すると、経済的に厳しくなると思います」
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現在のがん治療に合わせて、「保険」も変わってきているという。
「以前のがん保険は、入院と手術の保障が中心で、あとは1回限りの診断給付金が少額ついたり、というものが主流でした。でもいまは、がんと診断されたら、まとまった金額の一時金が複数回、給付される診断給付型か、治療している期間は毎月、一定額の給付金がもらえる治療給付型の2タイプがメインになっています。
がんの治療は『3大治療』と呼ばれる手術、薬物療法、放射線治療が中心です。とくに、抗がん剤やホルモン剤による薬物療法の期間が長いです。以前は、抗がん剤の治療は入院して受けていましたが、それが変わってきました。点滴や注射での投与のほか、いまは錠剤タイプの抗がん剤も開発され、入院せずに通院治療が一般的になっています。そうなると、通院による薬物療法に対して、どのくらい保障があるかがポイントのひとつになります」
そこで、平野さんが50代男性が、がん保険の見直し、新規加入をする際に勧めるのは、「治療給付型」の商品だ。
「50代の男性ということならば、ネオファースト生命の『ネオdeがんちりょう』はおすすめできます。保険料はこのタイプでは最安レベルで、とくに男性は安いです。
さらに、ポイントが2つあります。ひとつめは、主契約がさまざまに組み合わせ可能な、自由度の高さです。50代の男性の方であれば、3大治療の給付タイプを選ぶか、手術を保障する医療保険に加入している方は薬物療法と放射線治療の給付タイプを選ぶといいと思います。
もうひとつは、給付回数の上限です。治療給付金が治療期間中は月1回、回数無制限で給付されます。自由診療の上乗せ給付のオプションもあり、こちらは給付上限が24回までとなっています。月の給付金額をいくらにするかは、自分で決められます。月20万円で治療給付額を設定していたら、月に1回でも対象となる治療を受けると20万円を、要件を満たす自由診療を受けると60万円を、毎月、受け取れることになるんです」
だが、保障が厚くなるほど、当然だが保険料は高くなる。どのくらいが最適な保障になるのか。
「高額療養制度の場合、大雑把に言うと、標準的な収入の方が月に支払う医療費の上限はだいたい9万円ぐらい。そこにプラスして、がんになったことで収入の低下があることを考えて、月額15万円、20万円と契約をしてほしいですね。この『収入が低下する』という視点が、忘れられがちです。治療費をカバーするための保険と考えがちですが、収入を補填することも考えておくことが、最適な保障額を選ぶポイントになります」