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これまでに584種類! 「ペヤングやきそば」開発担当者が語る“苦労の歴史”ボツになった「ソーダ味」「カラーやきそば」

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記事投稿日:2025.06.10 06:00 最終更新日:2025.06.10 06:00
出典元: 週刊FLASH 2025年6月17日号
著者: 『FLASH』編集部
これまでに584種類! 「ペヤングやきそば」開発担当者が語る“苦労の歴史”ボツになった「ソーダ味」「カラーやきそば」

まるか食品グループで製品開発を担当するペヤングホールディングスの小島裕太氏。お気に入りは1973年発売の「ペヤング ヌードル」

 

 まるか食品の「ペヤング ソースやきそば」(以下「ペヤング」)が、発売から50年を迎えた。関東圏を中心に人気を拡大し、現在の年間販売は1億食以上の“国民食”だ。

 

 基本となる「ソースやきそば」は、パッケージも味もほぼ不変。その一方で、派生商品の開発はとどまることがない。その数は、2025年3月時点で584種類にのぼる。製品開発を担当する小島裕太氏に、挑戦の歴史を聞いた。

 

「2004年に『ソースやきそば超大盛』という2倍サイズの商品を発売しましたが、バリエーションが増えたのは2012年に出した『激辛やきそば』がきっかけですね。当時、他社の『激辛カップめん』を食べてみると『そんなに辛くはないよね』というものばかり。それなら、うちで“本当の激辛”を出そうというコンセプトでした」

 

 

「激辛やきそば」は現在でも販売が続くヒット商品に。同時に、ベーシックな「ソースやきそば」の売り上げも伸びる相乗効果が生まれた。

 

 以降、2015年発売の「にんにくMAXやきそば」を皮切りに「パクチーMAX」「背脂MAX」などのMAXシリーズが誕生。また、「チョコレート」「アップルパイテイスト」などの“イロモノ”的な商品も増えていった。

 

「『超大盛』は、弊社の社長(まるか食品・丸橋嘉一氏)がコンビニで買い物をしているときに、『ソースやきそば』とおにぎりを一緒に買っている学生を見かけたことから生まれた商品なんです。社長のアイデアを、開発課が形にしていくことは多いですね」

 

 上がってくる企画は、月に20から30。実際に商品化されるのは、多くて4つほどだ。

 

「開発課では、ほぼ毎日『ペヤング』を食べ続けています。研究で他社さんの商品を食べることもありますが、プライベートでカップめんを食べることは減りました(笑)」

 

 振り切った商品ばかりなだけに、開発課の苦労は他社にはないものだ。

 

「激辛の場合、辛さを確かめるため何度も食べていると、本当におなかが痛くなるんです。『激辛』の2倍の辛さの『もっともっと激辛』、さらにその2倍の『激辛END』、さらに『獄激辛』『獄激辛Final』とエスカレートし、開発段階で『さすがにキツいんじゃないか』と躊躇することも。でも、これが売れてしまう(笑)」

 

 大きいサイズの商品も、インフレが止まらない。

 

「『超大盛』は通常の2倍サイズですが、今度はその『超大盛』とおにぎりを買う学生を見てしまったんです。そこで生まれた4倍サイズの『超超超大盛GIGAMAX』も、“『GIGAMAX』を10個食べてみた”といった動画が上がるようになって……。現在は7.3倍の『超超超超超超大盛やきそばペタマックス』をラインナップしています」

 

 挑戦を重ねるなかには、“黒歴史”も……。

 

「苦戦したのは『アップルパイテイストやきそば』(2020年)や、バレンタインの時季に出した『チョコレートやきそばギリ』(2017年)ですかね。初動はよかったんですが、その後はなかなか売れませんでした。2022年の『きんぴら風やきそば』はおいしかったんですけどね。営業担当者は『普通すぎる』と。あとは『モノホントンコツMAXやきそば』(2020年)。これも本当においしいんですけど、今度は『臭すぎる』と言われ……(苦笑)。『きんぴら』は攻めなすぎ、『トンコツ』は攻めすぎでした」

 

 ボツになった企画も数知れず存在する。

 

「印象的なのは『ソーダ味』です。当時、アイスの『ガリガリ君』のコーンポタージュ味が話題で、うちが逆にソーダ味のやきそばを出したら……と試作したんですが、あれはさすがに食べられたものじゃなかった(笑)。『コーラ味』や『スイカバー味』、あとはピザの定番の『はちみつチーズ味』も、やっぱりダメでした。ほかには『カラーやきそば』というのもボツになりました。麺に赤・青・緑などの色をつけたんですが、視覚的にまったくおいしそうじゃないんです(苦笑)」

 

 今後、どんな商品を出していきたいですか?

 

「うちの基本は『ソースやきそば』です。なので、ここはしっかりと守りつつ、いかにこの『ペヤング』をPRしていけるかというところですね。お客さまが思わず手に取ってしまうような、商品開発を続けていきたいです」

 

 これからも「ペヤング」は攻め続ける。

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