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【地方発ご当地うどん】芸人実業家・オモロー山下が本気ルポ! 東京駅で「大阪讃岐うどん」ほか「これや!」の太鼓判7店

「大阪讃岐うどんを食べて『これや』と思いました」
2024年に関東に進出した「資さんうどん」は、現在も行列が絶えない。今年4月には、同じく福岡の「因幡うどん」も東京出店を果たし、賑わっている。
突然、地方発の “ご当地うどん” の人気に火がついたかに見えるが、お笑いコンビ「ジャリズム」で活躍し、現在は20店舗を展開する「山下本気うどん」創業者のオモロー山下(56)はこう語る。
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「15年ほど前から、出汁はカツオと昆布の大阪風、麺はコシのあるモチモチとした讃岐風の『大阪讃岐うどん』が、大阪で増えていました。それが最近、香川に “逆輸入” される事態になっているんです」
“ご当地うどん” は福岡だけでなく全国に多数あり、それぞれが盛り上がりを見せているというのだ。
「僕自身、地方で仕事があると、評判のうどん店に足を運んでは食べてきて、盛り上がりを実感しています。都内でも、美味しい “ご当地うどん” が増えていますし、それをきっかけに、地方まで足を延ばして食べてほしい店もたくさんあります」
■大阪讃岐うどん「難波千日前 釜たけうどん八重洲北口店」(東京・八重洲)
まず山下が訪れたのは、東京の玄関口、JR東京駅にある「難波千日前 釜たけうどん八重洲北口店」。新幹線の利用客が足しげく行き交う通路に面するが、立ち食い店のようなスピードを求めてはいけない。
山下 本来、大阪は “すぐ出る” が当たり前の文化なのに、「釜たけうどん」さんは10分待たせるんですよね(笑)。それを根づかせたのは、すごい。
店主・此村(このむら)さん すぐに出てくるうどんは茹でおきですから。今は、注文のたびに切りたてを茹でています。
山下 僕は大阪讃岐うどんが大好きなんですよ。「釜たけ」さんは、その発祥の店です。
此村さん 師匠が2003年に大阪・千日前に店を開いて、お弟子さんたちが広めてきました。ここも、本店と同じ製麺機で、毎日打っています。
山下 本店では、いつも「ちく玉天ぶっかけ」を食べています。大阪の味を忠実に再現できてるのがすごいわ。
此村さん 生地をあえて寝かせず、熟成させないのが、うちの特徴です。小麦の香りがダイレクトに感じられ、麺が滑らかになるんです。
山下 関西人はなんでも丼に載っけるのが好きだからと、天ぷらをうどんの上に載せるスタイルを生み出したのも「釜たけ」さんなんですよね。出汁は関西のカツオと昆布?
此村さん そうです。ただ、大阪と違って、東京の水ではカツオの甘さがなかなか出ないんです。それで、変換装置で水質を同じにしています。めちゃお金かかってます(笑)。
山下 僕も感じますけど、店舗が増えると再現性を高めるのは難しいんですよね。それをやってはる「釜たけ」さんは、さすがですわ。東京で大阪讃岐を食べるなら、まずはここです。
【難波千日前 釜たけうどん八重洲北口店】(大阪讃岐うどん/東京・八重洲)
・ちく玉天ぶっかけ(980円)
住所/東京都千代田区丸の内1-9-1 グランスタ八重北1階 JR 東京駅 八重洲北口改札
営業時間/11:00〜23:00(L.O.22:30)
定休日/なし
■福岡うどん「うどん屋新堀」(東京・代々木)
次に山下が向かったのは、「福岡うどん」の人気店「うどん屋新堀」。北九州発祥の「資さんうどん」は、麺の柔らかさが特徴だが……。
山下 おお、麺の食感は讃岐うどんに近い感じもします。
店主・新堀さん 福岡特有の柔らかさを生かしつつ、ふわふわモチモチの麺に仕上げています(笑)。
山下 麺は細め。女性も食べやすそうですね。
新堀さん 自分の好みなんです。なにより九州の素材を生かしたくて、小麦と明太子は福岡、醤油は宮崎と福岡。海苔はクセがなく、バランスがいい佐賀産です。かしわ天は鹿児島産の胸肉を使っています。
山下 九州オールスターや! ウチはもも肉ですが、「新堀」さんの揚げたての胸肉は、柔らかくてさっぱりして、むっちゃ美味しかったです。これも女性に好まれるんじゃないですか。なんといっても「新堀」さんは、うどんのビジュアルがすばらしいですし。
新堀さん ビジュアルは、自信あります(笑)。
山下 熱盛で、麺をくるっときれいに盛りつけるのは技術的に難しいんです。味も見た目も楽しんでほしいですね。
【うどん屋新堀】(福岡うどん/東京・代々木)
・釜玉めんたい+バター+有明のり:1300円
・親子天ぶっかけ:1250円
住所/東京都渋谷区千駄ヶ谷5-23-9 モルフォ1階
営業時間/11:30〜15:30(L.O.) 17:30〜20:30(L.O. 土曜は昼のみ)
定休日/日曜、月曜
■まだまだある! オモロー山下がすすめる「ご当地うどん」
山下がすすめる “ご当地うどん” は、ほかにもまだまだあるという。
「『むねひろ』(東京・田町)さんの『かすうどん』の具は、牛の腸を揚げた大阪・南河内のソウルフード。クセになる美味しさで、東京に専門店は珍しいですよね。稲庭うどんの『七蔵』(東京・新橋)さんは、細麺で喉越しがいいから、夏にぴったり。人気店なので並ぶかもしれませんが、そのぶん美味しさは格別なはず」(山下、以下同)
東京には未進出だが、“どうしても紹介したい”店も。
「香川では、うどんとおでんをセットで出す店が多いんです。『中村うどん』(丸亀市)さんは、どっちも絶品。からしを混ぜた味噌をたっぷりつけて味わってみてください。『おか泉』(宇多津町)さんの名物『ひや天おろし』は、SNS映えもバッチリ。一方、大阪の『たけうちうどん店』は『とり天ぶっかけ』発祥の店としても知られる人気店で、とり天がとにかく美味しい。テーブルはタイル張りで、椅子はハイチェアとおしゃれなんですよ。女性も入りやすいと思います」
それにしても、どうしてそんなにうどんが好きに?
「僕にとって、うどんは救世主なんです。仕事が減って食っていかれへんと思ったときに、うどん店を出して人生が変わりましたから。僕が助けられたうどんを、みんなに味わってほしいんです」
ご当地うどんの “オモロー!” な世界を、冷やしでぜひ。
【浪花かすうどん むねひろ 田町店】(大阪うどん/東京・三田)
・ネギうどん:1000円
住所/東京都港区芝4-5-15 クレール芝1階
営業時間/11:00〜14:00 17:00〜22:00(食材がなくなり次第終了)
定休日/土曜、日曜、祝日
【稲庭うどん天茶屋 七蔵】(秋田・稲庭うどん/東京・新橋)
・七蔵特製スープつけ麺: 小1100円
住所/東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館 2階
営業時間/11:00〜15:00(L.O.14:30)
定休日/土曜、日曜、祝日
【中村うどん】(香川)
・ひやひや 小:250円
・おでん:どれでも1個100円
住所/香川県丸亀市土器町東9-283 CLOVER KYOTOビル1階
営業時間/10:00〜14:00(麺がなくなり次第終了)
定休日/金曜日
【本格手打うどんおか泉】(香川)
・ひや天おろし:1280円
住所/香川県綾歌郡宇多津町浜八番丁129-10
営業時間/11:00〜19:00(L.O.)
定休日/月曜、火曜(祝日の場合は営業) ※年2回臨時休業あり
【たけうちうどん店】(大阪)
・とり天ぶっかけ:980円
住所/大阪府大阪市北区豊崎5-2-19
営業時間/11:30〜14:30 18:00〜21:00 (麺がなくなり次第終了)
定休日/日曜、祝日、Xで随時告知
※価格はすべて税込みです
写真・木村哲夫、オモロー山下