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1989年「平成」発表で驚いた「平成(たいらしげる)」さん
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.05.05 16:00 最終更新日:2018.05.05 16:00
1年後、皇太子さまが新天皇に即位されるとともに「平成」は終わり、次の元号となる。政府は、新元号の発表を来年2月以降にするとしているが、カレンダー業界などからは早く決めてほしいとの声が漏れ出している。
元号を決めるときには、いくつか条件がある。1979年に閣議報告された「元号選定手続きについて」によると、
・国民の理想としてふさわしい、よい意味を持つもの
・漢字2字で、書きやすく読みやすい
・これまでに用いられたものではなく、俗用されてないもの
などの決まりがある。俗用されてないものとは、人名・地名・商品名などは避けるということだ。
だが、実際は「平成」が発表された当時、「平成」という人名や地域が存在していた。インターネットがなかったことを思えば、調べきれなかったのは当然だろう。
埼玉県に「平成(たいらしげる)さん」という男性がいる。77歳の平成さんは、当時、紳士服卸売会社の営業所長として大阪に単身赴任中だった。
「営業所で、社員全員で新年の抱負を書いていたときに知らされた。えらいことになったと思ったが、『これからは私の時代。頑張ります』と抱負を書いた」と話す。名刺を渡すと、新規の営業先でも話が弾んだという。
そんな平成さんのモットーは「自分の人生を楽しく生きる」だそうだ。
「退職してからは、もう平々凡々と楽しく生きることを考えていました。楽しくね」
趣味として陶芸や水墨画を長らく続けているという。
「もうね、生きがいですよ。人生これがなきゃ、つまんない」
一方、岐阜県の関市(旧・武儀町)には「平成(へなり)」という地区がある。元号発表で、地域を取り巻く環境がガラリと変わったと話すのは、当時役場の職員だった福田尚雄さん(後の武儀町長)だ。
「1989年1月7日に『平成』の元号が発表され、その夜から問い合わせがどんどん来ました。8日には職員から『さばききれないです』と応援を呼ぶ電話が来て、あとは数百台の車がもう続々と。報道の方もいましたが、大半は物見遊山の観光客でした。1月中はずっとこんな調子でしたね」
1989年といえば、当時の竹下登首相が「ふるさと創生」を実施した時期に当たる。全国の市町村に1億円が交付されるなか、福田さんたちはこれを千載一遇のチャンスと思い、地域おこしに力を入れた。
「1991年には『日本平成村』を作り、女優の三田佳子さんに村長になっていただきました。あとはお土産物が何もなかったので、NTTと協力して『平成』という文字の入ったテレホンカードを急遽作り、販売しました」
1996年には地元の特産品などを販売する「道の駅 平成」も誕生し、いまでは年間数十万人が訪れる観光名所となっている。ちなみに、地域内では「へなり」、外に向けては「へいせい」と呼び方を変えているそうだ。
新元号は2019年5月1日から使われる。今回もまた、同じ地名・人名が登場するのだろうか。