
「現役続行術」を説く小堀善友医師
■アンケートが暴いた、令和の50代の「性欲」
吉原の高級ソープで接待を繰り返し受けるなどし、2026年1月に収賄容疑で逮捕された東大教授の事件は世間を騒がせた。同教授は60代ながら、昼間から2ラウンドおこなっていたという。
マッチングアプリの台頭とともに、50代をはじめとする壮年男性の “パパ活” も盛んになっている。しかし、カネをめぐるトラブルが生じることも多く、殺人事件に発展したケースもあった。
こうした中高年の “性” をめぐる問題はさまざまだが、一方で男女ともに50代に至ると、性欲はホルモンバランスの変化(テストステロンやエストロゲンの減少)により低下しやすい傾向にある。男性は勃起力低下や疲労、女性は閉経・更年期症状(乾燥・性交痛)などが要因となり、性生活自体が減少するのが一般的だ。
そこで、本誌は2月にアンケートで読者の性欲事情をチェックしたが、結果は目を覆わんばかりの惨状だった。40代から50代の働き盛りの男性190名に聞いたのだが、性生活の実態はきわめて “枯渇” していた。
アンケートではまず、「あなたはセックスを年に何回していますか?」という問いを立てた。これに対し、全体で最も多かった回答は「0回」で、実に約45%にあたる85名が、この1年間一度も異性と肌を合わせていないと回答している。
この世代の半数近くが、事実上のセックスレス状態にある一方で、「欲求」そのものが消滅したわけではない。
オナニーの回数を見ると、月に10〜19回が36名、20〜29回が11名、30回以上が11名、なかには120回も精を出す者もいた。やり場のない性欲が、AVやグラビアと結びつき、自らの手の中で完結しているのだ。
■「勃起不安」という見えない鎖を断つ
アンケートによれば、46%(88名)が「勃起に対して不安を感じたことがある」と吐露している。次いでおこなったヒアリング調査でも、欲求不満の大きな要因として「気力・体力が持たない」ことがあげられていた。
ちなみに、このヒアリングのために用意した質問項目は以下のとおりだ。自由回答も認めたが、応じやすいよう4択や5択も記しておいた。
◯あなたの「性的な欲求不満」は、いまどのレベルですか?
(1)ゼロ
(2)少し溜まっている
(3)かなり溜まっている
(4)我慢の限界
◯欲求不満が溜まっている一番の「原因」は何ですか?
(1)特定の相手がいない
(2)相手とレス状態
(3)お金や時間がない(風俗やデートに行く余裕がない)
(4)気力・体力が持たない
◯あなたは普段、どうやって「処理」していますか?(複数回答可)
(1)パートナー
(2)自慰行為
(3)性風俗店
(4)出会い系・パパ活
(5)ひたすら耐える(趣味、運動、仕事、寝る)
このヒアリングには50代を中心に10数名が応じたが、「性欲は持ちながらも、レス状態から性行為・自慰行為には積極的になれない」と答えた人がほとんどで、仮に自慰に及んでも「勃起が持続せず途中でやめてしまう」といった回答が多かった。
これらの結果について、最新の知見に基づく「現役続行術」を提唱するのが、プライベートケアクリニック東京・東京院院長の小堀善友氏だ。
「まず、性欲や性行為には個人差があります。年を取っても性欲旺盛な人がいることはご存じだと思います。ただ、一般的に性欲や性機能は年齢とともに衰えます。これまで私が相談を受けた男性の多くが、セックスから遠ざかった背景として、中折れや勃起不全への恐怖を語っています。それは今回のアンケート結果にも表れているようです」
そして、氏が強調するのが、ED(勃起不全)治療薬として知られる「タダラフィル(商品名「シアリス」)」を低用量で毎日服用することだ。
シアリス錠は日本新薬が製造販売するが、有効成分のタダラフィルの含有量別に3種類(5mg、10mg、20mg)が発売されている。最大の特長は作用時間が先行品のバイアグラやレビトラよりはるかに長い点だ。20mg投与後、最大36時間まで有効性が認められており、金曜夜に服用すれば日曜昼まで作用することから、別名「ウィークエンドピル」とも呼ばれる。
つまり、 タダラフィルは、従来のED薬のように行為の1時間前に飲む必要がない。5mgという低用量を毎日服用することで、血中濃度を一定に保ち、24時間いつでも、自然な流れのなかで勃起力をサポートする。
また、小堀氏によれば、タダラフィルには血管内皮機能を改善する効果がある。毎日飲むことで、陰茎の血流が常時改善され、朝立ちが戻るなど、生殖器としての “基礎体力” が底上げされる。
そしてなにより、「薬を飲んだから大丈夫」という暗示ではなく、つねに「戦える状態」にあるという自信が、性交という、本来は野生の欲求に基づく種の保存に臨む際のメンタルを劇的に変える可能性があるのだ。副作用が出る心配も少ないから、まさに “最強の矛” といえる。
「世界的にも安全性が高い薬として認知されています。頭痛や鼻づまりや顔のほてり、目の充血などが現れる場合もありますが、いずれも軽度で、飲み続けるうちに落ち着くのが通常です」(小堀氏)
シアリスの日本国内での特許は2020年に満了を迎え、現在9社ほどが厚労省よりジェネリックとしてタダラフィル錠の製造承認を取得。また、2022年4月から、不妊治療の保険適用にともない、シアリスも「勃起不全による男性不妊の治療」にのみ保険適用となった。ただ、同目的以外は、いままでどおり保険適用外で全額自費のため、注意が必要だ。
「2025年9月には、厚労省の専門家部会がタダラフィルを市販薬にすると了承しました。発売開始時期は未定ですが、今後は薬局にて薬剤師の対面指導の下、購入できるようになる見通しです。
ただ、用量は最大で10mgですから、20mgは引き続き医師の処方箋がないと購入できません。でも、普通なら5mgで十分に効きますよ」(小堀氏)
■マッチングアプリ時代の “守り” の兵法
現代の50代が、レス状態にあるパートナー以外に性欲処理の「現場」を求める際、マッチングアプリなどを通じて相手を探すか、風俗産業の利用が考えられる。
そこで避けて通れないのが感染症のリスクだ。アンケートの回答者の多くは会社員や公務員、自営業者であり、社会的信用を重んじる立場にある 。小堀氏が推奨する第2の武器が、正式名称Doxycycline Post-Exposure Prophylaxis(ドキシサイクリン曝露後予防)という、「DoxyPEP(ドキシペップ)」だ。
「比較的新しい対処法ですが、性行為の後、72時間以内にドキシサイクリンという古くからある抗生物質200mgを1回経口投与すれば、クラミジアや梅毒なら70%、淋菌なら50%は予防できると言われています。
ただ、性交渉前に飲んで効果が確認されたとのデータはないので、あくまで行為後に服用するものだと考えてください。ほかにも、性行為前後にHIV治療薬を服用することでHIVを予防することができるPrEP(プレップ)という方法もあります」(小堀氏)
扁桃炎や副鼻腔炎をこじらせ、「ビブラマイシン」という先発薬を処方されたことがある読者は多いだろう。まさにそれがドキシサイクリンだ。この “守り” の予防で厄介な性感染症の発症率を大幅に下げられるなら、レス状態に陥っている固定のパートナー以外に、行為の相手を求める意欲も増すだろう。
欧米では、男性同性愛者間においてすでにスタンダードになりつつあるこの手法は、リスクを恐れて「現役」を引退せざるを得なかった層にとって最強の “盾” となる。
ひとたび性病に罹患すれば、年齢的な免疫力低下や基礎疾患などの影響で、回復にも時間がかかるのが50代以上。一戦交えた後のリスクマネジメントとして、ビブラマイシンは必携かもしれない。ちなみに、ソープ三昧で捕まった東大教授も、この薬とHIV予防薬を行為のたびに服用していたと報じられている。
シアリスで性への意欲と能力を高め、DoxyPEPで病魔に冒される不安から身を守る。このセットこそが、50代以上の男性が性愛を楽しむための新たな両輪と心得ておきたい。
■「枯れる」ことを拒絶できるか?
今回のアンケート結果が示すセックスレスの真因は、日本社会の疲弊そのものにあるのかもしれない。だが、医学は日々進歩している。かつて「老化だから仕方ない」とあきらめていた領域でさえ、いまやコントロール可能になりつつある。
著書や発信を通じて、常にポジティブなメッセージを送り続けている小堀氏が、最後にこう語る。
「性欲は男性が元気に生きていくためのパワーの象徴。性機能を維持することは、QOL(生活の質、クオリティー・オブ・ライフ)を保つことにほかなりません」
日々の生活や社会的責任の重圧に押しつぶされ、データ上は「レス」に沈む40〜50代。しかし、適切な医学的アプローチを取り入れれば、再び情熱の荒野へと乗り出すことは可能だ。「令和の50代」はまだ一花も二花も咲かせられる。
取材・文/鈴木隆祐
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