ホルムズ海峡の船舶(写真・共同通信)
石油などエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖。その影響が徐々に広がりつつある。
とりわけ問題になっているのが、ナフサの供給不足だ。石油を精製して作られるナフサは、身近なものではプラスチックやビニール、洗剤など、さまざまな製品の原料として使われている。医療用品や塗料、衣料品、建材など、ナフサなしでは作れないものも多く、ナフサ不足が続けば、我々の生活のあらゆる場面で深刻な影響が懸念される。また、普段は目に触れることが少ない「重油」も供給が不足し、各地で悲鳴が上がっている。
「銭湯や温浴施設、あるいは病院などの施設で、重油を使ってボイラーを稼働させているところは多くあります。スポーツ施設の温水プールや、工業用のボイラーも同様です」
そう語るのは、エネルギー問題に詳しい和光大学経済経営学部の岩間剛一教授だ。
すでに一部の銭湯や温浴施設では、重油不足により休業や営業時間の短縮といった措置を取っている。また、3月12日には人気のスナック菓子「わさビーフ」を製造販売する山芳製菓が工場の操業の一時停止を発表。チップスを揚げる際に使用するボイラーの重油の調達が困難になったためだった。3月23日には重油の供給体制が整ったとして操業再開を発表したが、重油の重要性を思い知らされたニュースだった。
「1970年代のオイルショック、そして脱炭素の流れの中で、重油から天然ガスや電気に切り替える動きが進み、以前より重油の必要性は低下しています。とはいえ、まだまだ重油を使用している施設は多く、いろんな場所で問題が起きるのです」(岩間教授)
ほかにも船の燃料や農業のハウス栽培施設、ゴミ処理施設、リネン・クリーニングなどで、重油は幅広く使われている。各地のゴミ焼却施設では、重油の不足と値上げにより対策に迫られ、このままだとゴミ収集に影響が出る可能性まである。
今、ゴールデンウィークが間近に迫っているが、今後、旅行・観光への影響はあるのだろうか。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏はこう語る。
「さまざまな影響はありますが、国内ではGW期間中は努力してこれまで通りの営業を続けるでしょう。問題はGW明けです。様々なものの値段が上がり、ガソリンもいつまでこの値段を維持できるのか不透明です。そうなると、旅行を控える人も多くなるでしょう。燃料サーチャージも上がります。なので、夏や秋の海外旅行を考えている人は、なるべく早めに予約を取ることをおすすめします。旅行の料金というのは、予約した段階で料金が決まるので、上がる前に決めることが重要です」
前出の岩間教授は今回の事態について、こう語る。
「1970年代のオイルショックと違うのは、今回はホルムズ海峡が封鎖されて、供給が止まっているということ。かつてのオイルショックでは価格は上がりましたが、供給はあったんです。日本に多くの石油備蓄があるのは事実ですが、備蓄があるのと価格の上昇は別問題。石油の価格は国際価格ですから。イランが攻撃されて原油価格は6割以上、上がっています。
仮にホルムズ海峡が早い時期に開放したとしても、影響は長期化します。中東の産油国の石油精製施設や油田が多数破壊されており、以前の状態に戻るには、長い時間が必要です。本来ならば政府が省エネルギーを呼び掛けるべきだと思いますが、かつてのオイルショックの経験を踏まえて、国民がパニックに陥らないようにしているのでしょう。今回の経験からより一層、脱石油あるいは省エネルギーということが重要になってくるでしょう」
GW後の動向について注視していかなくてはならない。
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