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お骨はどうすればいいのか(2)新宿駅から徒歩3分の「室内墓」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.05.29 09:00 最終更新日:2018.05.29 09:46
最近、よく耳にするのが「墓じまい」。墓じまいとは、お墓を管理できないので、お墓を撤去し、遺骨をほかの墓地や永代供養墓に移転することだ。そんななか、都心で建設が相次ぐのが「機械式納骨堂」だ。
新宿駅から、わずか徒歩3分。雑踏を抜けて通りを一本入ると、新宿瑠璃光院・白蓮華堂がある。およそお寺とは思えない個性的な外観だが、浄土真宗無量寿山光明寺の東京本院だ。
白亜の5階建ての中には、立派な本堂や如来堂などとともに、室内墓地がある。
「畑仕事をした後、お墓の前を通るときに、野花を摘んでお墓に供えてお参りするのが、本来のお墓参りの姿でした。でも、東京にはそんなお墓はないし、都心では高くて買えない。
でしたら、お墓を建物内に取り入れ、自動搬送式のお墓にする。駅の近くにすれば、買い物帰り、仕事帰りにちょっと寄ることができる。
いちばん大事なのは、日常生活のなかでお参りをしやすくすることです」
こう話すのは、同寺院の東恵秋副住職。その言葉どおり、平日の仕事帰りにお参りする人が多いという。
入口でカードをかざして、10室の個室ブースから、お参りする部屋を選ぶ。室内墓のフロアに向かい、再びカードを機械に差し込むと、個室内の扉が開き、自動搬送された遺骨が準備されている。
価格は都内で最高額であるが、利便性のよさから評判は高く、3500の室内墓地のうち、すでに約半数は販売ずみという。
料金は一人用の室内墓が100万円で、年間管理費は1万2000円。多くの遺骨が入る家族用は200万円で、同2万円で永代供養される。
「購入される方は3タイプで、お墓を持っていないので、そろそろ買いましょうという方。次にお墓が地方にあり、お墓のお引っ越しをして、墓じまいをされる方。最後は親や伴侶が亡くなり、お墓がないので、という方です」
東副住職はこうも話す。
「もともとお寺は地域のコミュニティセンターでした。それが時とともに葬式仏教(元来の仏教から隔たった、葬式の際しか必要とされない現在の仏教を揶揄した言葉)になってしまった。
本来の開かれたお寺にしようと、ピアノを弾いたり、自由に座禅や写経ができる部屋も設けています。お墓参りのついでに、お寺でゆったりした時間を過ごしていただきたいですね」
こういった時間の過ごし方が可能なのも、都心にお墓があるからである。
(週刊FLASH 2018年5月1日号)