ロピアはカツ丼界の“黒船”だ

「現代の庶民の味はスーパーのカツ丼にある!」と、筆者のかつとんたろう氏
■すべてのスーパーで商品名は「かつ重」の理由
だからこそなのかもしれない。今回調査したすべてのスーパーでは、カツ丼は「かつ重」という商品名で販売されていたのだ。
カツ丼とかつ重、どちらかといえば後者のほうが高級に感じられないだろうか。丼を使うのか重箱なのか、というだけでも、その名前が指向しているものの違いは感じられるはずだ。
もちろん、カツ丼とかつ重の違いは高級感や重箱だけではない。カツ丼には多くのバリエーションがあるが、かつ重は基本的にはカツを卵でとじたものである、という点もある。ソースカツ丼で有名な地域はいくつかあるが、そのうちのひとつ、福島は会津で出合った「ソースかつ重」は、ソースカツ丼をわざわざ卵とじにしたものだった。
そして、今回の調査において筆者が出合った「かつ重」もまた、すべて卵とじであった。かつ重という名前を使う以上、かつは卵でとじられるべきなのだ。
卵でカツをとじるためには、卵だけでなく出汁も必要だ。各社のカツ丼のパッケージや販促ポップを見ると、「枕崎産かつお節使用」や「こだわりの自社製出汁」などの文句が躍り、商品名にも「出汁の旨み」という枕がつくなど、とにかく出汁を推しているものが多い。
おそらくだが、300〜500円台という価格では、豚肉の質で差をつけることができないのだ。「三元豚使用」という文句をパッケージに配している商品もあったが、日本で流通するほとんどの豚肉は、三種の豚をかけ合わせた三元交配の豚、つまり三元豚であることが広く知られるようになってしまった今となっては、あまり効果のある売り文句ともいえないだろう。
だからこそ、各社とも出汁の工夫を前面に押し出しているに違いない。とりわけロピアのカツ丼は出汁が強く、しかも甘みではなくそば店のような塩気の強さを感じさせるものだった。精肉店を出自とするおかげか、肉もこころなしか大きかった。また玉ねぎの量も多く、ここで甘みとのバランスを取っているのだろう。598円という値段に恥じない作りである。
サミットストアもかつお出汁がかなり強く感じられ、やはり各社とも豚肉よりは出汁に力を入れているのがよくわかる。カツ丼は、厚切り豚肉の肉々しさと卵のマイルドさとによって、甘さもしょっぱさも、かなりの範囲で許容できる懐ろの深さがあるのだろう。
主役の豚肉でこそ差はつけにくいが、他社との味の差別化が比較的容易で、肉々しい嬉しさも提供できる。さらに言えば、弁当のように複雑な盛りつけは必要なく、ご飯の上に卵とじカツを載せるだけというパッケージの楽さなど、カツ丼が推される理由はさまざまだ。
しかし、そういった理由はいくつあったところで、すべてのスーパーがカツ丼を強く推しているわけではない。たとえば、埼玉を中心に根強い人気を誇るヤオコーのカツ丼は、498円と中間的な値段で、味もこれといった特徴に欠けるものだった。弁当売場でも主役感はなく、あくまでひとつの選択肢、というところに留まっているように見えた。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







