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きつねうどんは塩分5.3g…塩を抑えて胃ガンのリスクを減らせ
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.09.07 06:00 最終更新日:2018.09.07 06:00
かねてから日本人は、塩分摂取過多だとされてきた。現在でも1日あたりの塩分摂取量は男性が平均10.8グラム、女性は9.2グラム(平成28年「国民健康・栄養調査」より)。
これに対し、WHOのガイドライン(2013年)によると、1日の塩分摂取量を5グラム未満にすることが強く推奨されている。
一方で日本の厚労省が摂取基準としているのは、男性が1日8グラム未満、女性が1日7グラム未満。日本高血圧学会のガイドラインでは、男女ともに1日6グラム未満。日本は世界的な「減塩後進国」なのだ。
「塩は『万病のもと』。日本人にとって塩分過多の原因になってきたのが、和食なのです」
そう警鐘を鳴らすのは、医学博士で管理栄養士の本多京子氏。
「和食文化は『塩漬け文化』ともいわれてきました。ひと昔前まで、味噌汁に漬け物、塩蔵の魚など、食卓に並べられていたものは、塩味の強いものばかりでした。
その大きな理由が、主食が白米であることです。経済的に豊かでなかった時代には、少ないおかずでご飯をたくさん食べるため、食品の塩味を強くする必要があったのです。
また、冷蔵技術や物流が現代ほど発達していなかったので、食品を保存するという目的からも、大量の塩を使っていました」
塩分過多は高血圧の原因となり、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす。さらに、腎臓に負担をかけるため、腎臓疾患にも直結する。
そして、塩分の摂りすぎと密接に関係しているのが、胃ガンだ。国立がん研究センターの2017年の統計予測では、胃ガンは日本人男性の罹患するガンの第1位となっている。
国立がん研究センターでは、2004年に「食生活パターンと胃がんとの関連について」という研究成果を発表している。
こちらは「健康型」「欧米型」「伝統型」の3つの食生活パターンについて、約4万人を10年間、追跡調査したものだ。
その結果、和食中心の「伝統型」の傾向が強い人ほど、胃ガンのリスクは明らかに高かったという。研究チームはその理由を「塩辛や漬け物、塩蔵魚卵、味噌汁など高塩分食品が多いこと」と分析している。
「近年、減塩への意識が高まったことで、日本人の塩分の摂取量は減りつつあります。和食のメニューでも、昔ほど塩辛いものは少なくなりました。しかし、それでも気をつけていないと、どうしても塩分過多になってしまいがちです。
お味噌汁と漬け物、どちらも食べるのではなく、どちらかだけにする。お味噌汁の代わりにお茶にするなど、塩分の足し算を避ける習慣をつけるべきです」(本多氏)
さらに本多氏によれば、なにより怖いのは「目に見えない塩分」だという。
「昔は、各家庭で漬け物や味噌をつくっていたので、そこにどれだけの塩を入れているのか、わかっていたものです。それが現在は、口に入れるもののほとんどが、工場でつくられた加工品になってしまっています。これでは、製造中にどれだけの塩分が使われているのかわかりません」
以下は、外食で食べられるおもな和食の塩分含有量だ。
●きつねうどん(1人前) 5.3グラム
●天丼(1人前) 4.1グラム
●握り寿司(1人前・醬油込み) 5.0グラム
●味噌汁(1杯) 1.5グラム
(出典:日本高血圧学会・減塩委員会)
“長寿県”として知られる長野県は、かつて塩分の過剰摂取のため、脳卒中の死亡率が日本でもトップだった。危機感を抱いた自治体が「保健補導員」を通じ、食生活への意識を高め、塩分の摂取量を減らした結果、平均寿命の延びにつながった。
やはり塩分のとりすぎは良くないのだ。