ライフ・マネー
5300基を永代供養する「墓石の墓場」を山奥の寺で発見撮!
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.12.20 11:00 最終更新日:2018.12.20 11:00
創建1300年の宝雲山来振寺は、岐阜県揖斐郡大野町の深い山間に立つ古寺だ。しかし、閑静な佇まいとは裏腹に、一種異様な光景が広がっている。
広大な敷地の一角に、さまざまな形をした膨大な数の墓石が、あたかも亡霊のように群れをなしているからだ。
【関連記事:バルーン葬にお骨ダイヤモンド…凄すぎる供養方法】
「ここには約5300基ほどあります。これらは、石材業者が墓地を解体・撤去した後に排出された墓石を引き取ったもので、魂抜きの法要をおこなった後、保管しているんです。そしてこれらは、納石堂を建立後、一カ所に集めて供養します」
住職と親戚関係にある「墓石・墓標永代お預かり業務」の日輪・森雅彦代表は、このように語る。ここはまさに、「墓石の墓場」。森氏によると、いまや急速に墓離れ、墓じまいが広まっているという。
「背景には少子高齢化による人口減少で、墓地を受け継ぐ後継者がいなくなったこと、都市への人口流出による集落の崩壊、樹木葬、散骨など葬送儀礼の簡素化、地域への帰属意識の希薄化などさまざまな要因があります」(森氏、以下同)
先祖の墓の維持が物理的に困難になったり、墓石自体を必要としない遺族が、遺骨を引き取り、墓石を撤去してほしいという依頼が急増しているというわけだ。
実際に、森氏が引き取ったなかには、先祖代々の墓石、あるいは陸軍歩兵特務曹長、海軍一等水兵などと刻まれ、本来なら日本のために戦った英霊として末永く供養すべきでは、と思わせる墓石もある。
しかし、無縁化した墓石は、建設廃材や鉄くず同様、もはやただのゴミでしかない。そのため廃棄後の墓石は、石材業者によって細かく粉砕され、道路の路盤材や埋め立てに使われるケースが多いという。
「ただ、うちは引き取った墓石は廃棄処分をせずに、そのまま永代供養しています。ここがほかの業者とは違うところです」
墓離れ、墓じまいの増加に比例して、石材業界の解体ビジネスは、今後ますます需要が伸びることが予想される。先祖供養の在り方が問われ、大きな転換期に差しかかっていることを物語っている。
取材&文・岡村 青
(週刊FLASH 2018年11月6日号)