ライフ・マネー
ココイチが狙う世界戦略「2020年、日本のカレーでインド進出」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.09.02 11:00 最終更新日:2019.09.02 11:00
いまや国内に1264、海外に180店舗と他の追随を許さない、外食カレーの王国「カレーハウスCoCo壱番屋(以下、ココイチ)」。ココイチが次に目指すのは、“カレーの聖地” インド。人口13億人のインドは、世界最大のカレー消費国だが、はたして日本のカレーは受け入れられるのか。
「10年ほど前、前社長(現会長)の浜島(俊哉)が自分の足で行って現地を見て、店を出したいと考えたのがきっかけです」
【関連記事:CoCo壱創業者が語る「スッカラカン売却」の裏事情】
こう語るのは、ココイチを展開する壱番屋の経営企画室課長の平尾康能氏。
「細かなマーケティングより肌感覚を優先するのは、浜島も創業者である宗次(徳二)と同じです。ただ、視察時にはインフラがまだ整っておらず、『時期尚早』と判断したようです。
ところがこの4、5年でインドも加速度的に経済成長を遂げ、進出も現実味を帯びてきました」(平尾氏、以下同)
ココイチは、1994年に初の海外店舗をハワイのオアフ島にオープンさせて以来、アジア各国などに幅広く出店。特に中国には多く、46店舗を数える。
「日本式のカレーライスは、中国でほとんど知られておらず、当初はたいへん苦労したそうです。
男性は新しい食べ物になかなか飛びつかないため、女性に訴求しようと、高級感が漂う店内デザインにしました。見た目も鮮やかな『オムレツ』のトッピングをメニュー構成の軸に据えると、格段に来客数が増えました」
2018年12月には、明治初期に日本にカレーを伝えたイギリスのロンドンにも出店した(冒頭の写真)。2020年にインドに出店すれば、インド→イギリス→日本というカレー伝来の逆コースで、日本式のカレーが本場に進出することになる。
海外店舗でも、味を現地に合わせることはせず、日本のカレーソースそのままだという。「日本のカレーを広める」ことが第一義で、「そうすれば、おのずと客がつく」との判断だ。
なお、ムスリム向けには、すでにココイチではハラール食材で作ったカレーを出す店舗を秋葉原と新宿に構える。
本誌記者が平日16時にハラール秋葉原店を訪れたところ、店はムスリムの女性や、バックパッカーの男性ら、外国人客で満員。数人の行列もできていた。ココイチの味が受けているのは、間違いない。
2人の従業員も外国人。記者が頼んだ「牛しゃぶカレー」が、前に「チキンカツカレー」を頼んでいた客よりも先に出た。すると、ヒジャブ(髪の毛を覆うスカーフ)を身に着けた女性従業員は、その客に調理時間の違いを説明したうえで、丁寧に詫びていた。
「中国に出店した際も、当初スタッフは、日本流の接客方法に戸惑っていました。ですが、客に笑顔で親身に接すれば、そのぶん喜ばれることを知り、積極的にサービスするようになりました」
日本式のカレーだけでなく、おもてなし精神まで味わえるなら――。インド人がココイチに行列をつくる日は近いかもしれない。
取材&文・鈴木隆祐
(週刊FLASH 2019年9月3日号)