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太陽光で湯沸かし成功「吉田戦車」勝利のカップ麺、味は2割増し
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.10.02 11:00 最終更新日:2019.10.02 11:00
「なるべく手持ちの道具を使って、太陽光で湯を沸かしたい」シリーズ、懲りずに第3弾です。
直径37センチのステンレス中華鍋の上に、焼き網を置き、黒いアルミホイルで包んだメスティン(外国の飯ごう)を設置。時々くもりながらも1時間半後、49度まで水温が上がった。……というのが第2弾の結果。
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中華鍋が「反射鏡」としてけっこう使えることを知った。今回は、そこに直接黒い鍋を入れて、太陽光で加熱してみよう、と思った。
数年前、イワタニの薄型カセットコンロを買った時に、いっしょに「フッ素加工 マルチプレート」という専用鍋を買ったのだった。直径21センチ。鍋底に四つ、コンロの五徳にカッチリはまるくぼみがあり、鍋がずれず安定感がある。
税込み1000円だったので、まあいいやと買ってはみたものの、その「くぼみ」が、台所の通常のガスコンロでは使いづらい。あと、21センチというのは家族3人分の鍋としてはやや小さく、焼き肉やすき焼きっぽいことを数回やったあとは、使わないもの置き場にしまわれていた。
この鍋が、浅めで黒く、蓄熱性がよさそうだ。ちょうどピッタリのガラスぶたがあるので、それをすれば太陽光を鍋底までギンギンに透過してくれるだろう。
台風一過の9月10日、晴れ。予想気温36度のきびしい残暑の日に決行する。8時40分、朝から容赦なく日当たりがいい場所に設置。さびた鉄製の丸い台(蚊取り線香用の受け皿だったらしい)の上に、ステンレス中華鍋を置く。ある程度角度を変えることもできて、いい感じである。
そこに、水温27度の水を入れたマルチプレートを置く。そして、風で温度が下がることを防ぐために、ラップで中華鍋を覆い、密封した。今日はもう、一時間おきに水温を測るような落ちつかないことはやめた。1度の熱も逃がさぬ。
3時間後、11時40分、回収。鍋は熱々で怖いほどだ。ガラスの棒温度計で水温を測定。82度。……勝った。何かに勝った。急いで、用意していた「カップヌードル カレー」に、慎重に湯を入れる。
今回は、水温何度になろうと、カップ麺に使おうと決めていた。カップ麺は時間さえかければ、水でも戻るからである。なんとなく6分後、ふたを開けてかき回す。熱々ではないが、文句なく加熱されている。むしろ、やさしい温度で食べやすい。
今回のようにドピーカン状態が長時間続いて80度超えを保てれば、卵も温泉卵になるし、肉や根菜の低温調理も可能だ。太陽すげえ! おめでとう、懲りない自分。
物欲しそうな顔をしている妻に味見をさせてあげたら、「太陽の味がする……」と言う。それはたぶん気のせい……、とは思うのだが、いつもより2割増しでおいしく感じたのは事実だ。
よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん。本連載の単行本『ごめん買っちゃった』(光文社)、『出かけ親 1』、最新刊『忍風! 肉とめし 3』(ともに小学館)が発売中!