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【食堂のおばちゃんの人生相談】29歳・会社員のお悩み

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.02.17 11:00 最終更新日:2020.02.17 11:00

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

【お悩み/姿見さん(29)会社員】

 

同業他社から転職してきた社員(30代半ば)の態度が悪く、部内の雰囲気が悪くなった。3歳年下の上司に、「本当にそのやり方でいいんですかね?」と代案もなく上から目線でもの申したり、上司を飛び越して役員に大プロジェクトを提案したり。さほど実力もないくせに “仕事できるアピール” が目障りだ。

 

 

【山口先生のお答え】

 

姿見さんのお悩みを伺っていたら、藤原正彦さんのエッセイを思い出しました。藤原さんは英米の大学で教鞭を執ったこともある優秀な数学者ですが、欧米流の “プレゼン” について、再三疑問と反感を述べていらっしゃいます。

 

 曰く、彼らは子供の頃から自己をアピールする訓練を受けているので、中身が空っぽな学生でもやたらプレゼンが上手い。しかしいかに自己宣伝が上手くても、内容が伴わなければ信用を得ることは出来ない。だから結局は無駄だ、と。私もご意見に同感です。

 

 その転職組の社員は、私には典型的なバカとしか思えません。新しい組織に所属したら、しばらくは周囲の様子を窺うのが常識です。そして状況を正しく把握してから、自分なりのやり方を示して周囲の賛同を得ていかなければ、まとまる話もまとまりません。

 

 十分実力の伴った人でさえも、新しく入った会社でいきなり自己流を押し通したら、周囲の反感を買って潰されてしまうでしょう。まして大した実力もない人間は、目立ったら損だと思いますよ。

 

 おそらく、職場の他の皆さんもその転職組には反感を抱いているはずです。だから、あなたは焦らずに待っていればいいのです。

 

 いずれ部内から総スカンを食って、身の置き所がなくなるでしょう。そうなったら、仲の良い仲間と呑み会でも開いて、転職組の悪口を肴に盛り上がってください。もう少しの辛抱ですよ。

 


やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中

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