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男の育休「2025年に50%」時代を楽しむパパの子育て3カ条/女子アナ日下千帆の「私にだけ聞かせて」

芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2023.05.07 16:00 最終更新日:2023.05.07 16:00

男の育休「2025年に50%」時代を楽しむパパの子育て3カ条/女子アナ日下千帆の「私にだけ聞かせて」

日下アナ(左)と杉山さん

 

 東京都が2022年9月に実施した調査によると、都内企業の男性従業員の育児休暇取得率は26.2%だったそうです。女性従業員の94.1%にはるかに及びません。

 

 しかし、岸田政権が掲げる “異次元の少子化対策” を成功させるには、パパの育児協力は必要不可欠。最近では、シングルファーザーやイクメン(育児を楽しむパパ)も増えていますが、まだまだ少数派です。

 

 そこで、今回は、子育てパパ向けの情報サイト『パパしるべ』編集長で、「兼業主夫」の杉山錠士さんに、男性の子育ての現状を伺いました。

 

 

 杉山さんは千葉県出身。日本大学芸術学部放送学科在学中から、放送作家としてテレビ番組の制作に携わり、卒業後も『ノンストップ!』(フジテレビ系)や『K-1 WORLD MAX』(TBS系)などさまざまな番組を担当されてきました。

 

 2021年、自身の子育て経験を活かした『パパしるべ』を立ち上げ、コミュニティの約700人のパパたちに、子育て情報を発信しています。

 

――杉山さんが「兼業主夫」になられた経緯は?

 

「25歳で結婚したのですが、当時、妻はまだ専門学校生で、私が朝ご飯を作り、学校へ送り出す生活をしていました。妻は卒業後、会社員としてフルタイムの仕事に就いたので、フリーランスで時間の自由が利く私が、自然と家事を担当するようになりました。いまから20年ほど前のことです。

 

 夫婦逆転で、保育園の送り迎えや保護者会、子供の健康診断に行くと、『お母さんはどうされました?』『お仕事お休みされて、大変でしたね』などと声をかけられることが多かったのです。

 

 保護者会では、『お母さん、お疲れさま』という言葉は聞きますが、そこにお父さんは出てこない。なんだか自分が透明人間になったようでモヤモヤしましたが、周囲が男性の子育てに慣れていないので、仕方ないと思っていました。『イクメン』が流行語大賞に選ばれたのは2010年のことでしたが、それ以前はやはり違和感が大きかった気がします」

 

――主に育児を担当されたのは、奥様ではなく、杉山さんだったのですね。

 

「はい。子供が保育園のころ、『なんでこんなに自分ばかり家事・育児をやっているんだ』と、収入・家事・育児の9割が自分の負担になっていることに疑問を持っていました。

 

 仕事から帰宅した妻が『ごはん何?』と聞いてくると、『なんで?』という気持ちになりました。また、あるとき、育児に関することを私の独断で決めたところ、『そういうことは普通、妻に言うものじゃないの?』と言われ、『なら普通の妻をやれよ』と大ゲンカになったこともありました。

 

 そのころは夫婦仲も悪く、離婚して親権を取ることを考えていたくらいです。とはいえ、当時、共同親権という考え方は一般的でなく、男性が親権を取るには、母親に犯罪歴、病歴、ネグレクトなどの要件がない限り、難しい状況でした。

 

 周囲に相談しても、『奥さんをちゃんと教育していないから、そんなことになるんだ』と昭和っぽい回答ばかり。

 

 そんななか、仕事で子育て番組の構成を担当することになりました。これまでの育児経験からネタに困ることはなく、5年ほど続けました。そのときの取材で、イクメン向けのNPO団体に出会ったことが、『パパしるべ』を立ち上げるきっかけとなりました。

 

 子育て番組の制作に携わるうち、自分の家庭についても『マジョリティなんてどうでもいい、うちはこうだ』と違いを受け入れられるようになったのです」

 

――男性の育児で難しいと思われることはありますか?

 

「まず、社会的な空気感があげられます。男性が子供の病気で仕事を早退するのは難しい。

 

 次に、生体的な機能の問題として、授乳できない。妊娠中から親になっていく女性に比べると、10月10日(とつきとおか)のハンディキャップがあります。そこを理性で追いついていかないといけないのです。

 

 男性の産後鬱は、出産から3カ月後くらいに起きやすいと言われています。寝不足とプレッシャーで息切れを起こすのです。

 

 ほかに、ジェンダーバイアスもあります。女性は子供の頃から家事を手伝っていることが多く、男性よりも知識や経験が豊富です。これに追いつくのも大変な話です」

 

――今後は、岸田政権の掲げる「異次元の子育て支援」が始まるので、ようやく男性も育児休暇を取りやすくなりますね。

 

「そうですね。岸田首相が男性の育休について、2025年度に50%、2030年度に85%にすると発表しましたからね。

 

 やや古い2017年度の調査では、新入社員男性の8割以上が育児休暇を取得したいと答えているものの、現実にはほとんど取れていません。2021年度の調査で過去最高の約14%にまで増えたのですが、前年度比では1.32ポイントしか増えていないのです。

 

 ただ、今後は『産後パパ育休』として、給料の100%が給付される見込みです(現在は67%)。そうなれば、お金のことを気にせず育休が取れるので、いろいろ変わっていくと思います。うまく制度を活用して、職場の空気感も変えていってほしいです」

 

――男性の育休取得が進み、家事や育児を上手く分担できると理想的ですね。

 

「そうなのですが、その反面、怖さもあります。男性に、家事や育児をやれやれとプレッシャーをかけてきそうに感じます。育休を取得した男性の約30%が、実は1日2時間も家事をしていなかったという調査がありますが、しっかり家事をやっている70%の方を見てほしいですね」

 

――今後は、どのような活動をしていく予定ですか?

 

「ライブを中心に発信していきたいです。毎週、パパたちにミッション与える『ハッピースパイ大作戦』なんて企画も考えています。たとえば、妻をつきあっていた頃の名前で呼んでみよう、みたいな楽しいミッションです。また、パパ向けの『両親学校』も開催したいですね。

 

 昔ほどではないですが、子育てパパは、いまでも “変わった人” という位置づけのように感じます。また、『男は弱みを見せるな』というジェンダーバイアスをかけられて育った男性は、1人で苦しんでいる人も多いと思うので、みんなで集まって楽しいことをしていきたいですね」

 

■パパが子育てを楽しむための3カ条

 

(1)「ウチはウチ」と考えて周りと比べない

 

 成績や業績など、評価軸のなかで育ってきたので比較するクセがつきがちな男性。でも、比べてしまうと劣等感をもってしまうことが多くなります。これは自分に対してだけでなく、家族に対してもそう。周りと比べないで「ウチはウチだから」と考えると、少しラクになると思います。

 

(2)思いどおりにならないのが普通、うまくいったらラッキー

 

 こうしたい、こうありたいという気持ちは大事ですが、理想を求めると、できないときに減点法で考えてしまいます。子育ては思いどおりにならないことのほうが圧倒的に多いもの。うまくいったらラッキーくらいの気持ちで臨むと楽しめると思います。

 

(3)「ありがとう」を、言われるより言うことを意識

 

 一生懸命頑張っても報われないと感じることもあります。そして、頑張っていると自分で思っているほどむなしくなったり、周りに不満をもってしまったり。ありがとうを求めると、言われないことに不満を感じがちなので、ありがとうを言うことを意識すると、いろいろなもののありがたみを感じやすいと思います。

日下千帆

1968年、東京都生まれ。1991年、テレビ朝日に入社。アナウンサーとして『ANNニュース』『OH!エルくらぶ』『邦子がタッチ』など報道からバラエティまで全ジャンルの番組を担当。1997年退社し、フリーアナウンサーのほか、企業・大学の研修講師として活躍。東京タクシーセンターで外国人旅客英語接遇研修を担当するほか、supercareer.jpで個人向け講座も

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