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消費税19%主張ってホント?解散まで要求された「経団連」に本音を聞いた
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.05.28 11:00 最終更新日:2022.05.28 11:00
5月27日、岸田首相は、衆院予算委員会で消費税の減税について聞かれ、「いま触ることは考えていない」と否定した。この発言を受け、SNSでは喜びの声が出るかと思いきや……なぜか「消費税が19%に上がる」という声が大量に投稿されている。
これは、いったいどういうことなのか。
「これまで、ツイッターでは『消費税19%』の話題がひんぱんに話題になっています。4月20日には、参院選で自民党が勝った場合、『消費税を19%に増税する』と岸田首相が発言したとのツイートが投稿され、大拡散しました。
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岸田首相が『消費税19%』と発言したことは一度もないのですが、実はこれには元ネタがあるんです。
2012年、経団連(日本経済団体連合会)が消費税19%を提言したことがあり、この話が10年たった今もツイッター上で繰り返し引用されているんです。
そして、5月26日には、『#経団連の解散を求めます』というハッシュタグが一時トレンド入りするほど、大きな話題を呼びました」(経済ジャーナリスト)
経団連が提言した「消費税19%」とは、いったいどのようなものなのか。
2012年5月15日、経団連は『成長戦略の実行と財政再建の断行を求める~現下の危機からの脱却を目指して~』と題した提言をおこなっている。ここに記された文章は、以下のとおりだ。
《消費税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%へ引き上げ、その後、2017~2025年度の間、税率を毎年1%ずつ引き上げ、最終的に19%とする》
実はこの提言には、《法人実効税率を、2016~2025年度にかけて毎年1%ずつ引下げ、最終的には25%にする》《社会保障給付の自然増を毎年2,000億円抑制》という文言もある。
こうした事実を受け、「経団連は自分たちのことしか考えていない」「庶民の敵」といった攻撃を受けることになったわけだ。
では、当の経団連は、10年たった今、消費増税についてどう考えているのか。経済基盤本部の担当者に話を聞いてみた。
――消費増税について、2012年に「2025年に19%へ引き上げを」と提言されています。
「確かに、2012年に提言はしています。その後、2019年に、実際に消費税が8%から10%に引き上げられました。しかし、その後、経団連としては消費税増税の提言はしておりません」
――現在は増税については考えていらっしゃらない?
「はい、考えておりません」(同)
10年前の増税案をきっぱりと否定した形だ。値上げが続く昨今、庶民の怒りが集まって攻撃されたわけだが、岸田首相も否定している以上、ひとまず消費増税はないと思ってよさそうだ。
冒頭で触れた衆院予算委員会で、野党から「鬼」と言われた岸田首相は、消費税の減税ではなく「緊急対策でさまざまな支援を用意して事業や生活を支える努力を続けている」と語っている。
庶民が望むのは生活苦からの脱却だ。しかし、その苦しい声は、首相にはまるで伝わっていないらしい。
( SmartFLASH )