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「四川大震災」被災地でも “ゼロコロナ” 継続! 豪雨のなかPCR検査に行列、避難民は武装警察に押し戻される

社会・政治 投稿日:2022.09.10 15:30FLASH編集部

「四川大震災」被災地でも “ゼロコロナ” 継続! 豪雨のなかPCR検査に行列、避難民は武装警察に押し戻される

死者はさらに増える見込み(写真・新華社/アフロ)

 

 9月5日、中国四川省で起こったM6.8級の大地震。8日時点で86人の死亡が確認され、さらに死者が増える見込みだ。震源から200キロ超離れた省都の成都市でも、激しい揺れが観測された。

 

 中国事情に詳しいジャーナリスト・角脇久志氏が語る。

 

「成都市は、9月1日の午後6時から感染拡大防止のためにロックダウンを実施しています。成都市は2119万人が生活する内陸部の最大都市のひとつで、4月の上海に続く大規模なロックダウンとなります。

 

 

 9月3日の時点で、中国全土の感染者は1673人、四川省のコロナの新規感染者は186人にすぎませんでした。それにもかかわらず、ロックダウンはいつ解除されるのか見通せません。

 

 市民全員への大規模コロナ検査も決定しており、夜中にも検査がおこなわれています。検査が終わるまでは離れることができず、豪雨のなかでも順番待ちをする住民の映像がSNSに多数投稿されています。

 

 上海のロックダウンを見てきた成都市民は、ロックダウン直前、スーパーなどで食料の買い占めに走りました。車の荷台に満載された食料や、なかには豚を丸ごと一匹買い占め、車に積んでいる写真も投稿されています」

 

 成都市でのロックダウンについて、SNSではこんな異常な光景が投稿された。

 

「地震発生後すぐに、激しい揺れでマンションから飛び出して脱出しようとする住民の姿が投稿されました。しかし、マンションの職員は『ロックダウンを続けるから、部屋に戻れ』と、住民に部屋に帰るよう命じているのです。

 

 ロックダウンに不満を持ったマンションの管理者が自主的に門を開放し、住民たちが外に出られたケースでも、それを武装警察が力ずくで制圧する姿が投稿されています」(同)

 

 それに対し、SNS上には以下のような声があがっている。

 

《ウイルスで死ぬとはかぎらないが、地震で殺されてしまうよ》

 

《たとえマンション内で火事が起こっても、絶対に門を開けてもらえないよね》

 

 一方、地震で被害を受けた地区には四川省の消防救援隊530人が派遣されたが、現地に到着して最初にしたことは、被災者の救援ではなく、列に並んでコロナ検査を受けることだった。

 

 被災時でも人命よりコロナ検査を優先する当局の姿勢に、《「被災者を救うのに、コロナの陰性証明書が必要なのか》《被災者が助かるリミットを逃して平気なのか?》という声があがっている。

 

 成都市に暮らす日本人駐在員が語る。

 

「私の家族が、ロックダウンが始まる1週間ぐらい前に入院と手術をしたのですが、依頼していた医療通訳の方がPCR検査を受けておらず、病院に入れない事態となりました。

 

 四川省は8月から連日40度を超える猛暑が続き、干ばつで水力発電所の稼働が減少し、トヨタなど日系企業の工場も計画停電がおこなわれています。そこにロックダウンや地震が重なり、混乱が続いていて夜も眠れない状況です」

 

 習近平政権は、ゼロコロナ政策によって欧米諸国に対して優位性をアピールしてきたため、感染状況が変わっても、政策を緩和するわけにはいかない。

 

 10月16日からおこなわれる中国共産党第20回全国代表大会で、再び党主席に選ばれると予想される習近平。当分は、どれだけ市民の生活に支障が出ても、ゼロコロナ政策は継続されていくだろう。

( SmartFLASH )

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