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森元首相の胸像「発起人」の馳浩・石川県知事「維新の会」顧問就任で急浮上する「花園ラグビー場」設置案
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.09.13 06:00 最終更新日:2022.09.13 06:00
「東京オリンピック・パラリンピックは、関係者の間で『モリンピック』と呼ばれていました。それだけ、森喜朗元首相への忖度が際立っていたのです」(オリ・パラ組織委員会の関係者)
オリ・パラ汚職事件で逮捕された、AOKIホールディングス前会長・青木拡憲容疑者から200万円を手渡されていた疑惑をもってしても、森喜朗元首相の胸像建立計画は止まらない。
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「朝日新聞」の取材に、発起人のひとりである元日本サッカー協会会長の川渕三郎氏は「製作費は300万円くらいと聞いている」と発言しているが、本誌は、お盆の時点で寄付金がすでに5000万円以上集まっていることを報じている。
しかし、順調に進む建立計画の一方で、いまだ決まっていないのが設置場所だ。もっとも有力視されているのが、2024年に建て替え工事が始まる新秩父宮ラグビー場内に建設される、ラグビーミュージアムの中に設置されるという案。前出の組織委員会の関係者が語る。
「新秩父宮ラグビー場の所管は、JSC(日本スポーツ振興センター)です。JSCの理事長の芦立訓(あしだて・さとし)氏は、森元首相の胸像建立事業の発起人のひとりとして名を連ねています。『朝日新聞』には『個人として発起人になった』とし、ミュージアム内へ設置する計画を否定しています。
しかし、文科省キャリアとして競技スポーツ課課長やスポーツ担当の審議官を務めてきた芦立氏は、文教族の森元首相にとっていわば“ファミリー”の一員です。芦立氏は、森元総理の意を忖度し、胸像を新秩父宮へ設置すべく、奔走しているといいます」
一方、ある文部科学省関係者は次のように語る。
「JSCは独立行政法人、つまり国の出先機関です。胸像を設置した場合、その維持管理費は国費で賄われることになります。さすがにそれは認められないと思います」
スポーツ界を牽引してきた、という自負のある森元首相にとって、ラグビーの“聖地”への胸像設置は悲願だ。9月9日、森元総理は石川県を訪問し、石川県の馳浩知事と会談した。
非公開でおこなわれた会談では、北陸新幹線の延伸開業に向けた働きかけや、北陸3県の連携強化などについて、意見を交換したという。
「永田町では、『森さんと馳さんは、やはり胸像について話をしたのだろう』と話題になっていました。馳さんは、今回の胸像建立事業の発起人のひとりですから。
そして9日夜には、その動きに合わせたかのように、馳さんは日本維新の会の顧問に就任しています。これが何を意味するか。森氏は、胸像を新秩父宮に置けなくなった場合に備えて、もうひとつの聖地である、東大阪市の花園ラグビー場に置こう、と思いついたわけです。
維新の幹部は、党の創設者である橋下徹氏をはじめ、吉村洋文大阪府知事、藤田文武幹事長と、ラグビー経験者が多く、説得しやすいと踏んだのでしょう。馳さん自身が日本維新の会の顧問に就任し、維新とスクラムを組んで、胸像の花園設置計画を実現させようとしているという話です」(官邸関係者)
維新の会にとってもメリットは大きいと、この関係者は言う。
「維新の会は、2023年4月の統一地方選で地方議員を現在の約400人から600人に増やすことを目標に掲げています。そもそも維新の会の拡大計画は、首長の座を取っていくというものです。
選挙をおこなわず、労せずして石川県知事を党に呼び込むことができるのであれば、花園に胸像のひとつやふたつくらい、“ぜひどうぞ”ということです」
馳知事に、日本維新の会の顧問に就任したことと、森元首相の胸像についての因果関係を問い合わせたが、期日までに回答はなかった。
森元首相は高校時代、あと一歩で花園ラグビー場への出場を逃したが、その後、何度も観戦に足を運び、橋下氏とスタンドで政治談議をしたこともあるという。そんな、強い思い入れのある場所への胸像の設置――。森元首相の“逆転トライ”となるか。
( SmartFLASH )