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マイナカード在庫3000万枚、公務員が「身分証」一体化に反対で…進むも地獄、退くも地獄の茨道

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.11.19 14:30 最終更新日:2022.11.19 14:33

マイナカード在庫3000万枚、公務員が「身分証」一体化に反対で…進むも地獄、退くも地獄の茨道

写真:つのだよしお/アフロ

 

 マイナンバーカードの現在の普及率はようやく5割を超えたところだが、11月18日、朝日新聞は、ほぼ国民全員にいきわたる1億枚以上のカードが発注済みで、約3000万枚もの在庫があると報じた。7割超にあたる7689万枚が、2019年以降の約2年間に発注されていた。カード全体の契約金額は334億円で、1枚あたりに換算すると単価は312円になるという。

 

 国民からの批判が止まらないマイナカード。政府は保険証や免許証との一体化を図り、さらにマイナポイントのバラマキで普及にやっきだが、新たな問題が浮上してしまった。物議を醸しているのが、11月16日、衆議院内閣委員会でおこなわれたマイナンバーカードをめぐる質疑だ。

 

 

 質問に立ったのは、立憲民主党山岸一生衆院議員。

 

「政府はマイナカード普及の一環として、国家公務員の身分証との一体化を進めてきました。2016年から実施しておりますが、今回わたしが調べましたところ、一部の省庁では実施していないことがわかりました」

 

 山岸氏が示したのが、「国家公務員身分証の個人番号カード一元化における問題点等について」という文書だ。政府は2016年から、霞が関の中央省庁でマイナカードを身分証に利用しているが、文書はその直前の2015年11月6日付で、内閣官房、警察庁、公安調査庁、外務省、防衛省が連名で政府に提出したもの。山岸氏はこの文書を自身のTwitterでも公開している。

 

 文書は、マイナカードを身分証として使用することの問題点として、「職員の人定把握の容易性」をあげている。「紛失・盗難等により、職員の氏名、住所、年齢等を所属省庁とともに把握できる」とし、外国情報機関などが取得したり、一般人がネットなどで拡散したりすると、「職員やその関係者に対する危害・妨害の危険性が高まる」と指摘。

 

 マイナポータルにアクセスすれば閲覧できるため、「個人情報を一括して盗まれ、それらを基にした職員個人に対する不正な働きかけに利用される可能性が否定できず、最悪の場合、秘密情報の流出につながる」とし、「内閣官房の一部、警察庁、公安調査庁、外務省及び防衛省」について、身分証との一元化の適用除外を求めている。

 

 山岸氏は、「政府部内でこんな文書が取り交わされるケースは見たことがない。非常に異例な文書だ」と谷公一国家公安委員長に政府の見解を求めた。

 

 答弁した谷氏は「2015年当時の判断として、身分証とマイナンバーカードを一体化し、これが盗まれた場合など、警察の対抗勢力に職員の所属省庁・住所・氏名等を一括して把握されるとの懸念があったことから、一部の関係省庁とともに一体化を見送ることにした」と文書の内容を認めた。

 

 その上で、他省庁の運用実態や政府の方針を受けて、警察庁でも身分証に利用する方針だとし、「早期に実現されるよう指導していく」と述べた。

 

 山岸氏は、河野太郎デジタル担当相にも見解を求めた。河野氏は、「すべての国家公務員が身分証として使うことをすでに決めていますので、民間にもぜひぜひ、どんどん活用してもらいたいと思っている」と話した。

 

 11月18日、東京新聞が『「マイナカード+公務員身分証」やめて! 身内の省庁が自ら「直訴」していた』という記事でこのことを報じると、SNSでは批判の声が巻き起こった。

 

《内閣官房、警察庁、公安調査庁、外務省、防衛省が反対っておいおいおい。身内から危険視されてるものを強制しようとしてるのか。絶対作りたくない》

 

《政府自ら危険性を認識しながら、国民に問題ないと強調するのは矛盾している》

 

《これは酷いな 一般人にはマイナンバーカード 作れ使えって言ってる癖に公務員達はマイナンバーカードを否定するとか》

 

 政府が事実上の「義務化」を目指すマイナンバーカード。もはや、進むも地獄、退くも地獄の茨道となってしまった。

( SmartFLASH )

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