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安保関連3文書が閣議決定 反発する中国を林外相が訪問報道にSNSでは「何しに行くの?」疑問の声
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.12.16 19:42 最終更新日:2022.12.16 19:45
12月16日夕方、安全保障関連の3文書が閣議決定された。
「国家安全保障戦略」と「国家防衛戦略」には、敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」を保有することが明記され、安全保障政策の大きな転換となる。
中国の軍事動向については「国家安全保障戦略」で「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と位置付け、同盟国・同志国と連携して対応すべきものとする。安保戦略は9年ぶりの改定だ。
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12月14日には、中国外務省の汪文斌報道官が「日本が発表しようとしている防衛政策の文書は、事実を無視し、両国間の約束と共通認識に反する。中国に理不尽な汚名を着せており、断固として反対する」と強く反発していた。
また、日本が防衛予算を大幅に増やそうとしていることには、「中国の脅威を誇張することで、自らの軍事力増強のために口実を探す企みは、その目的を達成できないだろう」とけん制した。
「12月6日には、日本政府が2023年度から5年間の防衛費を約43兆円と大幅に増額することについて、中国外務省の毛寧副報道局長が記者会見で『日本の防衛費は10年連続で増加している。地域の緊張感をあおり、非常に危険だ』と反発しています。
ただ、中国の国防費は、2022年は1兆4505億元(約24兆6577億円)となり、日本の4倍以上。これは、10年で約2.2倍、1992年から30年間で約39倍となっています。
元自衛官で『ヒゲの隊長』こと、自民党の佐藤正久参院議員は、自身のTwitterで即座に《中国や北朝鮮、韓国等に批判される謂れはない》と反応していました」(政治担当記者)
日中間のけん制が続くなか、12月14日には、林芳正外相が12月下旬にも、中国を訪問する調整に入った、と報じられた。中国外交トップにあたる、王毅国務委員兼外交部長(外相)と会談する予定だという。
岸田文雄首相と中国の習近平国家主席は、11月にタイで約3年ぶりの日中首脳会談をおこない、あらゆるレベルで緊密に意思疎通をおこなっていくことで一致。林氏の訪中に合意していた。だが、安保関連3文書改定に中国側が反発する可能性があり、一時は2023年に訪中が持ち越しになった、とも報じられていた。
林外相と王毅外相との会談では、偶発的な衝突を回避するために両首脳が申し合わせた、安全保障分野での意思疎通の強化などが議題となる。安保関連3文書に関しても説明し、防衛費の増額や反撃能力の保有といった内容に、理解を求めるものと見られる。
SNSでは、林外相の訪中を疑問視する声が上がっている。
《何しに行くの?》
《中国の極端な軍拡についての説明を日本が受けたことがあるのだろうか。こういう動きが中国に誤解を与えてきたのだろう》
《どうせ行くのなら、ちゃんと言うべきことを言ってきてくださいね》
12月16日、記者会見で訪中について問われた林外相は、こう回答した。
「私の訪中については、現時点で、決まっていることは何もございません。その上で、先般の日中首脳会談において、首脳レベルを含め、あらゆるレベルで緊密に意思疎通をすることで一致しておりまして、その中で、中国側から招請されている私の訪中についても、今後調整を進めていくことで一致しております。引き続き、具体的な時期を調整してまいります」
実現すれば、日本の外相の訪中は2019年以来、3年ぶりとなる。日中間のけん制が続くなか、林外相は実のある外相会談を成し遂げることができるだろうか。
( SmartFLASH )