毎年恒例の初競りが、東京の豊洲市場で1月5日におこなわれます。
初競りの「1番マグロ」は、毎年高額で競り落とされることで知られています。2019年には、すしチェーンの「すしざんまい」を運営する喜代村が、史上最高の3億3360万円で落札したことが話題になりました。その翌年も、同社が1億9320万円で落札し、2年連続で億越えとなりました。
【関連記事:正月にアワビを「駆け込みふるさと納税」初心者も10分で完了】
しかし、その後の2021、22年の2年間は、ライバルの水産仲卸「やま幸」が「1番マグロ」を落札しているのです。
筆者は、21年の初競りを間近に控えた「すしざんまい」の社長・木村清さんに「1番マグロ」への思いを聞いています。
「今年の初競りはやんないよ。コロナ禍であんまり派手にやるとまずいでしょ」
2021年の年初は、飲食店が時短営業し、酒の提供に制限があるなど外食自粛ムードだったことで、木村社長は苦渋の決断を下したのです。
木村社長が初競りを始めたのは、2001年4月に「すしざんまい本店」を築地に初出店した翌2002年からだったと言います。
「最初から『1番マグロ』を獲りに行ってたよ。ただ、落札価格が安いから新聞に載るのは1行だけ。それでもやってたんだよ。
始めた頃の初競りは『1番マグロ』は260万ぐらいだったの。普通に買っても160万くらいするから、ふだんより100万円ほど高いだけだった。だから『ご祝儀でしょうがない』と思って。それがどんどん値段が上がって」
その後の2008年から2011年は、香港の会社に『1番マグロ』を落札されていました。しかし、2012年からまた木村社長が落札し始めたのです。
「2011年は、3.11の『東日本大震災』があって地獄みたいな世界だったじゃないですか。そこで『よっしゃ』と。今年の最高級のマグロは、日本のお客さんの口に入れてほしいと思ったんですよ」
前述のとおり、2019年には3億3360万円というとんでもない価格で落札しました。
「3億3000万円の赤字。だってウチは普通の値段(通常店頭価格)で売ってんだから」
今後も社長は、どんなに高額で競り落とそうと「1番マグロ」を通常価格で店頭に出すと言います。
外食の規制も緩和され、自粛ムードもなくなってきている2023年。はたして木村社長は、3年ぶりに「1番マグロ」を競り落とすでしょうか。明日の初競りの注目です。
1968年、香川県生まれ。1992年、世界のナベアツ(現・桂三度)とジャリズム結成、2011年に解散。同年、オモロー山下に改名し、ピン活動するも2017年に芸人を引退しライターに転身。しかし2021年に芸人に復帰し現在は芸人とライターの二足のわらじで活動している。
( SmartFLASH )